好きな短編集をあげていけ!

最近漫画の短編集が好きだということに気づいたので、私が今までにハマったおすすめ短編集を読んだ年代順にあげていきます

「七つの海」岩泉 舞
私は小さい頃漫画家になりたかったけど、この「七つの海」に収録されている作者が18才のときのデビュー作「ふろん」を読んで「私は18才になっても絶対にこんな話は描けない」と思って挫折した
この1冊しか発行されず、私を含め一部の熱狂的なファンの間で伝説の短編集となっていたが、村田雄介が「掛け値無しの天才」と称して30年ぶりに新作&未収録作品を加えて岩泉舞作品集 MY LITTLE PLANETとして復刊したときは感激した
30年のブランクがあるにも関わらず当時の絵柄を残しつつ現代風にアップデートしてるのがすごい

ここで初期単行本版は全話無料で読めます
表題作の「七つの海」だけでも是非



「藤崎竜短編集 1 WORLDS」藤崎 竜
私は小さい頃漫画家になりたかったけど、この「WORLDS」に収録されている作者が18才のときのデビュー作「ハメルンの笛吹き」を読んで「私は18才になっても絶対にこんな絵は描けない」と思って挫折した
表紙からもわかるように緻密で繊細で独特な世界観が確立されていて、10代でどうしたらこんな絵が描けるのかが不思議で仕方なかった。本当に同じ人間か?
「封神演義」で少年誌寄りの絵柄になってしまったのはちょっと残念だったけど、新装版で新たに書き下ろされた表紙はやはり美しかった
今でも私の中の二大絵上手い漫画家は藤崎竜小畑健です
ここで一話だけ読めます



「Pの悲劇」「専務の犬」高橋 留美子
中年たちが主人公の大人向け短編集シリーズ
らんまや犬夜叉などのファンタジー長編漫画だけでなく半径100メートル以内の日常も描ける女漫画家、それが高橋留美子
当時の私は漫画家という職業しか体験していないはずの高橋留美子がなぜこんなにもリアルな主婦やサラリーマンの生活が描けるのかわからなかった
(今ならそれは「留美子が天才だから」とわかるけど)

「Pの悲劇」の中に「鉢の中」という植木鉢の中から人骨が出てくる話があって、そこから語られる嫁から見た夫と姑への感情が子供の頃には理解できなかったけど大人になった今はわかりすぎて辛い
このシリーズあと3冊出てるみたいだけど刺さりすぎそうで読めない



「ブスと姫君」「十年後、街のどこかで偶然に」津田 雅美
昔廃品回収から拾ってきて、面白いからずっと捨てずにいて今でも持ってる津田雅美の初コミックス「ブスと姫君」
4人の女子高生のそれぞれの恋の行方を描いた群像劇
群像劇大好き!
それ以降ずっと津田雅美の単行本を買ってて、ちょうど漫画から離れた頃に「彼氏彼女の事情」がヒットして「あの『ブスと姫君』の人が!」と驚いた思い出
カレカノでもメインキャラ全員を1人ずつ主人公にした話を描いてて、本当に群像劇が得意な人なんだなあと思う

「十年後、街のどこかで偶然に」もOLたちが主人公の群像劇で、大人版「ブスと姫君」というかんじで面白かった



「レベルE」冨樫義博
「幽遊白書」の連載後、アシスタントを使わず描きたいという冨樫の意向に沿って、週刊誌なのに月1回という当時は異例の連載だったレベルE
レベルEの面白さを短くまとめることは私にはできない
未読の人は読んでくれ

H×Hのベースというかんじだけど、短い中に冨樫のテーマや価値観が詰まっててとても好き
この中でも異質な「見えない胃袋」の話が本当に好き
「人が人の肉を食べる(食べなくては生きていけない)ことの業」について考えさせられる
幽白にもこれに近いテーマは出てきたので冨樫の中で考え続けてることなのかなと思ったり
考えても答えは出ないのだけど



「ラヴァーズ・キス」吉田 秋生
鎌倉を舞台にした高校生4人の群像劇
家族の確執、過去の心の傷、同性への憧れや恋心…など、高校生の繊細な心の機微が描かれている
「海街diary」と繋がっていて、軸となる主人公の里伽子の恋人として高校生の藤井くんが出てくる
これを読むと藤井くんの解像度が上がるので「海街diary」好きな人には読んでほしい
独立した短編集としても傑作



「スケルトンインザクローゼット」岩本 ナオ
「スケルトンインザクローゼット」が面白いというより岩本ナオの描く短編全てが面白いというかんじ
「町で噂の天狗の子」の1巻に入ってる「手をとって、そのままで」を読んでこのマンガすごい!!と衝撃が走った
「雨無村役場産業課兼観光係」の3巻に入ってる「やがてキラキラ」がめちゃくちゃ好きなの私だけですか??
いろんな漫画の巻末に名作が載ってるのがもったいないような気すらしてしまう。1冊にまとめて発売されないかなぁ

私は岩本ナオを稀代の短編作家だと思ってるんだけど、やっぱり売れっ子になると長編連載必至なのかな〜
また読み切り描いてほしいな



「師走の猫」吉田 貴司
師走に車に轢かれた猫を埋めるっていうただそれだけの話
めちゃくちゃ好き
日常から少し非日常に、そしてまた日常に戻っていくところが良い
元気がないときに読むと元気が出る


以上、好きな短編集をあげていけ!でした

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?