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UK HipHopの歴史③|90年代

みなさん、HipHop大好きですよね!
私も大好きです!

今回は、先にUK HipHopの派生に触れてから
90年代のUK HipHopと音楽レーベルについて書いていきます。

HipHopが様々なジャンルの音楽に影響を受け発展したのと同様に、この頃になると、UK HipHopも新しい音楽に影響を与えはじめます。

1990年代、イギリス ブリストルでトリップホップが誕生しました。トリップホップはHipHopに似たスローブレイクビートとサイケデリックの要素、その上にR&Bやジャズのボーカルが加わった音楽です。言葉では伝わりづらいと思うので、
初期のトリップホップといわれている
Massive Attack 「Blue Lines」(1991年)
Portishead 「Dummy」(1994年)
Tricky 「Maxinquaye」(1995年)
を聴いてみてください。
Massive Attckは元々The Wild BunchというHipHopグループでした。
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また、初期のChemical Brothersもトリップホップとして有名です。「Alive Alone」(1995年)

このように音楽はジャンルの壁を超え、影響し合いながら進化を続けています。2020年代にも必ず新しい風が吹くはずです。楽しみですね!

それでは本題にはいります。

これまで主に首都ロンドンでHipHopは展開していましたが、90年代中期になるとイギリス全国、特にブリストル、ノッティンガム、リーズ、マンチェスターなどの都市で地域的な独自のサウンドやスタイルが生まれました。
そして、HipHopとElectronicで育った新世代がシーンを塗り替えていきます。

Herbaliserは「Remedies」(1995年)をリリース。彼らはラッパーではなかった為、最初はjazz hiphopのインストを作っていましたが、「Very Mercenary」(1999年)では豪華な客演を迎え、この時代を象徴するアルバムとなりました。

(客演のWhat What / Bahamadia / Blade /         The Dream  warriors / Roots Manuva については後に紹介します。)

Mr.Scruffは「Frolic EP Pt 1/ Pt 2」(1995年)
をリリース。彼の最大のヒット曲、
「Get a Move On」(1999年)をお聴きください。

Moondog「Bird's Lament」を中心にサンプリングしています。Mr.scruffはフジロックにも来てくれているので、ご存知の方も多いかもしれません。現在も活躍しているアーティストです!
また、彼は大学で美術を学んでいた経験から自身のアートワークも担当しています。インスタグラムがとってもキュートなのでチェックしてみてくださいね。

他にもMark B 「Any More Questions?」(1995年)や、DJ Skitz 「Where My Mind It At」(1996年)などelectronicと融合したHipHopが数々リリースされました。

彼らのヒットの背景には、音楽雑誌、ラジオ局などのメディアの他に、急成長するHipHop文化に対応する音楽レーベルの力がありました。

上記のHerbalisarやMr.Scruffは" Ninja Tune"という同じレーベルに所属しています。
Ninja Tuneは、ColdcutのメンバーMatt Blackが1990年に設立しました。"Ninja"とは私たちが想像するような忍者のことです。日本に訪れた際に、忍者という言葉を知り「主要なレーベルの支配から逃れよう」という意味でNinjaと付けたそうです。たしかにNinja Tuneに所属しているアーティストは皆、ある種のギーク感を持ち合わせています。そこが魅力なんですよね。Bonobo,Jordan Rakai,Peggy Gou,Tycho,Leon Vynehall,DJ Kentaroなど現在も有名アーティストを抱えているビックレーベルです。

1997年、Ninja Tuneの傘下で"Big Dada"というレーベルが生まれます。Big Dadaにはイギリスの音楽史に大きく影響を与えたラッパー、
Roots Manuvaが所属しています。

Roots ManuvaはBlak Twang「Queen's Head」(1995年) featuringで参加しデビューします。

2stアルバム「Run Come Save Me」(2001年)のリリースにより彼への評価は確固たる物となりました。「Witness」(2001年)のビデオでは、Root Manuvaの運動している姿や子供達と戯れ合う姿が見ることができます。

障害物競走?では大人気なく1位になっていますね...

Roots Manuvaは人間の内的闘争や人間愛をテーマにした真摯で情熱的なリリック、UKのレゲエ、ダブシーンを通過した新しいHipHopは今に至るまで多くのファンやアーティストを魅了しています。UKロックバンドArctic Monkeysもそのうちの1つです。

この後、00年代のUK rapはガレージにリンクされつつ、グライムにも大きな影響を与えていきます。またロードラップの流行から現在のドリルやトラップの前兆とも呼べるシーンに大きく舵を切っていきます。

(おまけです。90年代、HipHopだけでなく様々なジャンルの音楽はメディアとレーベルの拡大によって支えられました。Ninja Tuneと同時期にイギリスで発足したレーベル 「Warp Records」を紹介します。

Warpは1989年にレコードプロデューサーのRobert Gordon,レコードショップ店員のSteve Beckett,Rob Mitchellによって設立されました。

Nightmares on Wax「Dextrous」(1989年)
のヒットによりレーベルは活気付き、
"UK電子音楽の名門"として格付けされるほどの人気を誇るようになります。
UKテクノ〜エレクトロニカの歴史を作ったと言っても過言ではありません。

現在、Aphex Twin,Autechre,Yves Tumor,LFO
Death Grips,Danny Brown,Flying Lotus,Bibio
などのアーティストが所属しています。

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Aphex Twinいいですよね〜

さらに、00年代からはジャンルの枠を超え
Maximo Park,Battles,!!!など、バンドとの契約を増やしています。これからのWarp Recordsも期待大です。いつもありがとうございます!)

次回は、ここで載せる事のできなかった90年代のラッパーを紹介します。


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