見出し画像

高橋優 / HIGH FIVE 感想

これは毎回ブログを更新する度に言えることなのだけれども、新曲をフルサイズで初めて聴いたりライブで感じたことや空気を出来るだけフレッシュな状態で感想に乗せたいという気持ちが先走りすぎて通常時の記事以上に感情と文章の散らかりが酷いと思われるので最初に謝っておきたい。いつもいつも、ごめんなさい。


───────────

 まず耳に入ってくるのは静かでシンプルなピアノの音、夜と朝の間のようなしんとした空間に響くように「HIGH FIVE」というひとつの物語の始まりを告げるよう。そのピアノの音に続いてこれまたシンプルな声が幾重にも重なって行く。この数秒のイントロだけでわたしは夜明け前の暗闇から少しづつ昇ってくる太陽のそれを思い浮かべた。

サビにサビがある?MVの映像も合間ってサビのサビに行くにつれてどんどん空に広がっていくような、それに引っ張られるように自然と背筋が伸びるような不思議な感覚になる。この音の繋げ方というかリズムが歩きながら歌っている人のそれというか、一歩一歩大地をしっかりと踏みしめながら一言一言吐き出しているような、そんなように聞こえてくる。物理的にも単純に外へ出て歩き出したくもなるし精神的にもこれから先のどこかで現状と違う物事に向かわなくちゃ行けないときに聴きたいとも思う。歌詞もリズムも声も全部が前に進む手伝いをしてくれる気がする。

遥か前を歩いて足跡で進むべき道を示してくれているようにも、隣を同じ速度で歩いてくれているようにも、後ろから声かけしながら背中を押してくれてるようにも聞こえる。「そうそう、高橋優の曲ってこういうところあるよね、いろんな角度で聞けるんだよね」と思わず腕を組んで頷きたくなってしまう歌詞と歌っている本人に相違がないから素直に背中押してもらえるんだろうな。

イントロとアウトロは音としてはほぼ同じなのだけれどその違いに興奮した。最初と最後だけ何度も聞いてみた。夜明け前、少し前が見えにくいような暗闇の中で「ここから」のイントロから始まり太陽の光でいっぱいの中を胸を張って広い大地を進んでいる途中の「ここから」のアウトロ。静と動といえばいいのか、この気持ちをうまく言葉に出来ないこの脳みそが非常に残念なとことではあるのだけれどアウトロのピアノで曲中に前に向いた視線がもう一度ピンと研ぎ澄まされるような、そんな感覚になった。

この曲はこの時代に生きる誰かの為の歌であり同じように生きている高橋優というシンガーソングライター自身の歌でもあるのだろう。これから彼が行く道の先が楽しみで仕方ない。かつて「誰っぽいね」と片付けられていた一人の人間が己の力でどんどん唯一無二の存在になってく、その様が最高に格好良くてそんな風に思えるアーティストと同じ時を生きられているというだけで最高に幸せだと思える幸せに感じずにはいられない。私も一緒に歩き出さなければ。しっかり自分の足で歩いて、着いていかなければ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?