見出し画像

読みたいとおもった書の概論

芸術理論1の『芸術理論古典文献アンソロジー 東洋篇』の中で記されている書で、読んでみたいなあとおもった書のまとめをしました。(レポートに際しては参考文献のみ以下にあげます)

13章の『茶経』
 唐の文人「茶聖」と呼ばれる陸羽が(733〜804)、760年ごろ著作の世界最古の茶の専門書である。製茶・喫茶の技術に関する辞典的書物であり、茶の専門書としては、現在に至るまでこれを越えるものはないとされる。3巻、計10篇からなる経書は、茶の起源、製茶法とその道具(巻上)、茶器(巻中)、茶のたて方と飲み方の議論、茶の歴史,産地など(巻下)を詳細かつ整然と述べ、服用に至るまでの注意事項やふるまい方などを論じている。
 「一の源」は茶の起源、「二之具」は製茶に使う道具、「三之造」は製茶工程、「四之器」では茶器について、「五之煮」は茶の点て方と火や水の良否、「六之飲」は飲料についてと、茶に関連した主要人物、当時の茶の種類、悪しき飲み方、「七之事」では「茶経」以前の茶に関連する書物、「八之出」では茶の産地とその優劣、「九之略」では略式の茶の作法、「十之図」では茶席に「茶経」を掛け軸にして掛けて置くべき事を説いている。また「喫茶文化」の創造者たる自負と、従わせようとする強い意志がみてとれる専門書といえる。

41章の『南方録』
 千利休(1522〜1591)の茶湯を伝える茶書で、1593年成立、七巻からなる。茶の湯の大成者といわれる千利休は、自ら著作した茶湯に関わる書を残しておらず、堺南宗寺集雲庵僧南坊宗啓が,利休から授かった教えを書きとどめられ、実山によって編纂されたとされる。
 巻一「覚書」は、問いに対し利休が答える問答形式で、茶の湯の精神や美意識の議論が『南方録』の主幹となる、最も重要な一巻である。巻二「会」は、茶会記と考えられ、『利休百会記』にもある利休の一年分の茶会記録が記されている。巻三「棚」は、小座敷の成り立ちと棚の取扱いが図式で記され、巻四「書院」と巻五「台子」は、それぞれ図解によって記される。巻六「墨引」は、『南方録』の主張のひとつ、「曲尺割」の詳細があり、秘伝の書といわしめた。巻七「滅後」は、利休没後に宗啓がまとめたとされている。
 江戸時代後期以降の茶の湯に、多大な影響を及ぼしてきたのはもちろん、現代まで伝わる茶の湯の古典としての価値があるといえる。

参考文献
・宇佐美文理 青木宇夫編『芸術理論古典文献アンソロジー 東洋篇』幻冬社、2014年


レポートに際しての参考文献は以下の通り

・宇佐美文理 青木宇夫編『芸術理論古典文献アンソロジー 東洋篇』、幻冬社、2014年

・赤松紀彦編『アジアの芸術史文学上演篇Ⅰ中国の伝統文芸・演劇・音楽』、幻冬社、2014
・京都大学 国際皇統学院サイト 宇佐美 文理 文学研究科 教授 中国哲学史専攻
https://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/freshman-guide/ilas-seminars/pokezemi/past-years/13/show/156
・東洋学誌 第39巻第2号2010年12月論文 仁と礼―心と形の教育学 荒川 紘
https://www.aichi-toho.ac.jp/wp-content/uploads/2016/07/201006003902_06.pdf
・ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「礼楽」の解説
https://kotobank.jp/word/礼楽-151227
・辞典オンライン国語辞典
https://kokugo.jitenon.jp/word/p53125 
・黒木賢一著、『東洋における気の思想』、大阪経大論集・第56巻第6号・2006年3月
https://www.i-repository.net/il/user_contents/02/G0000031Repository/repository/keidaironshu_056_006_091-107.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?