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301号室

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ずっと心に住みついている思い出について、綴っています。
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#雑記

それでもどうしようもなく愛おしい世界のこと

由比ヶ浜まで徒歩数分の宿を取った。 なんとなく、このタイミングで朝日を見に行くことに意味がありそうな予感はしていた。 太陽におはようを言われる前にベッドから抜け出して、やわらかな朝焼けと潮の香りがする風を感じながらしみじみ思った。 わたしは本当に「自然になりたいなぁ」って。 光とか風とか、自然がどうしようもなく愛おしくて幸せでいっぱいに満たされて。だけど、どうしてわたしは一体になれないんだろうって切なくて。泣いてしまう。 今まで「写真が趣味です」と言うときに何となく違和

雨の日は渋谷の夜を思って

雑多な街、東京。 その象徴はまさに渋谷だと思う。 様々なものが反発したり溶け合ったりしながら、何とかうまいこと収まっている場所。だからこそ、蓋を開けたときの情報量の多さにいつも圧倒されてしまう。 遠巻きにスクランブル交差点を眺めていると、人の群れがくっついて、また離れて。 ふと。何度も忘れようとしたのに、いつの間にか私の中からするりと居なくなっていた人のタバコの香りを覚えて心がざわついた。 歩行者信号が赤に変われば、待ちに待ったぞ!と言わんばかりにまた車が走り出す。 忙