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少し好評だった私の寓話

こんにちは!mikoです!
今回は国語の授業で私が書いた寓話を共有したいと思います。
寓話とは、教訓(寓意)が隠されている物語のことを言います。「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」などが有名です。
授業では、井伏鱒二が書いた「山椒魚」から寓意を読み取りました。(気になった方はぜひ読んでみて下さい。難しいけど、面白いです。)そこで、みんなで寓話を書いて共有し、寓意を読み取ろうという運びになりました。先日、共有した際にクラスメイトの書いた話がどれもすごく面白かったのですが、私のも少し好評だったので、ぜひ皆さんに読んでもらいたいと思いました。

前置きが長くなりましたが、1時間使ってホワイトボード3面分に構想をかきまくった末に完成した、私の作品をどうぞ!

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『ショートカット』


 私は受験勉強をしていた。受験生だから。先生たちは「夏が勝負だ」とか言うから。今日は夏期講習に行ってきた。講習が終わり、自習をしていたときにこんな噂が聞こえた。
「あのね、近道をすると戻ってこれなくなる道があるらしいよ。しかもそれがね、ショートヘアの子たちがその道に迷いこみやすいんだって!”ショートカット”だけにね!」
…こんなダジャレめいた噂誰が信じるのだろうか。少なくとも私は信じなかった。

 次の日、私は暑い自室で勉強をしていた。シャーペンを片手に。赤ペンと解説を隣に置いて。中2の後半にもらった分厚いテキストで。それにしても暑い日だった。願掛けで伸ばしていた髪が結んでいても暑苦しく感じて、髪を切りに行くことにした。正直勉強も行き詰まって来ていたし、息抜きでもしようと思った。
「ショートカットにしてください。」
「願掛けで伸ばしてるんでしょ?バッサリ切っちゃっていいの?」
「はい、お願いします。」
「ほんとうにショートカットでいいの?」
「はい。」
行きなれた美容室のため、美容師さんとも仲が良い。だから、いやそうじゃなくても、注文をすれば快く髪を切ってもらえるものだろう。だが、このときはなぜかしつこくショートカットでいいのか聞いてきた。私の髪質だとうまくいかないのだろうか。私に迷いがあると感じたのだろうか。一つ迷いがあったとすれば、一度切ってしまうと、伸ばそうとしているあいだにもすぐ切りたくなってしまうことくらいだ。しかし、髪をバッサリ切る決意は固まっていたため、何度聞かれても、そうするようにお願いした。
 正面の鏡をずっと見ていたが、切り終えてみると、少し見慣れなさはあるが意外と私はショートカットが似合うのだと感じた。親には驚かれるだろうな。もしかしたら怒られてしまうかな。ただ、早くこの髪を見せたくて、近道をして帰ろうと思った。近道をできる道があることは前から知っていた。しかし、細い道だったから少し怖くて通ったことがなかった。今日はまだ明るいし、早く親に見せたいし、そこを通る決意ができた。

 通って見ると何も怖いものなどなかった。
「なんだ。ただの細めの道じゃん。」
思わず声に出てしまった。自分の家の方向を確かめながら、道を曲がって自宅に向かった。

…「本当に近道なのかな。」なかなか家に着かなかった。来た道を戻って分岐点で違う方向に行ったりすべての道を通ったかもしれない。それでも家は見えてこないし、もうもとの場所に戻れる自信もない。どうしよう。迷った。いつもの道を通れば良かった。15年間の人生最大の後悔になった。


「あのね、近道をすると戻ってこれなくなる道があるらしいよ。しかもそれがね、ショートヘアの子たちがその道に迷いこみやすいんだって!”ショートカット”だけにね!」

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いかがでしたでしょうか?寓意を読み取っていただけたでしょうか?
作品を誰かに共有した時点で作者の手は半分離れているものです。ぜひ、この作品もご自由にとらえていただけたらと思います。そして、よろしければ、この記事のコメント欄でも、私のTwitterのDM、リプ欄(私のプロフィールからTwitterに飛べます!)などに感想やご意見、読み取った寓意などいただけるととても嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
よろしければまた、私のnote覗きに来て下さい(^^)

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