あの頃に戻りたい。

あの頃に戻りたい。

いつか歳をとったときに戻りたいと思う「あの頃」。
まさに今現在のこの時が、あの頃になるのだろうなとふと思う。

いま自分は家族5人で農業を営んでいる。
父、母、祖母、自分、嫁。
みんな元気で健康で、とても働きもの。忙しくも、自分たちの育てる農産物はとてもよい評価をもらえている。

子どもは3人。
高3,高1,小6と、素直でのんびりしてて、最近は子育てに手を焼くどころか自分が助けてもらうことも多くなってきた。そんな年頃。

趣味は登山や旅行。仕事が忙しくなり山へ行くこともめっきり減ってしまった。

その代わりに読書が好きになってきた。
本は時間がなくても数分間だけでも読むことができ、開けばいつでも作者の考えにふれられ、別の世界に連れていってくれる。

来年には長男が、進学のために家を出ていくだろう。
子どもの成長は喜びであり悲しみ。
17年一緒に暮らしたのも今年で最後。

両親はもう60代も後半。あと何年一緒に農業ができるだろうか。

人は幸せに包まれていると、その幸せが当たり前になり、自分が幸せであることにまるで気がつかなくなる。

いつかこの足が歩くことを億劫に感じたら、登山はできない。
いつかこの目が衰えれば、本は読めない。

家族も歳をとり、ところてん式にこの家を去っていく。

その寂しさに耐えられるだろうか。

もしそうなる時がきたら、自分の魂はどこに行くのだろうか。

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