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キリストパンは酒の味

今日は久しぶりに朝早く起きることができた。

このごろ朝起きられなくて家事ができず、家が散らかっていたので、私は嬉しくなって掃除や洗濯をした。
朝ごはんもレンジでチンではなく一からつくった。
軽くストレッチもした
(はやく会社行けよ)

それでもまだ時間が余っていたので、私は更なるQOL向上を目指して
「会社に持っていくおやつを用意しよう」
と考えた。

私は「すぐお腹がいっぱいになるくせにすぐお腹が空く」超燃費わるわる人間なので、ほぼ毎日会社で間食をする。
「いつもなんか食べてるよね」と言われてしまうくらい、いつもなんか食べている。
たまに間食を抜くと、低血糖だか何だかわからないが、手が震えたり集中力が落ちるので、正直仕方なく食べている側面もあるが、気分転換にもなるし私は会社でおやつを食べるのが結構好きだ。
でも、地味な出費として家計を圧迫していることは事実なので、今日はおやつを持参して節約しようと思ったのだ。

とはいえクッキーを焼くほどの時間はなかったので、私は台所に保管してあるシュトレンを切って持っていくことにした。

シュトレン(写真は大学の時のもの)

シュトレンとはドイツ生まれの伝統的なお菓子(ケーキ?)で、クリスマスを待つ「待降節」の時期に、毎日少しずつ切り分けて食べるのが一般的な楽しみ方だ。
ナッツやドライフルーツがたくさん入っていて、表面が真っ白になるまで砂糖がまぶされている、見た目もクリスマスにぴったりなお菓子。
少しパサパサしているところが口に合わない人もいそうだけど、私はこの海外発祥のお菓子特有の「めちゃおいしいわけじゃないけど何故か食べちゃうんだよな」感が大好きだ。

私は大学生の頃から毎年この時期にシュトレンを買って食べている。
今年ももれなく12月の頭に買って家に置いてあったので、それを3切れ切ってタッパーに入れた。


夕方、いつも通りお腹が空いてきたので、私は家から持ってきたシュトレンを食べることにした。

家からシュトレンを切って持ってくるなんて、なんてQOL高いんだろう!
心の中でウフフとサザエさんみたいな笑い方をしながら、私はシュトレンを食べた。

いつも通り、めちゃ美味しいわけじゃないんだけど、妙に美味しい。
切って持ってきたのがナッツがたくさん入ったエリアだったので、ラッキー!と思った。
ドライフルーツもいいバランスで入っているし、何より買ってから少し日にちがたっているから、洋酒の風味が染み込んでいて美味しい!


…ん?

…洋酒?


私はシュトレンを全部食べてから、違和感の正体に気づいた。
「これって業務時間中のアルコール摂取になるんか?」
と。

私の勤めている会社では、業務時間中のアルコール摂取は就業規定違反になる。(逆に業務時間中に飲んでいい会社なんであるんだろうか)

今さっき食べたシュトレンは、かなり強めにお酒の風味があったが、これって食べて酔っ払ったりするのかな?と私は気になり始めた。

こっそり「シュトレン アルコール 度数」でググってみるも、
「シュトレンを子供に食べさせても大丈夫でしょうか?」
「シュトレンはラム酒にレーズンをつけて作ります」
とか、かすった情報しか出てこない。

まぁ、お酒の風味がする食べ物なんで他にもあるし、今別に酔っ払ってないから大丈夫だよね!
私はそれ以上気にするのをやめた。


1時間後。

なんだか頭がフラフラしてきた。
軽めの目眩のような感覚がある…。

まさか、さっきのシュトレンに含まれていたアルコールで?!と、私は不安になった。
そんなことあるだろうかと思いながらも、他に原因らしいことが何も思いつかない。

業務時間中に酔っ払ってしまったのか…?!と、ヤバい事をしてしまったような気分になり、そんなことより目眩と吐き気が強くなってきたので、私は慌ててお手洗いへ駆け込んだ。

執務スペースを出て少し歩くと、若干気分は良くなった。
その時、待てよ、ともう一つ思い当たるものがあった。

「薬の飲み忘れ…?」

私は今年の頭ごろから、心療内科で処方された自律神経とかそのへんの薬を服用しているのだが、その薬が「効果はすごいがそれと引き換えに飲み忘れると体調が悪くなる」という不便極まりない薬なのだ。

どうやら私はそれを前日の夜に飲み忘れていて、そのせいで急激に体調が悪くなったようだった。

なーんだ!
シュトレンで酔っ払ったわけじゃないじゃん!
一安心だ。

と、私は薬のことで大切なことをもう一つ思い出した。

その薬、服用している期間中は一切の飲酒を断たなくてはならない困った薬なのだ。
そして、もともとお酒が好きだった私は、そろそろ禁酒がつらくなってきていた。

「シュトレンなら、アルコールの”風味”がするだけだから、いくらでも食べていいよね?」

すごいことに気がついた。
シュトレンを食べて、お酒を飲みたい気持ちを紛らわせればいいんだ!

まだ体調は直っていなかったけれど、私は少し嬉しくなった。
仕事が終わったらまたシュトレン食べよう、と決めた。


ちなみに、シュトレンは「白いおくるみに包まれた赤ちゃんの時のキリストの姿」をモチーフにしたお菓子だと伝えられている。

赤ちゃん時代の姿とはいえ、キリストからお酒の味がするなんて不思議だな、と思った。


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