見出し画像

卒コンのお話

17時間寝た。それくらい、全てを出し切ったらしい。まだ文字に起こすには身体的な元気を取り戻しきれていないけれど、記憶がしっかり残っている間に残さなければ、いや、遺さなければという気持ちで卒コンのことを書く。

先日、自分は所属していた軽音楽サークルを卒業した。これまで自分にとってライブというものは、実力不足という現実と、人間との対峙を痛いほど突きつけてくる凶器のようなもので、とても耐え難い存在だった。

けれど、あえて飾り気のない素直な言葉を使いたい。今回卒コンまで「頑張ってみてよかった」。自分の拙い告白が、何人かの部員の心に響いたこともそうだし、苦しくて苦しくて堪らなかったギターの集大成として、ギターソロが満足いく仕上がりになったこともそうだし、最後のバンドの、最後の曲で、自分の中ではじめて「上手いかどうかなんて関係ない。やりたいように歌おう」という感情が生まれたこともそうだ。自分が、あの自分が、周りの目を気にせずに好きなように歌を歌えたなんて。なんて、なんて尊い経験だったのだろうか。

軽音楽のライブに限らず、中高と所属した吹奏楽部の演奏の中でも「やりきった」と思った経験は1度しかない。高3の夏のコンクールの予選。曲を吹ききってバッと立ち上がった瞬間、その動きとは逆に、重力に従って勢いよく涙がぶわっと溢れた。その対照的な感覚を今でも忘れられない。感動、感動、そして浴びるような歓声。
ただその時はあくまでも予選で、次に向けて調整をしていかなければならなかったし、次に進んだ大会ではそれほど満足いく演奏ができなかったため、本当にその瞬間の喜びしか記憶には残っていない。

ただ今回は違う。ミスをしたことも含め、全てが自分にとって本当にかけがえのない財産だった。卒業は寂しかったけれど、涙は出なかった。ただただ喜び。悦び。歓び。周りからいただいたお褒めのお言葉にも、否定の気持ちは生まれなかった。ただただ素直に「ありがとう」と言えた。もし自分の演奏で誰かの心が翳っていたとしても、「ごめん!!でも私はやりきったんだ!」と心から言える。

後輩、特に同じような悩みを抱えている後輩、やりきってみろ。信じてみろ。きっと無駄じゃない。絶対、それを乗り越えた先に見える景色があるよ。

こんな体験をさせてくれた環境、人、人、人…………。全てに感謝したい。本当にありがとうございました。