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ほんの少しだけ死にたい夜に


毎日を生きていると、
いつの間にかセミが鳴いていたり
雲が夏用に衣替えされていたり
することに気が付く。

今日も犬が健やかに寝ていること、
いつもの時間、いつもの場所を通る
中学生が今日も気だるそうに歩いていること
木漏れ日がきらきらとしていること
そんなことを思い生きてる。

毎日がルーティン化された日々を
過ごしているとき 突然、隕石が落ちてきた。

わたしの中の奥の方に隠して
閉まっておいた「死」が顔を出す。

いつもの日々に、「死」が寄り添うようになった。

やさしそうであったかそうで、
でもやっぱりだめだからと、
次はもっともっと奥の方に隠すことにした。

だめだから、死んだら悲しいから
今の景色を手放してまで死ななくてもいいの
わたしはまだ生きたいんだよ。

いつだって寄り添うあなたは
わたしの顔をしている。
なぜかあなたが泣いてるから
わたしがちゃんと拭いてあげる。
死にたくないけどちょっとだけ死にたい、
そんなことを言う。

今日のお昼は何を食べようか、
それとも死んじゃおうか

夢に向けてこれからも頑張ろうか、
それとも死んじゃおうか

死に方なんて知らないし、
苦しいのはいやだし
誰かが悲しむのはもっと嫌だし。


死なないんだけどね、
死なないけどほんの少しだけ死にたい。

死んだらどうしようかなと口笛を吹く、
そんなことを考えていると
わたしも涙が出てきたから
ティッシュで拭くね。

わたしは頑張ってるけど
みんなよりは頑張れてないかも。

わたしは疲れてるけど
みんなよりは疲れてないかも。

わたしは辛いけど
みんなよりは辛くないかも。

わたしがわたしに寄り添えないから
あなたが寄り添ってくれるんだろうね。

きっとこれからも生きていくけど
ほんの少しだけ死にたい気持ちを
撫でてあげて。
あなたがあの犬みたいに健やかに眠れるように。

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