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【前編】サヨナラ負けの悲しみは、サウナが溶かしてくれるから/野球×サ旅[4月_大阪・神戸]

「え、なにこれ?エイプリルフール?」
冗談めかしてそう吐き捨てて去りたかったけれど、もはやそんな余力すら残っていない。

4月1日の京セラドーム大阪、阪神タイガース対横浜DeNAベイスターズ。
14時に始まった試合は18時をとうに過ぎて延長12回裏、2アウトまでこぎつけた後のあまりにも劇的なサヨナラ負け。三塁側スタンドで私はしばし呆然として、席から動くことができなかった。

この日の試合についてはコチラで。
丸尾マイコさんの、鋭い観察眼と海より深いベイスターズ愛に溢れた試合ブログです。私の好きな選手(後述)についても書いてくださっています。

この時期は春の選抜高校野球大会で甲子園球場が使用中のため、阪神のホームゲームは京セラ開催です。実は今回が初めての京セラ観戦。天井かっこいい…

疲れ切った心身を引きずるようにして駅へ向かいながら、Twitterのタイムライン上でフォロワーさんとお互いに励ましあう。

「サウナで汗と一緒にいろいろ流してきましょう……」

そう、私たちにはサウナがある。悔しさは次の試合への糧として噛みしめるとして、悲しみと疲れはサウナでもう流してしまおう。

進化する老舗・大東洋

地下鉄で梅田へ移動。駅周辺の人混みから少し外れて、この日の目的地に到着。

「師匠、ついに来ちゃいましたよ……!」
京セラからずっと着たままの青いビジターユニフォームの背番号68に、思わずそう語りかけてしまう。私の好きな選手でサウナ・スパ・プロフェッショナルの資格を持っていることからサウナの師匠(と勝手に慕っている)でもある、森原康平投手の背番号だ。この日も延長11回裏で好投して無失点、スタンドで観ていて心の底から誇らしかった。

大阪老舗サウナの雄、サウナ&スパ・カプセルホテル大東洋。

建物外観は昭和50年代あたりのレトロ感、でも一歩中に入ると白が基調のいまどきな内装。そのギャップはまるでリノベーション物件のよう。サウナブームに合わせて老舗もいろいろ工夫してるのねぇ。

エレベーターから先は、男性と女性とでレストラン含めエリアが完全に分かれる。

女性のロッカーエリアはエントランスと同様に明るくておしゃれ。共用スペースにはフリードリンク(お水とコーヒー。ソフトドリンクも?)とコンセント付きテーブル、同じフロアに洗面台やシャワールーム、有料のランドリーもある。バスタオルとフェイスタオルは自由に使えるように積まれている。歯ブラシなどのアメニティもばっちり完備。

もう……サウナに入る前から至れり尽くせりじゃないですか……
宿泊予約もそりゃあなかなかとれないワケだわ(WEB予約は宿泊日の2週間前からですが光の速さで埋まります)。

ロッカーで身支度を整えてサウナへ。
浴場のある地下1階へは、エレベーターではなく階段での移動。一度エントランスエリアに出て、奥のパーテーションの裏を通ると地下への階段に繋がる。この動線は受付時にフロントでも説明してくれるが、うっかり聞き流すと後でアタフタしそう。

浴場はエントランスやロッカーエリアのようにリノベされてはいないが、古き良き+手入れが行き届いている感じ。

入口から入るとすぐに洗い場が視界に入り、その奥に2~3名サイズのお風呂が3種(日替わり湯あり)。洗い場の右手にドライサウナとミストサウナが並び、ドライサウナの奥の扉を抜けると大きなお風呂とフィンランドサウナ、水風呂2種(14度・24度)、ととのい椅子が5~6脚ほど。

サウナを楽しみたい人とお風呂を楽しみたい人とで、ざっくりエリア分けできている印象を受けた。さすが、進化する老舗。

悲しみが溶けるまでサウナに浸る

メインのドライサウナがまぁ広いこと!最大で15人くらい入れそう。約90度でちょっと熱め、でも息苦しくなく長く入っていられる。照明も暗めで落ち着いていて、個人的にかなり好みのサウナ。
ストーブ前の空間が広く作られていて、小さめのサウナシアターのようになっているので、アウフグースもここでやっているのかな?

が、あとで館内掲示を見ると
「女性スタッフによるアウフグースは4月1日より当面中止します」
と書いてありました。えええ!よりによって今日から!そんな……!
(補足:その後公式サイトのお知らせに「人員不足のため」と説明が足されていました。どこのサウナも人繰りが大変そう。再開お待ちしてます!)

事情があって約3週間ぶりのサウナなので、いきなりの冷水は避けて24度の水風呂で身体を慣らす。

ととのい椅子で目を閉じると浮かんでくるのは数時間前の京セラ、試合終了の瞬間。いや、やめて。私が見たいのはそんな光景じゃないの。今日いちばんの個人的ポジ、森原選手の好投に脳内を必死で切り替える。た、たすけて……師匠……

気を取り直してフィンランドサウナ。5~6人入れば満員になるサイズ。75度の低め設定だが、セルフロウリュで好きなように温度と湿度を上げられる。たまたまひとりになったので、かけ放題させてもらった。

好きなだけ蒸された後、今度は14度の水風呂へ。
そういえば、池袋の名店『かるまる』も6度のトルネード水風呂と21度のバイブラ水風呂が並んでいる。冷ためとぬるめを使い分けできるって便利だし、水風呂に慣れていない人にもやさしいよね、と改めて思う。

休憩を挟んで再びドライサウナ。中にあるテレビではニュース番組のスポーツコーナーが流れている。WBC直後ということもあり話題はずっと大谷翔平選手。おーい、日本のプロ野球ももう始まってるんだよー。

サウナ→水風呂→休憩を5セット繰り返すうちに京セラの悪夢もフラッシュバックしなくなり、いつもの幸福感が脳内に戻ってきた。

好きなチームが勝ったときは高揚感を穏やかにととのえてくれるし、負けたときはその悲しみを熱波で溶かしてくれる。選手たちは身体のリカバリーにサウナを活用するけど、応援する私たちの心のリカバリーにもサウナはきっと有効だ。

ロッカーエリアに戻ると、いつのまにか23時。明日の予定を考えるとサ飯にはちょっと遅すぎるか。このまま気持ちよく眠れそうだし、今日はここでゲームセット。おやすみなさい。

関東では滅多にお目にかかれない白バラさんで〆。

中編・後編につづくよー!

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