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トンデモ

変な先生は普通にいるから変な人が先生なんだ。

自分はなぜこの先生に多分好かれていたが理由は不明だ。人生で未だ謎。

子供の頃は大人しく猫を被っていた。
通知表の連絡欄に、小学生なのに

『若さがありません』


と、書かれる程度に達観した人生を10年程生きてきた。事柄や他人に対する執着がとても薄い子だったし今もそう。友達が去っても悲しみより哀しみを感じていたし、急に態度が変わろうがあゝ残念だなと思うだけ。

地味な子で相手に合わせた生き方をしていた。どうしても私には負けたくない(人生コイツ以下なら死ぬ位の勢い)と思う相手にはその後馬鹿にされても譲る。面倒なのだ。相手の心の澱と向き合うのは。かけっこで追いつきそうになるとワザと遅くした。オシャレなヘアスタイルも可愛い素振りも不要。紙の上の事以外は最下位で良い。

話は先生の事に戻る。

何故か真冬の夜にその先生は自宅を訪ねてきた。子供だが夜更かし好きなので8時過ぎの来訪を玄関先の和室から襖越しに、その先生が何か話を母としていたのを覗く。そそくさと帰る先生を窓越しに結露を拭きながら見送る。母から手渡されたのは本だった。数日後、先生にお礼を言った。ここで感動的な会話がある訳でも無く終わる。

その後中学生になり、偶然その先生と出会う。珍しく自分から声を掛けた。少し立ち話をした。話の流れは覚えがないが『〇〇は若いうちは絶対モテない。だから大人になるまで待て。』と言われた。少々酷い。しかし何故か腹落ちして、周りが彼氏がとかモテないとか悩んでいる時期にも『歳を取ればモテる。』を座右の銘にして生きたお陰で悩みはかなり少なかった。それが果たして良かったのかはわからない。

真冬の夜に先生がくれた本は年齢より少し大人向けだけど読んでいて楽しかったし、良い本だと今も思う。

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冒険の話だけど、このチョイスもわからないし
自分がトンデモネズミの様な異質な生徒だったのかもしれない。

もし先生に会う機会があったとしても何故この本をくれたのか聞かないし、どうして歳を取ればモテると言ったのかも聞かない。

忘れているに決まっているもの。







#忘れられない先生

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