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SixTONES「人人人」のとんでもなさと、音楽するって何なのか

年末年始、半年ぶりに姪っ子たちに会った。
6歳の姪っ子は、私が寝ても覚めてもSixTONESに狂っているのを見て、

「○○(自分の名前)は、なにわだんしが好き。すとーんず?……なんかこわい」

確かに幼稚園児に「Boom-Pow-Wow!」は刺激が強すぎたかもしれない。
それでも「Good Luck!」は気に入ったようで一緒に踊ってくれた。優しい。

さて、2023年の初日からSixTONESとSONYが仕掛けてきた。
カウントダウンをするかのように、1時間おきにTwitterに投稿された楽器の画像。ギター、ベース、キーボード、ドラム……昨年8月に「PARTY PEOPLE」を解禁した時を思い出させる。今度は何だろう。

期待値を十分に上げ、満を持して公開されたのが、YouTubeのアルバムダイジェストでも隠されていた「人人人」だった。

……なんか、とんでもないものを見せられている。

最初の1回は、あまりの情報量にただぼんやり眺めるのが精一杯。
それでも、イントロから勝手に体が動く。リズムを刻む。大画面のテレビの前にいるのに、まるでライブハウスに来ているかのような臨場感。
歌っていないメンバーをあえて映すのめちゃくちゃいい。何だもう、SixTONESが一番SixTONESのファンじゃん。他のメンバーを見る顔、みんながみんな、

「こいつ最高!こいつやべえ!」

って叫んじゃってるくらい目キラッキラじゃん。楽しくて楽しくてたまんないって顔じゃん。

……音楽ってこうじゃん。

そう、音楽ってこうなんだよ。

圧倒されて失いかけた語彙力を必死でかき集める。
音楽。音を楽しむと書いて音楽。辞書を引いたらこのYouTubeにリンクが飛ぶようにしてくれ。説明不要、見れば分かるヤバさSix Men。

私は20年以上合唱をやっているが、「音楽しよう」とか、「音楽できてないね」という言い回しをよく使う。「音楽する」って何なのか。

まずは楽譜に添って歌うこと。正しいピッチ、指示された強弱、発音や発声。でも、それ以上の表現ができなければ、ただ「楽譜どおりに歌えたね」で終わる。「音楽する」は、その先にある。

なぜこの曲を歌うのか。
聴いている人に何を伝えたいのか。
そして、歌い手自身が楽しんでいるか。聴き手を楽しませたかったら、まずは演者が楽しくなければ始まらない。だけど、演者だけが内輪で楽しんでいるだけでは自己満足で終わり、聴き手にまで届かない。

すごくすごく難しいことだ。でも、「音楽ってそう」なのだ。

改めて「人人人」を見る。聴く。6人がアドレナリン全開でライブを楽しんでいる。
特に後半、樹の「古来のまじない 信じないなんてあり得ない」を皮切りに、相乗効果でどんどん盛り上がっていく。もう止まらない。かっけぇサウンドを紡ぐバンドの方たちも笑ってる。楽しくて仕方ないって顔で。

そこでようやく気づく。
……この歌詞、すんごいこと歌ってるじゃん。

「準備なら上等」
……ああ、ANNで樹、ドリボの袖でめちゃくちゃ台詞練習してから出るって言ってたな。

「奮い立たせろ We are the player!」
……ジャニーズとして酸いも甘いも経験してきた慎太郎の、鼓舞する声。

「控えも替えもなんもいらねっ そう笑い出すSoul」
……きょもほくの声質の親和性、精度増してる!そう、唯一無二の6人。

「あざっす スタッフ お客さん」
……軽やかな言い回しで、だけど真摯に届く髙地の言葉。

「Gotta be your stars…… 震える手を抑えながら」
……ジェシー!!!(涙ぶわっ)

あんな覇王色の覇気使いでありながら、緊張しいでネガティブで、手汗でメダカ飼えるとか言っちゃうジェシーがこのフレーズを歌うのか。
そこでさらに気づく。「人人人」で、6人てことか。おまじないと6人組をかけてるのか。

え、天才?佐伯さん。

「何があったってShow time」が一際重い言葉。コロナであらゆるエンタメがストップした時期のデビュー。制限だらけでままならなかっただろう音楽活動。
ここ最近は事務所の方もゴタゴタしていて、ファンも「SixTONESは絶対大丈夫」とは言い切れない不安を感じた。

それら全てを分かって、受け止めた上で、「何があったってShow time」と歌う。
歌唱力や表現力、サウンドはアイドルという枠をとうに越えているように見えても、あくまでもアイドルとしてパフォーマンスをする、覚悟。そんな激重リリックを、軽やかにさらりと歌ってみせる。

かっけぇ~~……。

結局語彙力は失われたまま戻ってこなかった。この一週間で何度リピートしただろう。何度見ても飽きない。むしろこの曲のスルメっぷりを実感するだけだ。噛めば噛むほど味が出る。
そして見るたびに、セット、照明、歌詞の表記の仕方、メンバーを映す構図など、この5分30秒にたくさんのこだわりが詰まっていることに気づく。

音楽してるなあ!音楽っていいな!
CD音源とは全然違うからこそ、PLAYLISTに生歌唱を上げ続けてるんだな、彼らは。

自分たちで曲を作っているわけじゃないけれど、頂いた曲は全部我が子のように愛してると言うSixTONES。
詞も曲も自分たちの中に落とし込んで、かみ砕いて咀嚼して、血肉のようにしてから歌っている。だから、まだそれほど歌い込んでいないはずなのに、完全に自分たちのものにしている。これは、曲を提供する側もめちゃくちゃ嬉しいことなんじゃないかと思う。

沼落ちしてから丸一年、熱が落ち着くかと思ったら全然そんなことなかった。
多分今年も彼らに振り回され、手の中で転がされるんだろう。楽しみで仕方ない。

そうそう、ドーム決定、おめでとう。どれか一公演でいいから行けるように願っている(これアリツアの時も言ったな……)。