父になりました。
はじめまして。ふわふわと申します。
11月4日に子どもが産まれて、父になりました。
「子どもを育てる」というとてつもなく重要なミッションに取り組むにあたって、先人の知恵を借りながら指針を作って行かねばと思い、色々読み漁りました。その中でこれはちゃんと整理しておきたいな〜と思う本に出会ったので備忘録も兼ねて書き記しておきます。
出会った本はダナ・サスキンド著「3000万語の格差」という本です。
・3000万語の格差の研究
・言葉の数だけの問題?
・どう生活に組み込んでいくのか?
・我が家のルール
・まとめ
3000万語の格差の研究
2人の社会学者、ベティ・ハートとトッド・リズリーがおこなった研究結果は極めて大事な問いに答えてくれています。
2人の研究は異なる社会異なる社会経済レベルに属する42家族の子どもを、生後約9ヶ月から3歳まで追跡調査するというものでした。「子どもがしたこと、こどもがされたこと、こどものまわりで起きたこと」すべてを記録しました。
「子どもが最終的に身につける能力は生後数年間に聞いた言葉の量に比例するのか?」
2人が立てたこの問いに対して、研究結果は答えています。比例する、と。
学ぶ能力の鍵は社会的なレベルでも、人種でも、性別でも、生まれ順でもなかったのです!子どもの将来の学びの到達点を決める必須の要因は、初期の言語環境でした。どれだけの量をどのように親が子どもに話したか、です。
この研究結果は子育ての大きな指針を決めるようなものだと感じました。
言葉の数だけの問題?
では、とにかく言葉を浴びせまくれば良いんでしょうか?
「黙れ」と子どもに3000万回言えば、知的で実りの多い、安定した大人に育つのでしょうか?ハートとリズリーの研究はこの問いにも答えてくれています。
言葉の量が多い家庭には、量だけでなく、言葉の豊かさ、複雑さ、多様さといった要素が見られました。そして大切な特徴は肯定的なフィードバックです。「よくできたね!」対「やめなさい!」です。なるほど、褒めまくればいいのか、と思ったのですが、褒める方法の中には逆効果のものがあるというのです。
1998年の研究論文の中でドゥエック教授は、その人を褒めるのか、その過程を褒めるのか、ひと言の違いで、困難に直面した子どもが挑戦する気になるかどうかが大きく異なることを明らかにしています。
研究ではパズルを用意し、子どもたちはパズル完成後皆褒められましたが褒められ方は「頭が良い」か「頑張った」のどちらかです。そのあと、次のパズルに取り組む際、「頭が良い」と褒められた子のうち67%は優しい課題を選び、「頑張った」と褒められた子どもの92%は難しい課題を選んだというのです。
どう生活に組み込んでいくのか?
子どもに豊かな言葉で話しかける。その過程に焦点をあてて肯定的なフィードバックを行う。それが将来子どもが能力の発達のために欠かせないものであることは研究の結果が示す通りです。
では、どのように我々は生活の中で実践していくべきでしょうか?著者のダナ・サスキンドはこの問いにも方向性を示してくれています。それは「3つのT」です。
最初のT:チューン・イン
チューン・インとは子どもが集中している対象に親が気づき、その対象について子どもと一緒に話す、という意識的な行動です。
子どもが集中していることに、親も集中する行動、とも言えます。
どういうことでしょうか?子どもが積み木に夢中になっているときに、絵本を持ってきて、「おいで」と言わないことです。一緒に積み木に夢中になることです。
子どもの実行機能は発達途上にあるので、自分が興味を感じるときだけ集中し続けます。子どもが関心を持たなければ言葉は宙に浮いてしまい、どんなに良い言葉だったとしても脳発達には全く効果がないようです。
また、赤ちゃん言葉も良いようです(これは意外でした。)
生後11ヶ月〜14ヶ月の子どもを対象にした研究によると、赤ちゃん言葉をより多く聞いた子どもは、おとな向けの言葉をより多く聞いていた子どもに比べ、2歳の段階で2倍言葉を知っていたそうです。チューン・インは双方向が基本なのです。
2つめのT:トーク・モア
2つめのT、トーク・モアは単語の数だけの話ではありません。どんな単語を使うのか、単語をどのように言うかも大切なようです。トーク・モアはチューン・インと同時平行するプロセスで、子どもと話す親の言葉を指しています。子どもに向かっていう言葉、ではなく、子どもと話す、です。
具体的な方法の一つとして挙げられているのは「ナレーション」です。
赤ちゃんが寝転がっているときも親はせわしなく何かしているものです。その何かしていることをナレーションするのです。洗う。乾く。オムツ。手。親にとってはいつもの作業でも赤ちゃんにとっては大事です。
「オムツしようか!」
「頭を洗っているよ〜」
「この可愛い服を着せて行くよ!」
「歯を綺麗にしていくよ」
とナレーションは子どもが日常の活動に慣れていく方法でもあります。
もう一つの方法としては「並行トーク」が挙げられています。ナレーションでは親が自分のしていることを話しますが、並行トークは子どもがしていることの実況中継です。そして、1つめのT:チューン・インは並行トークに必須の要素なのです。
「おもちゃを握っているね」
「あ、お口にいれないよ、携帯は食べ物じゃないからね」
「その鍵はドアを開けるものだよ」
「うまくミルク飲むね〜」
といったものです。
ナレーションも並行トークも生まれた瞬間から使えるものです。ただし条件があり、どちらもなんども繰り返す質問になったり、長い複雑な文章になってはいけません。今、まわりにあるものについて話すこと。これが大事なポイントです。
3つめのT:テイク・ターンズ
最後のT、テイク・ターンズは子どもを対話のやりとりの中に引き込んで行く方法です。
親子のやりとりの究極の部分であり、脳の発達の上でもっとも大事なプロセスになります。子どもとの対話を広げるという行為がとても大事になってくるようです。
テイク・ターンズする際、やりがちだけれど効果が限られている言葉のひとつが「何?」です。「このボールは何色?」「犬は何て言った?」と「何?」の質問で会話を広げていく方法は語彙を育てるには効果が限られています。子どもがすでに知っている単語を促しているだけだからです。
一方、答えが決まっていない質問、いわゆる「開かれた質問」はテイク・ターンズのおすすめの方法として挙げられています。
「なぜ?」「どうやって?」を使えば、子どもたちはたくさんの単語を考え、アイディアで答えることが出来ます。「もし〜だったら」という問いかけも子どもに創造を促す問いになります。
「犬が鳴いているよ。どうしてだと思う?」
「なんで歯磨きは大事なんだろうね」
「もし、サンタさんに会えたらなんのお話をする?」
我が家のルール
「3000万語の格差」を読んで、我が家のルールについて妻と話しあいました。子どもと十分コミュニケーションを取るために、何をすべきか。
話し合いで決まったのは以下です。
・絵本を毎日1冊読む(父・母それぞれ1冊)
・子どもの前で歌を歌う
・作業を声に出しながら行う
・過程を褒める
絵本を毎日1冊読む
子どもと一緒に絵本をよむことの有用性は多くの研究で実証されています。
我が家では絵本棚を組み立てて、50~60冊くらいの絵本を置きました。
子どもが大きくなってきたら、自分で読んで欲しい絵本を選べるように。読みたい本がなくなったら図書館等で借りることもできますしね。
毎日妻と僕が絵本を1冊ずる読んであげよう、と決めました。
子どもの前で歌を歌う
赤ちゃんは親の抑揚のあるハイトーンな声に反応します。まだ会話の内容はわからないですが、親の言葉、特に抑揚のある言葉に反応するんですね。
その点、歌はうってつけのコミュニケーション手法になります。特に母親の歌は脳の発達に良い影響を与えることがわかっており、我が家でも毎日歌を歌おうと決めました。
作業を声に出しながら行う
これは先述の通り、トーク・モアの手法ですね。
まだ子どもが発話できないので、まず、ナレーション・実況中継を声に出すことで子どもに語りかけようと決めました。
過程を褒める
これも、先述の通りです。
人を褒めるのではなく、プロセスを褒めようと決めました。
「頭の良さ」を褒める親と「努力の過程」を褒める親の子どもたちを分析した結果によると、過程を褒められる言葉が高かった子どもほど、そうでない子どもに比べて成長の心の枠組みを持つ傾向が強いという結果になっています。
持って生まれた能力だけで勝負するのではなく、努力によって能力を伸ばして欲しいと強く願うので、「努力の過程」をしっかり褒めてあげようと決めました。
まとめ
様々な研究結果が、生後数年間、親が子どもにあたたかさをもって語りかける言葉の量が将来能力を伸ばす上で重要であることを示しています。
子どもが自分の能力を信じ、壁に当たっても我慢強く物事に取り組めるようになってほしいと思わない親はいないでしょう。育児に正解が無い中、大きな一つの指針を与えてくれる本でした。
・子どもが身につける能力は生後数年間に聞いた言葉の量に比例する
・語りかけには努力の過程に焦点をおいた肯定的なフィードバックが重要
・子どもへの語りかけには3つのTが有効
「3000万語の格差」では他にも面白い研究について紹介しています。
・赤ちゃん言葉の是非
・テレビ、デジタル機器との付き合い方
・能力の男女差について
・算数、空間能力について
気になる方は、ぜひ、手にとって読んでみてください。
子どもと向き合おうとするその姿勢がなにかに繋がると信じます。
育児に関しての情報収集に使用し、その情報を発信します!