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演奏会用アリア「あなたを愛している人の望み通り」KV577、「私の胸は喜びに踊る」KV579

❤️「あなたを愛している人の望み通り "Al desio di chi t'adora"」KV577

モーツァルトは1789年、「フィガロの結婚」のウィーンの再演に際して代替アリアを2つ(KV577,KV579)書いています
"Al desio di chi t'adora"KV577は4幕のスザンナの有名なアリア "Deh, vieni, non tardar"の代替として書かれました。初演でスザンナを歌ったアン・セリーナ・ストレースがウィーンを去ってしまっていたため、再演のときにはフランチェスカ・アドリアーナ・ガブリエリがスザンナを歌うことになったのです(彼女は同年のコシ・ファン・トゥッテの初演のフィオルディリージです)。"Deh, vieni, non tardar"よりも大規模になり、モーツァルトの晩年の特徴も表れています。"Deh, vieni, non tardar"とKV577の曲調の違いは作曲者の年齢だけでなく、アン・セリーナとフランチェスカのキャラの違いも表れているのかもしれません。アン・セリーナはコメディエンヌとして素晴らしい資質を持っていて、歌の技術としてはフランチェスカの方が上だったと言われています。"Deh, vieni, non tardar"に香るように漂うコケットリーはおそらくアン・セリーナ的なもので、KV577の規模の大きさはフランチェスカ的だったのでしょう。



❤️「私の胸は喜びに踊る" Un moto di gioia"」KV579

この愛らしいアリアもスザンナの代替アリアですが、どの部分に挿入するつもりだったのか定かではありません。アリアというよりはアリエッタの方が相応しいような小品です。舞曲風の軽やかな曲調が実に魅力的です。

この小さなアリアにはモーツァルト自身のピアノ用編曲が残っているので、ピアノ伴奏の独唱コンサートの中で歌われることもあります。アンコールなんかにはぴったり!

KV577とKV579をフィガロの公演で歌うケースも出て来ていますし、K577とKV579を含めた録音も出ています。マッケラスの録音は代替アリアも含めた代表的な録音です。


余談、サー・チャールズ・マッケラス

ところで、マッケラスについて。

ぼくは幸運にもドイツでマッケラスのライブに接することができました。ウォルトンの交響曲がメインのイギリスプログラムでした。あれは素晴らしかったなぁ〜。今でもあの演奏会が忘れられない。

マッケラスは英語圏の先生ですが、ヤナーチェクのスペシャリストとして有名でした。チェコ語にも堪能だったんです。なので、通常はチェコ語の壁が高くそびえるヤナーチェクのオペラも特に問題がなかった。それで、ヤナーチェクのオペラの見事な 録音を残してくれた。ありがたいことです。

☝️おれの超大好きなグラゴルミサ!こーゆー動画があってうれしい!


☝️は序曲「嫉妬」(元々はオペライェヌーファの序曲)

以下は大好きなオペラ「利口な女狐の物語」の決定版。マッケラスです。このオペラは上演時間もコンパクトだし、メルヘン的で楽しい。ヤナーチェク のオペラの中では一番取っ付きやすいと思います。子供たちでも楽しく観られる作品。そーゆー点では「魔笛」っぽいです。


マッケラスはモーツァルトの権威でもありました。スコットランド室内管弦楽団と残したモーツァルトの録音は本当に素晴らしいものばかり。


☝️マッケラスのイギリス音楽も、もちろん素晴らしい!















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