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融解。

雪が好き、冷たくて解けて何もなくなるみたいに、何もなかったみたいに。ずっとある呪いを隠して、冷たいまま、すこしだけ分かり合いたかった。放置しても抉っても痛みも想いも変わらなくなった。なにもないことに慣れていたくない、なにもないのに。新しくベットリと張り付いた何かを気づかないふりをする。どんどん人じゃなくなる心に蓋をして、蟲毒の中、いつが私の番だろう。振り払えないからずっとあるのに『もう大丈夫だ』と勝手にされること、本当に気持ち悪い。わかった気になられた分だけ冷静に嫌いになる。捻じれた痛みはもう痛みとも声を上げず勝手に蝕んでいく。呪いを呪いとするのも私だから溶かそうと必死になるたび歪み、視界が真っ暗になる。暗闇はもう慣れた辛くないからどうにか、大事だったはずのものも夢幻になって、夢幻をいくつ並べたかな、美しくキラキラ、輝いてるよ。誰でもない僕が悪い。誰でもない僕が悪い。もう基本すべてを許せるようになりたい。明日は大丈夫が大丈夫だったことはなくて、大声で叫んでも助けは来ないから強くなりたい。どこまでも。ただ大事に抱えてるのは心だけなのに、ずっと死の淵にいることに疲れてしまったよ。もう少しだけ、もう少しだけ、もう少しだけ頑張るから、少しだけ呪いが解けてくれたらいいのに。それが無理ならもう死んで構わない。別に大袈裟な話ではなくて。

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