オタール・イオセリアーニ映画祭2:「鋳鉄」をみて
鋳鉄は、ジョージア(旧ソ連グルジア共和国)の冶金工場で働く工員たちの日常を捉えた記録映像とのことです。
全編モノクロ映画でセリフも字幕もなく、ひたすら工場で働く工員の1日を撮った映画でした。
鉄を溶かす炉が小規模に爆発して発破音が鳴り響いたり、ドロドロに溶けた鉄がるつぼまで流れていくシーンは、まるで火山やマグマのようで迫力がありました。
工員は、タバコを吸ったり瓶に入った飲料(ワイン?)をたまに飲みながら、鉄くずを壊したり移動させたりとハードな仕事をしていました。
もし、ワインだったら飲みながら働くのはすごい!むしろ少しのワインなら活力になるのかな?
労働以外では、工員が汗で濡れた衣類を扇風機の風を使って乾かしたり、蛇口から出た水をコップ2杯飲んだり、溶けた鉄で串に刺した食べ物を焼き、それを外で仲間と食べたりするシーンがありました。
文字にすると、工場で働く人々のなにも変哲もないありふれた日常でしかありませんが、映画では危険な仕事で生まれた緊張感がそれ以外のシーンで何もなかったかのようゆるんでいて微笑ましくスクリーンをみつめていました。
映画は、仕事が終わり、みんなでシャワーを浴びて工場から歩いて帰るシーンで終わりました。
溶けた鉄に関わり命の危険があるにもかかわらず、何も起こらずに1日が終わりよかったと見ている私が安堵してしまいました。
死と隣り合わせの緊張感のあるシーンとそういった労働以外の部分が収められていて、これらの大きく異なる2つのコントラストが対照的でした。
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