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00’s UK RAP 25選

みなさん、HipHop大好きですよね!
私も大好きです!

今回は、2000年代のUK HipHop/グライム/ロードラップから選出した25のアーティストを紹介します。グライムではクルー、ロードラップではギャングがシーンを構築していきました。そちらも併せて取り上げます。

前回の記事に目を通してから読んでいただけるとより分かりやすいかと思います。では。

HipHop

1. The Streets「Original Pirate Material」(2002)
※左:アーティスト 右:アルバム

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Mike Skinnerが率いるヒップホッププロジェクト。UKの伝統的なロックとUK HipHopを融合し、大きな反響を呼んだ。「A Grand Don't Come for Free」(2004)は全英1位、全世界で300万枚以上を売り上げプラチナムセールスを記録した。今年7月には10年振りの新作リリースを控えている。

2. M.I.A.「Kala」(2007)

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父親にちなんで名付けられた1stアルバム「Arular」(2005年)とは対照的に、2stアルバム「Kala」は母親にちなんでアルバムを命名し、母親の人生における闘争がテーマとなっている。アメリカのプロデューサーTimbalandと共に制作し、インド、アフリカ、オーストリアや南アジアなどの伝統的な楽器を採用、様々な国で録音された。 2007年のBillboard Top Electronic Albumsで1位を獲得している。

3. Jehst 「The Return of the Drifter」(2002)

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同時期にL. Dolo、Lewis Parker、Supa Tらと共にChampions Of Natureというクルーを結成。彼らは、00年代のUK HipHopシーンを牽引するプロデューサーであり、Jehstも例外ではない。巧妙なライムスキームとフロウで構成された「The Return of the Drifter」は、Jehstのキャリアの中でも最も人気を誇るアルバムである。

4. Roots Manuva「Run Come Save Me」(2001)

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トリップホップ、アブストラクト、エレクトロニカ全盛期である当時のシーンを色濃く反映しつつ、前作同様にレゲエ、ダブ、ベースミュージックなどを取り入れたRoots Manuvaらしい一作。

5. DJ Format「Music for the Mature B-Boy」(2003)

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ファンキーでソウルフルなDJ Formatのデビューアルバム。サメやトラなどの着ぐるみ達がラップやブレイクダンスをしている愉快なMVが口コミで広まりアルバムのヒットに繋がった。「We Know Something You Do n't Know」は Ruben Fleischerが監督を務めている。

6. Klashnekoff「The Sagas of...」(2004)

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生っぽさと技術的な叙情が組み合わさったフロウに、ブレア時代(1997-2007)の労働者階級の怒りと共にロンドンの光と闇を受け入れたリリックが大きな共感を得た。「 Our Time 」のリリック、“walking between love and hate like a tight rope”はこのアルバムの命題といえるだろう。

7. Triple Darkness「Anathema」(2008)

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シンプルでありながらキャッチーでジャジーなグルーヴ。「Darker Than Black」(2015)ではメンバーが10人となりより大きなHipHop集団となった。(シカゴのDaWreck、Trick、Haniusで構成されるグループではない。)
Triple DarknessのメンバーM9、Cyrus MalachiとMasikah、Kyzaの4人で結成されたOrphans of Cushによるデビューアルバム(2009年)も聴いておきたい。

8. Rhyme Asylum「State of Lunacy」(2008)

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ブームバップに焦点を当てPossessed、Psiklone、Skirmishによって結成されたHipHopグループ。創造的な言葉遊びとホラーコアなサウンドが特徴的。米国のラッパーCopywrite、Diabolicが客演に参加した。

9. Skinnyman 「Council Estate of Mind」(2004)

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バトルラッパーとしてキャリアをスタート。Eminemとのバトルに勝利した実力の持ち主。「Council Estate of Mind」がリリースされた当時、レコード会社から1セントの支払われずホームレスを経験したSkinnymanだが、インタビュー内で”My main agenda was to help people less fortunate than myself.”と答えていたのが印象的である。現在は、グライムに転向し来年のアルバムリリースに向けて取り組んでいる。

10.Dan Le Sac vs Scroobius Pip「Angles」(2008)

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The Beatles、NIRVANA、Radiohead、ArcticMonckysなどの著名なアーティストに対して”ただのバンドだ!”と言いのけ、LPを投げ飛ばすビデオ「Thou Shaft Always Kill」がYouTubeで話題となったHipHop、Rockユニット。「Letter from God」はRadiohead「Planet Telex」をサンプリングしている。

(炎上商法?と最初は思いましたが、アーティストだけでなく様々な事柄に対しても言及し”自分で考えろ!”と提示している姿勢から”売れてるアーティストだからといって全て良いとは限らない。自分で決めろ。”というメッセージなのだと思いました。Pitchforkにボロカス書かれていたけど私は好きです。)

11. Plan B「Who Needs Actions When You Got Words」(2006)

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アコギにラップをのせ、殺人、レイプ、強盗、薬物などイギリスのシリアスな状況を綴っている。ライムに定評がある。また、ラッパー、シンガーソングライターとしての音楽活動以外に、映画監督、俳優としても活動し、自身の楽曲をサウンドトラックとして使用している。

12. Akala「It's Not a Rumour」(2006)

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仏教の"不動"を意味するアカラ(不動明王)が由来。世の中への非難や怒りではなく、内面的な自己分析を中心としたリリック。ジャーナリスト、作家、詩人としての一面もあり、大学で講義を開いている。”これらは成功ではなく進歩だ”と語る冷静な向上心は聴衆の心を惹きつけた。また、姉はアーティストのMs. Dynamiteである。彼女の代表曲は「Dy−Na–Mi-Tee

13. Ty「Upwards」(2003)

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厳しい家庭で育ち、医者や弁護士になることが期待されていたが、幼少期からHipHopに影響を受けMCの道へ進んだ。ジャマイカのダブ、ラテン系のシャッフル、ジャズを取り込み折衷的なアプローチをしている。富と名声に囚われず、自己の芸術的な観点を楽曲に落とし込んでいる。

Tyは5月7日COVID-19の肺炎により47歳で亡くなりました。Roots Manuvaなど多くのアーティストが彼の死に追悼のメッセージを送っています。追悼の意を込め彼の音楽を聴いてみてください。

グライム

グライムは、HipHopとは違い若い世代とクルーによってシーンが構築されていきました。3つのクルーと合わせて取り上げていきます。

I. Roll Deep 

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So Solid Crewに触発され、UKガラージクルーLadies Hit SquadとPay As U Go Kartelが発足。両者はPay As U Go Kartelに吸収される形で統合。2001年、Pay As U Go Kartelが解散する直前にグライムクルーRoll DeepがWileyによって設立された。クルーとしてのリリースは「Rules & Regulations」(2007年)などがある。現在は活動を停止しているが、ほとんどのメンバーが音楽を続けている。

現在のメンバー
Wiley / Scratchy / Flowdan / Breeze / Brazen / Manga / Riko / DJ Target  / DJ Karnage / J2K 

旧メンバー
Dizzee rascal / Tinchy Stryder / Trim / Skepta / Jme / Jammer / Biggie Pitbull / Wonder / Jamakabi / Bubbles / DJ Bionics / Jet Me /  Roachee / DJ Maximum / Danny Weed / Killa P / Little Dee / Syer Barz 
太文字は下記で紹介

15. Dizzee Rascal「Boy in da Corner」(2003)

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Boy in da Cornerのリリースにより最年少19歳でマーキュリー賞を受賞。グライムの先駆者として知られるDizzee Rascalは、14歳でドラムンベースDJとして音楽活動を開始。当時このアルバムの言語化に多くのメディアが困惑し、新聞社は”UKガラージとHipHopの未来”、BBCは”アンダーグラウンドアーバンアーティスト”称したりと様々。グライムというNewジャンルの誕生、音楽史に残る歴史的瞬間であった。

16. Wiley「Treddin' on Thin Ice」(2004)

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Roll Deep のリーダーでありDizzeeと同じくグライムの先駆者である。Wileyは自らの音楽(ダーティサウスとUKガレージの混合)を"eski-beat"と呼び、Eskiboy名義で「Da 2nd Phaze」など00年代の間のみで9枚のアルバムをリリースしている。

17. Flowdan「Original Dan」(2009)

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Roll Deepの名付け親であり、Wileyの親友的存在。アヴァンダンスホールのプロデューサーであるThe Bugのアルバム「London Zoo」(2008年)に収録された数曲がきっかけとなりアルバム制作に踏み切った。アルバム内の「RUN」では、冒頭に平家物語 鵺の朗読音声と思われるものがサンプリングされている。本人に聞いてみたが返信は来なかった。

II. Boy Better Know

2000年初頭にMeridian CrewというPresident T、Skepta、Jme、Big H、Bossman Birdie、Meridian Dan、Paper Pabsによるクルーが結成したが、メンバーによる殺害未遂容疑で有罪判決を受け、解散。そこでJMEとSkepta兄弟によってBoy Better Know(通称:BBK)が設立された。残りのメンバーはMeridian Bloodlineとして再出発している。

BBKは、Jme / Skepta / Frisco / Jammer / Wiley / Shorty とプロデューサーDJの DJ Maximum / Preditah によって構成され現在のグライムシーンを牽引するクルー、レコードレーベルである。2016年には、DrakeがBBKと契約を交わすなど、世界的に注目が集まっている。(詳しくは次の記事で取り上げる予定です。)
太文字は下記で紹介

18. Skepta「Greatest Hits」(2007)

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2003年「DTI」と「Private Caller」をリリースしキャリアをスタート。Wileyの「Gunshot Riddim」やBone Thugs-N-Harmony「Thuggish Ruggish」のリミックスを手掛け一躍有名となった。2005年から本格的にMCとしての活動を開始、2007年にデビューアルバム「Greatest Hits」をリリース。4枚目のアルバム「Konnichiwa」(2016)ではマーキュリー音楽賞を受賞した。00年代では「Microphone Champion」(2009)も必聴である。

19. Jme「Famous?」(2008)

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幼少期からから携帯電話の着メロやマリオペイントで音楽制作をしていた。HipHopに影響される事なくクラシックなグライムの140BPMを維持し、ストリートスラングとジャマイカ語でラップをしている。 Apple Musicでのジャンル表記をGrimeに変更するように求めているが依然としてHipHopのままである。

またJmeとSkeptaは兄弟であり、2人の妹Julie Adenugaは、Apple MusicのグローバルラジオサービスBeats 1のプレゼンターを務めていたが、今年5月に辞任してる。

Ⅲ. N.A.S.T.Y Crew

N.A.S.T.Y Crew(Natural Artistic Sounds Touching You)はMarcus Nastyによって設立さたグライムクルー。活動の1つである月曜の夜8時から22時まで海賊ラジオ局”Deja Vu”では、Dizzee Rascal、Durrty Goodz、Wileyなどのスペシャルゲストを招いていた。当時のメンバーは、Kano / Jammer / D Double E / Footsie / Monkey / Stormin / Ghetto / Mak 10 / Sharky Major & Hyper etc 
太文字は下記で紹介

20. Kano「Home Sweet Home」(2005)

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ジャマイカとダブ・ミュージックのルーツを生かしたアップテンポなラブソング 「This Is The Girl」で当時16歳にしてメインストリームでの成功を収めた。「Home Sweet Home」は、複数の音節を使った韻を踏むことで、典型的なグライムと比較して、よりトーンダウンされたアプローチで補完されている。内省的な自問自答をしている「Sometines」は特にKanoのお気に入りであり、これまでにライブで披露したことがないという。N.A.S.T.Y CrewのGhettoとD Double Eも客演として参加している。

21.Newham Generals「Generally Speaking」(2009)

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2004年にN.A.S.T.Y Crewのメンバーと意見の相違をきっかけに脱退した後、D Double EとFootsieよって結成されたグライム・デュオである。Dizzee RascalのレーベルDirtee Stankからリリースされた。忠実なグライムのライムと典型的な地中低音、「Movin」から「Head Get Mangled」まで幅広いアプローチをしている。

22. Two Fingers「Two Fingers」(2009年)

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Two Fingersはブラジルの電子音楽家、作曲家、プロデューサーであるAmon Tobinと、ドラムンベースのプロデューサーDoubleclickによるアルバム。イギリスのNinja Tuneからリリース、 一風変わったサウンドデザインに定評がある。Ce'Cile、Ms.Jadeと英国ラッパーSwayをゲストに迎え、陰鬱な雰囲気のあるビートサイエンス意識の高い作品となっている。

ロードラップ

ロードラップは、00年代後半に南ロンドンのギャングによって開拓されました。ギャングへの取り締まりが厳しく音源はミックステープやYouTubeが中心であり、10年代からロードラップが活発化します。(Kanoは00年代にアルバムのリリースがないため、YouTubeのみとなります。)

I. GAS GANG

GAS GANGは、2000年代後半に結成された南ロンドンのブリクストンを拠点とするイギリスのギャングである。ブリクストンの若者が関わる暴力事件の4分の3をこのギャングが担っていると言われていた程、在籍人数が多い。GAS GANGにはSneakbo、後に脱退したUKドリルの先駆者150などが所属していた。

II. PDC

(Pray Days Change、Public Demand Cartel、Poverty Driven Children、以前はPeel Dem Crew、Pussy Drugs Cashの略)ブリクストンを拠点とするギャングギャング集団。 1990年代には、SW9(郵便番号)で最大かつ最も著名なギャングであった。メンバーは麻薬取引、強盗、銃撃、刺殺、一般的な暴力に関与していることが知られていた。PDC Rap Groupという音楽集団、レーベルを結成。Jaja sozeやTempmanなどはソロでの活動も注目されている。

23. Jaja Soze 「Street Boy」(2008)

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PDCの創設者の1人。PublicEnemyやLondon Posseのような90年代初期のヒップホップに大きな影響を受けた。デビューアルバム「Street Boy」の名でJaja Sozeの壮絶な人生が描かれたDVDや本の出版もしている。また、数年前から社会活動家としてアフリカへの投資などの活動をしている。

Ⅲ. Peckham Boys

ロンドン南部のペッカムを拠点とするギャングである。年齢層に応じていくつかのグループ、SN1(Spare No1)PYG(Pecknarm Young Gunnerz)SI(Shoot Instant)BGR(Black Gang Ryderz)PK(Pecknarm Killaz)などにわかれている。その中でも特にSN1、SI、PYGは音楽活動が活発であった。SN1のGiggsは、ロード・ラップの先駆者として知られ、Anti GMG(PYGの後継)のStigsは、暴力を助長する可能性のある音楽を作ることを禁止するという史上初ギャングの差し止め命令を受けた。また、GAS GANGとは長年ライバル関係にある。

24. Giggs「Walk in Da Park」(2008)

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Giggsはロードラップのパイオニア、最もロードラップの発展に寄与したラッパーである。Peckham Boys内のグループSN-1に所属し、当時のミックステープは1万枚以上売れたという。デビューアルバム「Walk in Da Park」の人気はロンドンだけに留まらず、アメリカのBETアワードで最優秀ヒップホップ・アクト賞を受賞。そしてXL Recordingsへの契約にも繋がった。

25. K.Koke

ラップクルーUSG(Usual Suspect Gang)のメンバーであるK.Kokeは、3本のミックステープとデビューアルバムをリリースした後、Jay-Zに見込まれ、Jay-Zが代表を務めるHipHop、R&Bを中心とするレコードレーベルRoc Nationと契約を交わした。また、USGには現在活躍しているラッパーGEKOが所属していた。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。
プレイリストを作成したのでご活用下さい。

学業等の活動が再開し時間が割けなくなってきたので休止します。

Pa Salieu聴いてください! 




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