俳句幼稚園 最北端のお茶
村上に居た頃、街中の九重園というお茶屋さんで
母はお茶を買っていた。
お茶屋さんに行くときは何故か自分も付添うのだけど
古いお店のちょっと薄暗さが心地よくて
母が話をお店の方としていても苦にならない。
店内を見ても特に特筆すべきものも無く
ただ、村上の商店街のあの落ち着いた雰囲気が
味わえるだけで充分だった。
母は恭しくお茶を受け取ると、軽く会釈をして
お店を出て、これまた街中の和菓子屋さんに向かい
どれにしようかなと悩んで、後ろに立っている自分に
目くばせでこっちで選んでと合図が来れば、ショーケース
を覗いてこれかしら?と指をさすと
「これも」と包んでもらう。
家に帰り、
出かけただけなのに母は大層疲れたといわんばかりに座り込み
コンロに火をかけてお湯を沸かす。
新茶を淹れても面倒なのか飲む場所は台所。
母はぼんやり見つめた先に
あら?と気付き
カレンダーを6月に変えた。
村上茶
カレンダーめくりめぐらし新茶淹れ
かれんだー めくりめぐらし しんちゃいれ
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