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心からこぼれ落ちたものを受け止めてほしい🎞映画考察🎥

ご挨拶

新年あけましておめでとうございます!🐇
記念すべき初投稿です…!
最初に張り切ると3日坊主になって脱走するで有名な私ですので、さっそく本題に入らせていただきます。とはいうものの、コンスタントに投稿はせず、きままに顔を出しに来ますね。

拙い文章ですが、飾らずまっすぐな言葉をお届け致します!
ぜひ最後までご覧ください。

映画『ゆめのまにまに』

監督&脚本:張本香織
制作:ディケイド
配給:スールキートス
主題歌 : サンローゼ(湯蕩天使)


ざっくり概要

浅草にあるアンティークなものを扱う「東京蛍堂」を舞台に繰り広げられる人と時間が交差する日々を描いた作品です。風変りな店主と店番のマコト、店に訪れる人たちとの不思議な関係、その独特の世界観に惹かれていきました。

店主に会いに来る年齢も性別も違う様々な客たち、しかし所せましと並ぶ骨とう品の買い付けのために店を空けることが多い店主とはすれ違う毎日。そんな中、一目会うことを諦めず毎日店に通う女性・真悠子が現れます。店番のマコトは真悠子の謎めいた雰囲気にどんどん惹かれていくんですね。(私もそう)
ーー「和郎さん(店主)、今日はいるの?」
店に訪れる人達がこぞって気にかける、店主。東京蛍堂で結ばれた人間関係が、形を、色を変えていきます。独特の時間の流れを感じられる作品です。

!!!以下がっつりネタバレに入ります!!!
気になる方のみどうぞお進みくださいませ🙇




【考察】「本当の自分を受け入れてくれませんか?」

この作品で一番私が気になったところ!それは「なんでみんな店主に会いに訪れるの?」という点です。ここからゆっくり私なりの解釈を進めていきます。

人には誰しも、「受け入れて欲しい」と願う欲求が多かれ少なかれ根底にあると思います。
実は割と真剣に考えていて、でもそれを受け取ってくれる相手なのか、探り探り軽ーくパスしてみるものの、スカッとよけられてしまう。それ求めてる返答じゃない。。そんな風に思った経験ありませんか??

・青年
「俺、今度子供が生まれるんすよね。」
「自由って何なんすかね。」
・サラリーマン①
「俺、田舎暮らしでもして、ゆっくり第二の人生歩みたいんだよな。」
・女子高生
「マコトくん、店閉めて今から海に行こうよ。」
「そんな風に受け取っちゃうところも違うんだよ。」
・常連の女性客
「物を買う時って、手放す理由を探しているのか、欲しい理由を見つけようとしているのか。どっちなのかしら。」
「アンティークってこの世にもう数が限られているじゃない?なくなってしまうその儚さに惹かれているのかしら。」
・サラリーマン②
「物の方が先輩ですからね。学ぶことがたくさんあります。」
・真悠子
「どうしてこんなにままならないんだろう」

劇中で登場した印象的なセリフです。
登場人物の胸にうずめく思いが、ここ東京蛍堂では溢れてきてしまいます。

店番のマコトに話しかける客たちですが、マコトの返答はというとかなり上っ面をなでるようなものばかりで、客たちと一定の距離感を保とうとしているようでした。正直、誰かに話を聞いてい欲しいときに、わかったつもりになって下手な返答をされるより、ただ隣で気持ちに寄り添ってくれる方がうれしいときありますよね。時々マコト君の返答にうずうずしてしまいました…




【考察】 真悠子が店主に惹かれる理由

結局この劇中で、店主と会える客は謎めいた女性・真悠子だけなんです。

毎日店に訪れる真悠子ですが、真悠子はどこから来たのか、店主とどこで出会ったのか等、マコトが聞いてみてもろくな返事はしません。自分のことを話すような性格ではありませんでした。先ほど印象的だったセリフの一番最後に真悠子のセリフも書きましたが、真悠子がちゃんと喋ったのこのセリフくらいです。店員さんと話す時間好きな私。おったまげ。

「どうしてこんなにままならないんだろう」

真悠子が発したこの言葉、思い通りにいかないことは何だったんでしょうか。…店主に会えないこと?それだけではないように考えます。
マコトのほかにも常連客が親しみをもって真悠子に話しかける場面がありますが、やはり真悠子はどこか上の空で、つかみどころがありません。そんな真悠子は、関わりにくい・扱いにくい人物だと世間からレッテルを貼られているのではないかと思います。そんな真悠子からこぼれたこの言葉からは真悠子自身が感じている「生きにくさ」が垣間見えました。口数が少ない人の話を無理やり引き出そうとはしないし、その方がいい、面倒なことがわかるから。そんな風に考えてしまいますが、真悠子にも誰かに受け取ってほしい気持ちがあるのかもしれませんね。

さて、真悠子が店主と店内で顔を合わせます。固くバリアを貼る真悠子が初めて魅せる、とろける視線、ゆるんだ頬。言葉は交わさずとも二人は通じ合っているようでした。口づけたところで場面が変わり、真悠子は店を後に、軽快な足取りで浅草の町を歩いていきます。
(真悠子ほんとよかったねえ。真悠子の笑顔ずっと見たかったよ泣)
真悠子にとって店主は「そばにいる」たったそれだけで落ち着くパワーのある人なのかもしれません。胸に秘めた思いがあふれてきたところを、こぼさないように丁寧に掬いあげて、自分の胸のコップに戻してくれる感覚。孤独な真悠子にとって店主の存在は大きいことでしょう。会うまで通い詰めるだけあります。




【考察】 店主に会えなかった客たち

物語冒頭で真悠子はメモにこう記していました。

「もう一度会えたら、思い出すのをやめよう。
一度も会えなかったら忘れよう。」

"思い出すのをやめる"と"忘れる"の違い。まだ私には消化できない言葉です。映画見た方でも、見ていない方でも、どう受け取ったかぜひお聞きしたいところです…!

お店に顔を出しに来る人達もみんな口をそろえて「和郎さんいるー?」と店主の姿を求めます。しかし真悠子ほどではないようなのです。
マコトが「和郎さんに〇〇さんが来たこと伝えておきましょうか?」と聞くと、意外と「あーそれは大丈夫」とあっさり。
熱量の違いなのかな?もう少しだけお付き合いください。



【考察】 ここに帰れば、あなたがいれば

帰りたい場所、会いたい誰かがいる。その一方的な思いがつながった時、かつてと同じ感覚がよみがえるでしょうか。離れている間に変わってしまっていることもあるだろうに。しかし、それすらもいとおしく思えてしまう場所や人がこの世の中にはあります。

東京蛍堂に訪れる人たちにとって、店主はいわゆる「安全基地」だったのではないでしょうか。会えなくてもいい、この世界のどこかに存在してくれるだけでいい。私を受け入れてくれる人が、この世にいるという感覚に包み込まれているだけでいいのです。そう思わせてくれるのが、謎めいた店主の人物像なのだろうと思います。



最後に

あれだけ冒頭で、張り切りすぎると脱走癖が発動すると言っておいて、書き出したら止まらず…1月2日になっていました。まだまだ考えや言葉が足らない部分がたくさんある中、なが~い独り言にお付き合いくださりありがとうございました!
自分が誰かにとっての居場所になってあげよう!そんな傲慢なことは考えませんが、もしかしたら自分も誰かの居場所なのかもしれませんよね。そばにいてくれる人を大切にしたいと強く思いました。

というわけで今回はここまでです!
最後までご覧いただきありがとうございました。
皆様に感謝して終わりにしたいと思います。🌃

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