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ずむや苦労話③

パーカー誕生秘話のリクエストもあったので、今回のテーマに。

■プリント方法

ずむやにはTシャツがあるが、これはプリンターで1点ずつプリントしている。ご注文が入る毎に発注していて在庫はほぼ持たない。多少は持ってもいいのだが衣類はかさばるので、各色・各サイズを1着ずつ保存しておくだけでもそこそこのスペースが必要で、自宅で保管しているうちに畳みジワが付いても困る。

パーカーも当初はその方法で作ろうと思ったのだが、どうしても袖口にリーチ棒のプリントを入れたくて、希望の位置に1点ずつプリントしてくれる業者がみつからず、シルクスクリーンプリントという別のプリント方法を使うことに。これは版画のようなプリント方法である。

■売れるデザイン

ゆえに、1着ずつプリントしては版を洗って保管…ということでは手間ひまがかかる→お金がかかる。一度にプリントする枚数が多いほど割安になるが、小さなずむやが気にしなくてはならないのは最低数である。一度に最低15着は発注しないと希望の価格で販売することができなかった(当初から高すぎない5000円程度の価格にしたいと考えていた)

版を作るのにもお金がかかる。1箇所・1色につき版が1枚必要になる。諸々の理由からデザインは1色かつ1種類に絞る必要があり、かつ、一度に何着も売れなくてはいけない。難しい。

■リーチ棒固定だったので、助かる

袖口にリーチ棒をプリントして麻雀を打つ時にちょっと楽しい、というアイデアだけは最初からあったので、結局はリーチといえばツモ…のようにして決まった。

が、元々ずむやは「ロゴTシャツ」を避けていて、麻雀用語をプリントした商品は昔からあるので今さら作ることはない、と考えていたのだ。かといって1色で老若男女が手に取りやすい麻雀モチーフのデザインも浮かばず。やや妥協案からのスタートで、売れるかどうかは不安だった。

■説明するとダサくなる

私はデザインの専門家でもなんでもないが、デザインというのは「説明するとダサくなる」と思っている。そして説明を省くと伝える技術が問われるようになる。ネコのイラストの横に「←CAT♪」などと文字が踊っていては、この世が終わるダサさである。最後まで悩んだのは、リーチ棒の上に「Reach」の文字を入れるかどうかだった。

■zipパーカーも作りたい

せっかくだからバリエーションも作りたい。が、フロントファスナーが邪魔をしてTSUMOをプリントすることはできない。TSUMOを小さくすることも考えたが、同じような版を2個作るのも、つまらない。悩みに悩んで左胸に「ずむやのロゴ」をプリントすることに。

ずむやを利用してくれる人は主に「麻雀」ファンであって「ずむや」というブランドのファンではないため、これもあまり自信がなかった。ただ、ずむやのロゴはなかなかいい出来だと思っている。

■図星マーク

ちなみに、「図」の文字をイメージしたずむやのマークには「図星マーク」という名前が付いている。

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右側の文字の部分も既成のフォントではなくオリジナルで、気に入っている。

■リーヅモパーカー

巷では「TSUMOパーカー」と呼ばれているが、元々は「リーヅモパーカー」という商品名である。私としてはどちらで呼んでくれても全く構わないのだが、制作段階では問題があって「リーヅモパーカーのzip-upバージョンなのに、図星マークをプリントすることにしたためツモの要素がどこにもない問題」が発生したのだ。

そこで、TSUMOのファスナーチャームを作ることにした。記事のTOP画像のものである。最低ロットの100個を作ったが、小さなずむやとしては緊張感があった。これもデザインはあれこれ悩んだ。

プリント関係はすべて国内でやっているのだが、このチャームは中国で作られていて、中国には10月頭に長期休暇があることを知らなかったため予想より納期が延び、販売開始が遅れてしまうという事件もあり、勉強になった。

■麻雀プロのSNSのおかげ

かくしかの経緯で誕生したのが、おかげさまで人気商品になったTSUMOパーカー。当初は採算が取れるかも不安だったが麻雀プロの中にも買って頂いた方も多く、SNSに写真が上がると反響があり、とても感謝している。

特に反響があったのは「熱闘Mリーグ」で日向プロが着用してくれた時。放送の直前にたまたまパーカーの再販を始めたら番組内で話題になるという、ひょうたんからコマ的な事が起きて大感謝。

実はあのパーカーはプロクイーンの優勝祝いにプレゼントしたもので、女流最高位の西嶋さんにも色違いを。二人とも大事に着てくれていることも、とても嬉しい。

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