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わたしのすきなピンクたち

ピンク色がすきだ、ということを、最近自覚し始めた。
単純に、「かわいい」がすきだから。
私はたまたま女の体に生まれて、性自認が女で、女の格好をして生きているのだけれど、これは結構楽しいことだ。ストレートな、いわゆる「女の子っぽい」かわいさというものが私は好きで、そういう成分は自分のアイデンテンティティの一部にばっちり組み込まれていると思う。かっこいいとか美しいとか端正だとか、いくらでもある女の(というか、人間の)装い方の中で、自分は「かわいい」が好きであること、それを自覚することができたことは、とても心強くて楽しいことだ。ピンクは頼もしくて心強い色。

でも「かわいい」って難しいよね。今朝もメイクをしながら思ったことだけど、「かわいい」は「舐められる」ことにもつながりやすいし、「いい年して痛い」「ブスのくせに勘違いしてる」とかにもつながりやすい。それでも私は「かわいい」が好きだ。生きている以上歳はとるし、気づけばもうアラサーと呼ばれる歳だし、肌荒れはひどいし、特別容姿がすぐれているわけでもないけれど。

「可愛いっていうのは、『愛す可し』って書くんですよ」という台詞が好きだ。「美しい」というのはそれ単体でも成立する孤高の概念である一方、「可愛い」というのは、対象を愛しいと思う存在があって初めて成立するように思う。どちらがいいとかではなくて、ただ私は、「可愛い」という概念を、とても面白い、人間らしいものだなあと思うのだ。

「可愛い」というのは、「可哀想」にも結びつきやすい。不完全なもの、未熟なもの、自分が見下ろすことのできるもの、それらに対して「可愛い」という言葉が用いられることもある。そのあたりが「可愛い」の危ういところでもあるのだけれど、同時に「可愛い」の持つ可能性でもあると思う。だって、不完全さや未熟さも含めて「可愛い」なのだとしたら、それってもう、存在の全肯定じゃないですか。人間は、存在しているだけで可愛いのだ。

つらつらと書いてしまったけれど、こうして試行錯誤を重ねながら、すきなことやものの輪郭が明確になっていくのは楽しいことだ。というわけで、わたしのすきなピンクについて語ってみます。結局はコスメ語りだよ!

①NARS リキッドブラッシュ 5155


NARS ORGASM COLLECTION。さりげなくゴールドラメがちりばめられたピーチピンク。つけた瞬間、これは私のために作られた色だ!と確信した。顔色がぱっと明るくなって自然な艶が出る。私はもともとチークには苦手意識があって、チークをつけない日もままあったのだけれど、このチークに出会ってからつけない日はないってくらい気に入っている。ポイントメイクというより、ベースメイクの一部として欠かせない感じ。明るくて素直でかわいい色です。リキッドチークを買ったのは初めてだったけれど、伸びがよくて馴染ませやすく、適当に指でぼかせばいい感じに仕上がるので、むしろパウダータイプより扱いやすいかもしれない。発色がよく一回分が少量ですむのでなかなか無くならない。ありがたい。

②NARS アフターグローリップバーム 3420


またしてもORGASM COLLECTION。3420は「透明感あふれるピーチピンク」らしい。さっきのリキッドブラッシュといい、お前は本当にピーチピンクが好きだな。このリップはパケもかわいい。
色々とコスメを試行錯誤する中で気がついたのだけど、私にとってはこの「透明感」というのが鍵らしい。ピンクならなんでもいけると思っていたけれど、白く濁ったピンクや、くすみピンクなんかはどうもぱっとしない。その点このリップはいいです。濁りのないきれいな色で使いやすいです。リップを使い切るのってなかなか難しかったりすると思うのだけど、この一本は買って一年も経たないうちに余すことなく使い切ってしまった。(ただこのピンク色には、ちょっと青みも含まれてるような気はするので、若干顔から浮いてみえることもある。そういう点では、自分にとってはベストカラーではないのかもしれない。それでも、かなりベストに近い色。)

③エチュードハウス プレイカラーアイシャドウ ピーチファーム

またピーチかよ。この記事を書くまでまったく自覚がなかったけれど、お前は本当にピーチがすきだな。確かに岡山県民にとって桃は飲み物だけど。
このアイシャドウは何よりもコスパがいいです。10色入って定価2700円なので1色あたり270円、つまり実質無料と言える。(言えない)
個人的にありがたいのは、締め色のブラウンもダークすぎないところ。私はアイメイクに暗すぎる色を使うとただの目元が黒ずんだ人になってしまうので、パレット左端のオレンジっぽい明るいブラウンは締め色としてとても重宝している。
このパレットは名前のとおりピーチピンクが中心だけど、中にはオレンジっぽい色味もあって、その日の服装や気分に合わせていろんな色が楽しめるのでよい。左から1番目、3番目、5番目、7番目の色をよく使います。

④トム フォード ビューティ クリーム カラー フォー アイズ 03 スフィンクス

これは最強です。最も美しい、滑らかで上品でキュートでゴージャスでファビュラスなピンクラメ。いや、これを「ピンク」という一言におさめることはできない。ピンクを中心にいろいろな色のラメが入っているから光の当たり方や角度によって見え方が変わる。ゴールドやベージュのようにも見える。写真に映せない美しさ。
アイシャドウなんて高いものも安いものも大体一緒だろと思っていたけど全然違った。これと一緒に使えばどんなプチプラアイシャドウも高級に見える。スフィンクス自体はラメがメインでそこまで発色が強いわけではないので、私はほかのプチプラアイシャドウ(最近はもっぱらピーチファーム)と合わせて使うことが多いです。正直ピーチファームは付属のチップでつけるとべたっと色がつきすぎてしまったり、ラメにムラがあったりして単体だと納得のいく仕上がりにならないこともあるんだけど、上からスフィンクスをつけて指で適当にぼかすだけでなんかいい感じになる。つまりスフィンクスは最強です。この美しさを表現できる語彙力、もしくは撮影できるスキルがほしい。まぶたがツヤッツヤになります。下まぶたにのせても可愛い。顔面と言う名のパレットに絵を描くときだけでなく、なんかこう、芸術作品の制作とかにも使えそう。美しい。

⑤エレガンス リクイッド ルージュ ビジュー 05
②のリップを完全に使い切ってしまい、ピンクリップがなくなったのでこちらを買った。ピンクがないと生きていけないので。
エレガンスのカウンターに行って、「ピンクが好きなんですけど、明るくて透明感があって、くすみ系や青み系とかじゃない、可愛い感じの色はありますか?」と面倒くさい質問をしたらこの05番をおすすめされた。強すぎず自然な明るさのある、馴染みのいいピンク。重ね塗りするとほんのりオレンジっぽさもある。程よく艶っぽい質感も好き。ティントなので落ちにくく、また保湿もしてくれるらしいです。買ったばかりなので、これから使い込んで馴染ませていくのが楽しみ。

以上、個人的に愛しているピンクたちでした。
コスメに関しては、「似合う(と思う)もの」が「好きなもの」になっていくんだなあと実感している。
澄んだ明るい色、素直に「かわいい」と思う色がしっくりくると気づいてから、そういう色が好きになったし愛着がわくようになった。青みピンクもめちゃくちゃ可愛いと思うし、くすみピンクも大人っぽくて素敵なのだけど、そういう色については、それが似合う人の顔の上で輝いていてほしいなあ、という気持ち。

とりあえず、かわいいピンクがすきです、という話でした。

BGMは大森靖子の「絶対彼女」で。
君もかわいく生きててね♡

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