【読書】ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム


個人的な感想文です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4596551227
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム

本書の原題は「Competing Against Luck」です。どうすれば運任せでないイノベーションが可能となるか?
一言でいうと、プロダクト・サービスが買われる理由を深く掘ることが大切と理解しました。深く掘るといっても、売り上げデータを分析したり、顧客に「何を改善したらいいでしょうか?」と聞いたりするではなく、「ジョブ」の観点で深く掘ることが肝要。

どんな”ジョブ(用事、仕事)”を片付けたくて、あなたはそのプロダクトを"雇用"するのか?(P15)

例として挙げられているのがミルクシェイク
(1)朝の時間帯
長時間にわたる車運転の暇つぶしとして「雇用」されている。
競争相手:他の飲食物
(2)その他の時間帯
子供へのご褒美として「雇用」されている。
(親が「ミルクシェイクくらいなら買ってあげてもいいだろう」と思うイメージ)
競争相手:玩具店に立ち寄ったり、キャッチボールをすること

ミルクシェイクは少なくとも2つのジョブとして雇用されているので、もっと売るためにはそれぞれに対策をするといいよという考えです。競争相手の対象範囲が広すぎるように感じますが、現状認識できていないと足をすくわれる可能性があるから気を付けなさいということなのでしょう。他の章で次のような記述があり印象に残りました。

ネットフリックスはアマゾンと競っているのかと問われ、こう答えた。「リラックスのためにすることなら、なんでも競争相手だ。ビデオゲームと競い、ワインを飲むこととも競う。じつに手ごわいライバルだね。もちろん、ほかの動画配信サービスとも競う。ボードゲームで遊ぶこととも」(P74)

***
「ジョブ」
が明確になれば、ジョブに直結する数値を測り、それを最大化するような組織をデザインすることで、競争優位性を実現できると説明されています。
ただ、一般に「ジョブ」を見つけることは難しいことです。それはなぜか?また、どうすれば良いか?という問いへの答えが、豊富な事例とともに説明されています。

***
本書は各章のはじめには「章のテーマ」、終わりには「章のまとめ」が書かれています。著者が伝えたいポイントを事前把握するために、「章のテーマ」→「章のまとめ」→内容の順番で読むのも良いかもしれません。

また、索引がついているのは非常に有難いです。ネットフリックスのエピソードを探すためにドッグイヤーを全検索せずに済みました。
同著者の「イノベーションのジレンマ」も読んでみようと思います。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?