間違いない面白さと、辟易するストレス要素の陰陽『FF7 リバース|FINAL FANTASY VII REBIRTH』
ゲーム概要
プレイ時間:トロフィー数48/61、メインシナリオクリアまで73時間
まず言っておくと、本作は間違いなく評価できる要素が多い。
フィールドや戦闘、サウンド、グラフィックは高水準でまとまっており、キャラゲーとしてみた時の描写もサービスが効いている。
ただ一方で、プレイしていて気になる点というのもはっきりしている。
というわけで「いいところ」と「よくないところ」の二本立てでレビューを書いていきます。
ネタバレあるので本作未プレイ or 原作未プレイの人はお気をつけて
いいところ
グラフィック・サウンド・フィールド
グラフィックに関しては1作目のFF7リメイクを引き継いでいるが、改めて綺麗さに感嘆させられる。
PS5ではグラフィック優先とパフォーマンス優先のモードがあるが、グラフィック優先の美しさは確かに素晴らしいと感じる(ただFPS低下が気になる)。
今作ではオープンなフィールドを探索することもあり、森や海、荒野などの広大なスケールの自然風景や、一般動物、モンスターまで丁寧に作りこまれたグラフィックを画面いっぱいに堪能することができる。
また、ファンタジーならではの画面効果、エフェクトも豪奢で、
操作パートとシームレスなムービーシーンも、プリレンダのムービーもどちらも美しい。
キャラ造形も凝っており、一緒に旅をする仲間たちはもちろん、各地で知り合うサブキャラクターまで印象に残る人が多い。
特にプリシラめっちゃかわいい。
まじでめっちゃかわいい。それだけで満足。
サウンドに関しても言うことなしの出来。
原作はもちろん、スピンオフ作品からも印象的な曲の数々を取り入れており、フレーズが流れるだけで様々な思いに馳せさせてくれる。
個人的にはシスネ登場時にCCのBGM流れた時がとても好きだった。
オープンなフィールドの探索要素もボリュームがすさまじい。
正直探索要素にはストレス要素も多いのでここは後述するが、作りこみの多さ自体は高く評価できる。
カームの町から出て自由に探索できるようになった時は、「これメイン放りっぱなして寄り道するやつだ」と思わず嬉しい悲鳴が漏れてしまった。
各地で発生するクエストも、内容・長さともにほとんど問題なく遊びやすくまとまっており、関連するキャラの内面や過去、考え方なども垣間見れる良要素だ。
ロードムービー風キャラゲーとして
本作ではミッドガルから出た後のクラウドたちの旅を描いたシナリオが展開される。
基本的にはリユニオンのためにセフィロスのもとへ向かう黒マントを追いかける形で、カームからジュノン、コスタ、ゴールドソーサー、コレル、ゴンガガ、ニブルヘイムと海や大陸またいで旅をしていく。
その中で増えていく仲間たちとの関係の描き方が本作では一番楽しい部分だと感じた。
特に本作は中盤のコレルくらいまでは結構明るい雰囲気で物語自体も進行していく。
道中のクエストで見られる仲間たちとのコミュニケーションだとか、メインストーリーで描かれる細かな表情から読み取れる感情の機微だとか、丁寧に描写されていて素晴らしいと思う。
で、コレル以降ちょっと重たくなりがちな雰囲気は、途中参加したユフィとかケットシー、元のキャラに戻ったレッドたちが柔らかくしてくれる。
これまで神羅やセフィロスと戦うための仲間だった存在から、
旅の仲間としてさらに親密になっていく過程を見ることができ、彼らのやり取りを聴いているだけで思わず顔がほころんでしまう。
…それだけに終盤がつらい。
ザックスやシスネ
あたしゃクライシスコアが大好きでねぇ…
もうザックスで操作できた時点で嬉しくってねぇ…
しかもゴンガガじゃシスネまで出てくるじゃろ?
あたしゃもう満足だよ…シスネ…あんたに会えて…
真面目な話、ザックスパートは本編とは別の、多分パラレルな世界ということになっている。
同じく生き残ったことになったビッグスや、エルミナ、マリンとのコミュニケーションを見ていると、やっぱりザックスええやつやな、と感傷的になってしまう。
一方で、ザックスの世界とクラウドの世界が今後どう関係していくのかというのが気になって仕方ない、ストーリー的なモチベーションを維持してくれる存在となっていた。
スピード感と戦略を両立した戦闘
戦闘システムは前作から引き続き、リアルタイムなアクションとコマンドを組み合わせた方式をとっており、スピーディな戦闘の中でATBやMPの使用タイミングや、敵のバーストゲージを管理する戦略性も両立したものとなっている。
個人的には本作の戦闘は非常に楽しめているが、あまり好きではないという意見もみられる。
戦闘の難易度が高いとか、バースト前提の硬さになっているとかはよく見る意見だ。
確かにそれも一理ある。
そもそも敵の攻撃タイミングを見ながらアクションしつつ、仲間のATBゲージの管理などもしないといけないので考えることが多い。
また、敵の弱点属性は基本1つだけだし、HEAT状態やバーストに至る過程も敵によって手順があったりするので「みやぶる」前提になっていて、ただ剣を振っていればいいだけじゃないのも言ってみれば面倒だ。
さらに本作では操作できるキャラが増えた上、仲間との連携コマンドも新規に追加されている。
常に忙しい操作が要求されるので難しく感じることも多いだろう。
救済措置としてクラシックモードが用意されているが、それはそれで負けた気になるので使いたくないのもわかる。
というわけでいろいろ詰め込んだ結果人を選びかねない戦闘システムになっていることは確かだ。
ただ個人的にはおおむね楽しめているのでこのレビューでは高評価としたい。
ただし、ATB貯めるために通常攻撃が必要なのに、その通常攻撃を回避したり効かなかったり、カウンターしてくる敵がたまにいるのは苦言を呈したい。
攻撃効きづらいのはともかくとして攻撃を当てさせてくれないのは単純にストレス要素だと感じた。
具体的に言うとクラゲとか狼系の敵は頻繁に避けてくるし、ルーファウスはカウンターうざい。あとタークスとかのボスが一定HPでカットイン挟む都合上無敵状態になるのってほんと腹立つ。
よくないところ
テンポの悪さ
詳しくは後述するが、全部ひっくるめて単刀直入に書くと「何をするにもテンポが悪い」。
新しい要素が絶えず追加され、その度に操作などの説明が入り、演出も過多で長く、見返りも美味しくないのに、ほとんどの要素はただただつまらない。
序盤こそボリュームの多さに期待したものの、中盤からは溜息が増える。
時間をかけて色々クリアした今思うこととしては、「さっさとメインストーリーだけ進めるべきだった」。
探索全般
本作ではグラスランドエリア、ジュノンエリアなど、いくつかのエリアごとに広大なマップと収集要素が用意されている。
この収集要素は集めるたびに演出や会話イベントが入ることが多い。
演出はこんな感じで👇、5~10秒程度拘束される。
また、👇こんな感じで頻繁にチャドリーからの連絡が入る
演出と会話が連続すると大体こうなる👇
携帯端末をしまう→着信音がする→携帯端末を開く→チャドリーと会話→携帯端末をしまう→ワールドレポートポイント追加演出→移動可能になる
1つ1つの演出や会話は短いものの、塵も積もればというやつで同じ演出を見るために何度も足止めされることになるのはかなりのストレスだ。
また、チャドリー関連で言うと、今回チャドリーが作ったAIであるMAIというキャラクターが登場し、度々チャドリーとMAIの会話演出があるが、その内容があまりにも不毛、さらにはMAI自体その存在意義がゲームを通して感じられないので完全に蛇足になっている。
移動に関しては、各エリアごとにチョコボを使ったギミックなどがあり、ゴンガガエリアなどの入り組んだ地形や、ギミックを使わないと移動できない場所などは道順を強制されるので移動面でもストレスとなる。
あと仲間全員がそれぞれチョコボに乗ってついてくるので、狭い場所に入ると本当に狭い。一回降りたら仲間にぶつかって方向転換してもう一回チョコボに乗っちゃうこととかある。面倒。
あとコレルエリアのバギーの乗り降りモタモタ。面倒。
幸いなのはマップの大きさほど実際の距離は大したことないので、移動に余計な時間を取られることは少なかった。
エンシェントマター関連
エリアの収集要素としてエンシェントマターという遺物を集める要素があるが、エリアによってその過程でミニゲームが強制される。
このミニゲームが正直何も面白くない。
面白くないのにいちいち操作や要素を覚えないといけないし、1ゲームに時間かかるし、調査の終盤は難易度が高くなるのでリトライも必要なる。
具体的には以下のミニゲーム
ジュノンエリアのコンドルフォート
昔の3Dモデルが見れたのは面白かったがタワーディフェンスゲーム自体は面白くはない。後半は難易度きつい。
コレルエリアのサボテンノック
物理と魔法使えるユフィはいいが、ほぼ魔法専門のエアリスでやらせることじゃない。何も気持ちよくない。
コスモエリアのガンビットギアーズ
文字数多い。強制ミニゲームでやらせる内容じゃない。
最後の盤面でいきなり敵が回復行動を取り始める。あほちゃう。
ニブルエリアの黒マント追跡
のろのろ歩く黒マントを後ろから追いかけたあと戦闘イベント。もうアイデア尽きてるじゃん。
で、無駄に長ったらしい収集を全部終えた結果、結局エンシェントマターは奪われて、代わりに微妙な性能のアクセサリーが作れるようになるだけです。
今プレイ中の人、今からプレイする人、さっさとメインストーリー進めたほうがいいです。
ただもっと最悪なのは、ニブルエリアの黒マント追跡は、本筋のストーリーや別クエストとの関連があるという点。これのせいで完全無視もしづらい。
モーグリコープのモーグリ集め
これはもう開発者の中にモーグリが心の底から嫌いな人がいて、プレイヤーにも同じくモーグリを嫌いになってほしいがために作ったミニゲームでしょう。
お見事、私は今作でモーグリが嫌いになりました。
ミニゲーム自体は各地のモーグリショップを開店するため、モーグリの子供を集めるというものです。
モーグリはいたずらを仕掛けてくる上、いたずらに引っかかると目の前で煽り行動をとられます。
制限時間オーバーするか、いたずらに3回引っかかるとゲームオーバー。
幸いいずれもゲームオーバーにはならずにすみましたが、最初から最後まで面白くないどころか寧ろイラつくだけのゲームです。
他キャラ操作パート
ニブルヘイムではケットシーの操作パートがあります。
ケットシーはダッシュ中に壁にぶつかると転んで起き上がって、というモーションが入るので壁にぶつかるだけでテンポが止まります。
また、モーグリで箱を投げてスイッチを押すギミックがありますが、操作が独特でうまくいかないこともしばしば。
セトラの神殿ではエアリスの操作パートがあります。
ギミックを解くため、エアリスでエネルギーを回収しないといけないのですが、まさかのいちいちボタン長押しで祈るモーションをしないといけない仕様。
結晶を壊して祈る、敵を倒して祈る。
もうシナリオも終盤で次々行きたいのに急にギミックの説明されたときはもう呆れて溜息でした。クリアまで行こうと思っていましたが萎えて中断しました。
その他
・アップシーン多い?
これ自分しか気にしてないかもですが、
ムービーシーンでキャラの顔面アップ多くないです?
基本的にはどのキャラも美形なのでアップでもいいっちゃいいんですが、
宝条とかグレンの顔面アップはきついっす。
・エンドクレジット長すぎ
20分あるよ。
別に観ても本編のムービー流れるだけだし、Cパートもないので飛ばしたほうがいいよ。
まだどちらとも言えないところ
「いいところ」「よくないところ」を書いてきた最後に、
まだどちらとも自分の中で評価を下せていないことを書いて終わりにしよう。
原作やスピンオフ前提のシナリオ
原作とは違ったテーマを展開したい、原作ファンにも響く内容にしたい、スピンオフのキャラや設定も回収してサービスしたい。
そういう思いはわかる。
だが果たして、原作知識があってこそ気づけたり驚けたりする要素を散りばめ、クラウドの記憶関連の謎を小出しにしたために原作にあったカタルシスを無くし、セフィロスももう2度も敗北を喫して強敵感が薄れ、新規には説明不足なザックスの続編を描いて、誰にも説明をさせずに画だけで描写し、新規にもファンにも敷居を高くさせてまでやることだっただろうか。
早い話が、すでに完成された原作のシナリオにほぼ忠実に沿って、
グラフィックやサウンド、システムだけブラッシュアップさせておけば、
新規にもとっつきやすく、原作ファンも思い出を追体験できる無難に評価されるリメイクになる可能性も高かった。
言ってみれば流行りのマルチバースを取り入れておいて、もしも他のマルチバース作品で見たような展開を次作以降で見せられたところでプレイヤーにはなにも響かないだろう。
FF7としてそれなりのシナリオが展開されることを期待する。
エンディング
エンディングの話をします
未プレイの方は見ないでください
何連戦だかわからないラスボス戦を終えた先に待っていたのは、
避けられなかったエアリスの死だった。
同時に、エアリスの生存する可能性のある世界も示唆された。
だが、クラウドは今の世界でまだエアリスが生きているように錯覚しているのか、エアリスとの別れを悲しむ仲間との気持ちのずれが生じている。
セフィロスを倒すという思いと同時に、いまだセフィロスの呪縛からは逃れられず黒マテリアを隠し持ち、仲間たちをセフィロスが待つ北の地へ導いていく。
正直終盤のクラウドは見てられないほど不安定で気味の悪い存在になっていて感動よりも不安が勝ってしまった。SF作品で二重思考のキャラを見ている感じだ。
そりゃ原作でもクラウドの情緒は壊れてしまうが、本作の壊れ方はまたちょっと方向性が違う。本作ではプレイヤーや仲間を置いてけぼりにして、クラウドだけに見えているものが多すぎる状態になってしまっている。
傍から見れば本作のエンディングは取っ散らかっている。
整理も説明もされていない世界が複数あり、どのシーンがどの世界なのか断定できないからだ。
ザックスが神羅本社に向かった世界、空っぽの魔晄炉でビッグスが死んだ世界、ザックスが教会の前で座っていた世界、エアリスが生きている世界…
クラウドには最後割れた空とエアリスが見えているので、エアリスが生きている世界が見えているはず
だがこの取っ散らかったエンディング、複数の世界がちゃんと次作で回収される可能性もまだ残されている。
旅の終わりがちゃんと納得できる形で描かれることを次作に期待して以上としたい。
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