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カリフォルニケーション Xファイルの捜査官がLAで女性にモテまくる

文責:キミシマフミタカ

数年前、カリフォルニアに行ったとき、ハリウッドのセレブの邸宅を回るバスツアーに参加した。邸宅に入れてもらえるわけではなく、2階建てのバスから邸宅の周りをぐるぐる回るだけのツアーだ。運転手兼ガイドの青年は、自分は脚本家志望でいまシナリオを書いていると自己紹介。いかにもハリウッドっぽい感じがしたものだ。

あいにく当日は雨で、バスの1階から外をぼんやり見るだけ。道路から邸宅を見るだけなので、正直あまり面白くない。バスはある崖の下で止まり、脚本家志望の青年がマイクを通じてこう言った。

「あの崖の上に柵があるのが見えますか? 黒い柵ですよ。木立の中に見えるやつ。あれがブラッド・ピットの邸宅の庭の柵です」

カリフォルニケーションの舞台は、そのハリウッドだ。主演はXファイルの捜査官モルダー役のデイヴィッド・ドゥカヴニー。オカルトおたくのシリアスな役柄とうってかわり、こちらは小説を書けなくなった小説家で、やたら女性にモテまくるという設定だ。

ハリウッドでセックス&ドラッグの放蕩三昧。ヘッドライトが壊れたポルシェを駆ってあちこちのパーティーに繰り出し、愛する娘と事実婚の女性とくっついたり離れたりの物語。 

ある意味、男性の願望を体現するようなドラマなのだが、とにかく登場人物たちがすぐに裸になるのが特徴だ。大げさではなく、主人公のパートナーである女性以外の女性は、全員、潔く脱いでしまう。人気ドラマ、カリフォルニケーションへの出演オファーの条件が脱ぐことで、それをよしとする上昇志向の高い女優たちの根性が伝わって来る。

目覚めると、二日酔いで頭が痛い。隣の寝室に行くと、ベッドの上で裸の若い女性が3人寝ている。きれいなお尻が3つ。部屋には酒瓶と下着が散乱している。昨夜何があったっけ? この女たちは誰だ? パソコンを開くが、一行も小説を書き始められない。やれやれと思いながら部屋を片付け始めるが、目覚めた女性の1人に誘われて再びベッドに。

シーズン1を見始めたとき、そんな適当な物語のドラマがシーズン7まで続くとは驚きだった。物語がダレ始めると、魅惑的な女性たちが登場して服を脱ぐ。正直言って、それがシリーズを継続させる推進力になっている。

見続けているうちに、もしかしたらそれは日常生活でも同じことなのかと思い始める。設定が能天気なハリウッドなだけで、やっていることはみんな同じかも? セックスとか裸は、やはり偉大なのだ。海外ドラマが日常生活に伴走してくれる多次元空間だと定義するなら、このドラマは十分に成功している。

Xファイルといえば、モルダーの相棒、スカリー役のジリアン・アンダーソンが主演する『THE FALL 警視ステラ・ギブソン』も、Netflixで見ることができる。こちらはシリアルキラーを追う刑事の役柄で、カリフォルニケーションとは真逆の、シリアスな作品だ。

Xファイルは2016年、14年ぶりに新シリーズが製作されている。実生活でもセックス依存症だと報じられたドゥカヴニーは、いったいどんな顔で、再びオカルトおたくの役柄に取り組んでいるのか。役柄の落差が激しいだけに、いっそう興味が募る。


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