【オーズ続編感想回】複雑な気持ちの正体

帰りの電車の中でうってます。
この記事中にはオーズ続編「復活のコアメダル」のネタバレをふんだんに含みます。具体的にいうとちいかわの画像の下あたりからネタバレになります。

ネタバレ回避的にオーズについて軽く振り返っておきます。

僕にとってオーズは特撮という枠だけでなく、今まで見てきたあらゆる創作物の中で5本指に入るレベルで好きな作品です。
横軸のエピソードのおもしろさ、縦軸の綺麗なまとまり方、メッセージを補強する物語の組み立て方と全てがおもしろい作品です。

ちなみに「一番好きな平成ライダーは?」って聞かれたらダブルって答えます。ライダーとして完成されてるのはダブルなんですよ。

話をオーズに戻します。
オーズは本編の完結後に後日談的劇場版があり、本編中に消えたアンクがいつか復活することが明かされます。
作中やファンの中では「いつかの明日」と呼ばれ、いつ来るかわらかないその日を来るのをずっと待っていました。

この後、「平成ジェネレーションズfinal」において映司とアンクがゲスト出演をします。
ですがこの映司とアンクの再会は仮初のものであり「いつかの明日」ではありませんでした。

僕はこの時「いつかの明日」をきちんと描かれることはないんだな、と思いました。
平ジェネのオーズパートではオーズの最終回のセリフや展開をなぞってるだけで、う~んとなりました。
なんとなくあの世界でいつか映司とアンクが再会できてたら嬉しいよねという靖子からの温情だったと受け取っていました。
(ライダーファン、偉大なる小林靖子を呼び捨てとか靖子にゃんとか呼びがち)

しかし2021年になってオーズの新作が作られ、さらに「いつかの明日」が描かれることが明かされました。
脚本が靖子でないし、平ジェネの前例もあるしであまり期待はしていませんでした。

公開されてからもTwitterで「賛否両論起きている」という情報だけが見られて賛も否もどちらの意見も見ることはありませんでした。
そうなると自分の目で確かめるしかない、と見てきました。さっき。

そして感想としては賛否両論が僕の中にもあって、「心が2つある〜」ってなってます。

オーズから逃げるな

一番大きな引っ掛かりは映司が死んで終わったことでしょう。
なぜ、映司の死がひっかかるのか。
それはアンクの復活を望んでいた我々は映司に自分を投影させていたからです。
放映から10周年、リアルタイムで見ていた人もあとから見た人も「いつかの明日」をずっと待っていました。
平ジェネを見れば映司が「いつかの明日」をずっと探していて、これからも探し続けていることを我々は知っています。
作中での10年は我々の10年と同じリアルタイムの時間が流れているのです。
いつかアンクと会いたい、そんな映司の思いは我々と同じです。

しかし映司は死んで終わりました。
この10年、我々は映司とともに歩んできたのに、急に映司と別れを突きつけられて劇場に放り出されました
他の観客も同じ感覚だったのか、しばらく席に座ったままの人、負の感想を言う人などが多くいました。

死んだ理由は映司らしいし、たしかにあの性格ならいつ死んでもおかしくなさそうですが、作品としてこの死は必要なのか?となってしまいます。

平成ライダーは数年経っても続くコンテンツです。
現に仮面ライダーWは漫画で復活して今も続いています。
そしてどれだけ年が経とうとも、登場人物は我々とともにあります。
ことあるごとに地球にやってくる紘汰さんや世界に通りすがり続けるディケイド、天ノ川学園で先生を続けている弦太朗など、彼らは今もどこかの世界で生き続けていると思ってるし、僕たちの心の中では今もヒーローなのです。
たっくんは死んでるけど…

そういったコンテンツであるにも関わらず、こういった終わり方をするのは愛を感じないと思ってしまいます。
死んだのもそうですが、作中では映司自体は変身していないのも思い返すとアレ?ってなります。

それでもあの時のキャストが揃って続編をやってくれたというだけでも「賛」になりえるくらいのものでした。
新フォームや技もかっこよかったし、映司から生まれたグリードという設定も本編のテーマから派生した物語になっており、よかったです。
尺が短すぎて説明しきれていない所などありましたが、最後以外は概ね良かったと思います。
野戦場にフリフリの私服で来ていた比奈ちゃんには開幕から突っ込んでいましたが。

ここからは邪推です。なぜこのようなオチになってしまったのか。
それは最近の風潮としてビックリさせる→話題にさせるムーブが少し前から流行っているというのがあるのではないかと思います。
衝撃のラスト!と銘打たれたおもしろい作品が次々と生まれました。その結果として衝撃のラスト!にしておけばおもしろいのでは、という逆説的な作品が夜に放れたれるようになりました。
衝撃のラスト!にしたらおもしろいわけではないことは「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を見ればわかるでしょう。
逆に衝撃のラスト!で終わってもおもしろいものは「Hello world!」を見ればわかるでしょう。賛否両論ある作品を例に出してしまった。

「マクロスΔ」もそうだったし、とりあえずビックリさせたろ!みたいなのが透けている作品はちょいちょいあります。最近話題の「大怪獣のあとしまつ」もプロデューサーが衝撃のラスト!がおもしろところだって言ってました。見てないので知らないですが。

オーズの続編が見れたこと自体は嬉しかったです。それに平ジェネのような置きにいったファンサービスのぬるい作品にせずに挑戦的な作品にしたのも良かったと思います。
挑戦すればいいってわけではないですが。
ハッピーエンドにしなかった理由がわからん・・・パンフレット買ったらわかるかなとも思ったのですが読みたくなかったのでやめました。

そもそも本編のテーマとして自己犠牲的な正義についての是非、みたいなものを扱っており、映司はその正義の欲望によってグリードとなってしまいます。
アンクという「自分だけが生きたい」という欲望を持つグリードの存在がいることで、映司は自分の中にある欲望が歪んでいることに気付かされます。
今回の続編ではその欲望が原因で映司が死んでいるので本編のテーマすら拾えてないのはやはりお粗末です。

僕の心は言語化されてスッキリしました。あとは皆さんが共感してくれたら僕の気持ちは成仏できます。

映司にアンクが取り憑いたまま終わってれば、映司も生きてるし、信吾も死なないし、アンクも依り代なくならないし、二人で旅に出ていればハッピーエンドだった気がします。


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