『沈む星、昏い未来(Sinking Star, Darkened Tomorrow)』続ける!毎日掌編小説第20回
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カビと生ゴミが混じった匂いが、喉の方で痞えているように臭った。これは私が小学校に入学して半月してからの話だ。
凍りつくほど冷たい何かが足先から腰まで、腰から手の先まで登ってきた。
祖母に買ってもらった赤いランドセルはその時すでに鮮やかさを失っていた。
視線をほんの少し下に落とすと、赤と白のボーダー柄の子供用テーブルに置かれた、三百円が目に入った。ジリジリになっている髪が垂れ落ちてきて視界の九割が黒く染まった。
「ハズキ、あなただけは私の味方よ