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どきどきときらめきと、

だいすきで大切な音楽を聴きに行った。
平日、仕事帰り、定時退社はできなくて、でもどうしても行きたくて、別の日の自分に全部押しつけて向かった。高校生の頃は行けなくて、20歳になるまであまりいい顔をされなくて年に数回しか行けなくて、20歳になった途端流行病でまた行けなくなったライブハウス。社会人になってライブを制限されることもなくなって何度もライブハウスの扉を開いた。

18歳、はじめて彼らのライブを観たのはとある大学の学祭。知って間もない頃出演情報が解禁されてこれはと直感で行くことを決めた。はじめて行く学祭、はじめて観るライブ。この日の内容はあまり覚えていないけどこれからたくさん聴くと決めたことだけは覚えている。その翌月、彼らをはじめてライブハウスで観た日ははじめて取り置きでチケットを取った日だった。取り置きの仕方を調べてどきどきしながら行った日。たのしみのあまりに緊張しすぎて後方の端で観た。人と人の間からみえる景色は全部きらきらしていた。緊張のどきどきがたのしさのどきどきに変わった瞬間は今でも覚えていて、でもまだ慣れないライブハウスに緊張して終演後すぐ帰ってしまって後悔したことも覚えている。

社会人になってはじめて彼らのライブに行った日。だいすきな音楽が信じられないくらいこころに刺さって響いて離れなかった。イヤホンから聴くだけじゃ知りえない景色と感情に帰り道涙が止まらなかった。それから何度もライブを観に行った。いつだってライブハウスでまっすぐにひとりひとりに音楽を届けてくれた。仕事がつらいときもこころがひとりぼっちでくるしいときも今目の前のことを乗り越えたいって思うときも、何度も何度も何度もこの場所でだいすきなたいせつな音楽を頼った。

最近自分のやさしさや気遣いがひとのためじゃなくて自分のためだと感じる割合がどんどん増えてしまっているようで、いつでもそのことばかり考えてしまってくるしくなっていた。自分で自分が嫌になっていた。そんな中で先日行ったライブ。彼らのお守りみたいな音楽に最近の自分が肯定された気がした。大きな音で鳴らされるやさしい音楽を浴びてなんだか全部大丈夫になるかもしれないと思えた。

いまだにライブを観るとき真ん中に立つのは緊張して端を隅を好んでしまうし、毎回伝えたいことはたくさんあるのに「楽しかったです、また行きます」しか伝えられないし、ライブ中まっすぐに目を見ることはあまりできない。でも前で観れるようになったこと、メンバーの立つ物販に行けるようになったこと、すこしずつ目を見られるようになったことは私にとっては結構な前進。彼らの音楽のおかげで友だちもできた。彼らの音楽がすきって気持ちだけで繋がりが広がった。すきって気持ちを大切にってことばを信じて自分で自分を救うために選んだ音楽で選んだ場所でずっとお守りにして抱きしめていたいものがたくさんできた。

一瞬に感じるどきどきが永遠にこころに残るきらめいた感情になるということを教えてくれて本当にありがとう。日々を乗り越える理由とこころの大切なお守りになっています。

彼らに直接伝えたいこと、まだまだうまく伝えられないけどいつか必ず。



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