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「The View UPSTAIRS」で過ごした、あの日

2022年、記念すべき初観劇はこの作品でした。
ポスターやあらすじに惹かれ、チケットを取り、いざ劇場へ。

現代を生きる若きファッションデザイナー:ウェス(平間壮一)は、ニューオーリンズのフレンチクォーターにある廃墟と化した建物を購入する。クスリでハイになった彼が窓にかかるボロボロのカーテンを引き剥がすと、その瞬間、 活気に満ちた70年代のゲイバー「アップステアーズ・ラウンジ」にタイムスリップしてしまう。
そこは、まだ同性愛が罪であった時代に強い絆で結ばれた"はみ出し者" たちの拠り所であった。様々な事情を抱えた彼等と触れ合い、時に厳しい70年代の現実を体感する中で、人と人の絆の意味を学んでいくウェス。
パトリック(小関裕太)という青年との間にも、ささやかな恋が芽生えていく。
だが、やがて「アップステアーズ」の秘密が明かされる「その時」が訪れるのだった…。
https://theviewupstairs.jp/introduction.html

結論、、、ぶっ刺さりました!!
日頃からジェンダーについてや自分自身と向き合うこと、生きる意味や人生について考えている私はすごく心を揺さぶられて、配信も購入し、何度も繰り返して見ました。

もしかしたら、ゲイカルチャーや同性愛に馴染みのない方は少し驚かれるかもしれない。
けど、アップテンポで耳馴染みの良い楽曲とキャストの皆様の自然な立ち居振る舞いによって、気づけばアップステアーズ・ラウンジの虜になっていると思います🍹


〈以下ネタバレ含む感想です🙇🏻‍♀️〉

平間壮一さんが演じられたウェスは、現代を生きる若者。だから多分、観客の私たちが一番共感できる価値観を持っている登場人物だと思います。

ガチガチに役作りされているというより、
平間さんの延長線上にウェスがいるみたいで、
あまりにも自然なので物語に没入できました。

等身大で、とっても可愛らしいウェスでした。

皆の前で明るく振る舞う姿と実際抱えている感情とのギャップがリアルで。
彼が心の底で求めていたものは、全てアップステアーズラウンジにあったんじゃないかな、、。
本物の愛や居場所。今のSNS社会では感じにくいそれらに触れたとき、すごく幸せそうだったから。私たちもウェスと同じものを求めているのかも。そんなことまで考えてしまいました。
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小関裕太さん演じるパトリックは、ミステリアスな男娼。こちらもすごくナチュラルで、誇張しすぎず、でも魅力的で妖艶な佇まい。所作のひとつひとつにこだわりを感じました。

余裕そうなパトリックが、怒りや哀しみを露わにするときのエネルギーは凄まじく、ガツンと食らう感覚。ウェスもきっと食らってたと思う。

軽やかさと重苦しさ?の塩梅が絶妙で、ソロナンバーはどちらも引き込まれました。
最後ウェスに語る言葉たちがすごく好きです。
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他にも、
妻子持ち"クローゼット"ゲイのバディ(畠中洋さん)頼りになるまとめ役のウィリー(岡幸次郎さん)

ドラァグクイーンのフレディ(阪本奨悟さん)
彼を献身的に支える母親のイネズ(Jkimさん)

バーの持ち主でレズビアンのヘンリ(関谷春子さん)
皆に疎まれる孤独な男娼デール(東山義久さん)、

コミュニティの牧師リチャード(SHUN先生)
不動産警官と様々な役をこなす大嶺巧さん、と

それぞれ個性豊かで、色鮮やかな面々が、
物語を、より深く、より濃く、描いていきます。

どの楽曲も楽しくて気分が上がるし、
メロディは美しくて、振付はキャッチーで
照明も艶やかで、セットも洗練されていて、
軽快なやりとりが笑いを誘う部分もある。

それなのに、
結局人間って愚かで哀れな生き物なのか?
争いはどうして起きるのか、愛って何なのか。
私たちは日々何を求めて生きているのか。
そんなことも考えさせてくれる。

ミュージカルとして、こんなにも素敵な要素の詰まった作品があるだろうか!
この作品との出会いは自分にとって大きなものとなりました。

大阪公演は中止となってしまいましたが、
リピート配信があるそうなので、もし少しでも気になった方はぜひご覧になってください!

「アップステアーズ・ラウンジはあなたがどんな人でも歓迎します」
(p.s. この宣伝文句とても好きです。)

The View UPSTAIRSカンパニーの皆様に、最高の未来がきますように✨

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