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惹かれるモノ【映画17歳のカルテ編】

今回は私のすきな映画について書いてみようと思います。



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【17歳のカルテ】

スザンナ・ケイセンの自伝「思春期病棟の少女たち」にウィノナ・ライダーが惚れ込み、自ら製作総指揮を務めたヒューマン・ドラマ。自殺騒動を起こしパーソナリティ障害と診断された少女と精神病院の患者との人間模様を描く。アンジーが助演女優賞を獲得したことでも知られているこの映画。
個人的には主演のウィノナ・ライダーをも喰ってしまうようなアンジー迫真の演技が見どころ。


こういう思春期の葛藤を題材にした映画って山ほどあるけど、中でもこの作品は群を抜いて迫力がある。

それはなぜか?

遠くて近い彼女たちの生き方。何かと葛藤しながら生きていて、苦しくて、怖くて、どうしようもない、できない苛立ちと異常な愛や曲がってしまった純粋な想い。向き合えず、もがきながら必死に生きていこうとする彼女たち。

精神病院が舞台の映画、極端に表現されている部分もあるし、実際に自分が病院に入ることはないと思っていても、彼女たちが抱えている悩みはどれも共感できるものばかり。



『カミソリは痛い、水は冷たい、薬は苦い、銃は違法、縄は切れる、ガスは臭い、生きてる方がマシ。』

ストレートな言葉だからこそ、納得するしかないこの台詞。



この作品はとても直球で訴えかけてきます。全員が悩みを乗り越えました、なんてハッピーな話ではないところがとてもリアル。問題の核を突き付けられて耐えきれず、自殺を図った女の子も出てくるところなんか特に。

誰でも問題に直面するのは怖い。避けて通りたい、出来ることなら隠れていたい、そう思うのが普通ですよね。



アンジー演じるリサの演技からは、崖っぷちの緊張感に悲壮感、その並々ならぬ迫力から生きることの難しさを突き付けられいるような感覚になります。

この映画が好きな理由、『乗り越えようとすれば助けてくれる人は要る、だけど決めるのは自分。結局のところ、自分の敵は自分だけ』なんだと教えてくれるところ。



知らない振りして、気付かない振りして生きていくことは簡単だし楽なのかもしれない。でも彼女たちは誰よりも正直に生きているんです。何かと向き合うことを見て見ぬ振りせずに苦しんで、戦っている。私は彼女たちをそんなファイターだと思っています。


それって容易ではないはず。社会の大きな流れに巻き込まれることなく、自分を偽らずに模索し続ける。社会に出て、色んなところで色んな人に会って過ごせば過ごす程、自分を見失いそうになります。

たまにそんなに考えすぎないで、楽しく生きていればいいんだよ。と言ってくれる人がいます。だけど私にとって何も考えなくて楽しく生きることこそとても難しかったりするんです。不安になるし。必死に自分とは誰なのか。どうしたいのか、なにをもって生きているのか、生きていくのか、考えています。この映画は普段見過ごそうとしている部分こそ直視することの必要性を教えてくれているような気がしていて。


頭と心がいっぱいなとき、無性にこの映画を見たくなるんです。不器用ながら、遠回りながらどうにか戦おうとする彼女たちを見ていると自然と心がスッとして、勇気を貰えるというか、とにかく明日からもまた生きていこう、生きていようという気持ちになるんです。

悩みを抱えている方、というよりは普段通りに過ごしている、そんな方に見て欲しい作品です。




補足*原作ではリサも退院してシングルマザーになっているらしいです。素敵

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