ウィリアム・ホールデンが好きだ
カメレオン俳優とは、カメレオンのように見た目もまるっと役ごとに変えてしまう俳優のことである。私がすぐ思いつくところだと、ゲイリー・オールドマンやジョニー・デップ、クリスチャン・ベール。役作りのための体重増減や特殊メイクを施してまったく別人になっている。
ウィリアム・ホールデンはいつみてもウィリアム・ホールデンだ。
加齢による容貌の変化はあるが、だいたいおんなじ髪型でおんなじ体型をしている。
私が初めてウィリアム・ホールデンを見たのが『麗しのサブリナ』の次男デヴィットで、モテモテのイケイケな男性を演じていた。キランッと音がするような笑顔でプレイボーイぶりを発揮していたのだが、クラシック映画をあまり見ていなかった私は、「この俳優はこういう役専門なのね!」と勝手に思っていた。(だって長男のハンフリー・ボガートがいつみても同じ役やってるみたいだったんです、、、)
『サンセット大通り』を見て、ジョー・ギリスがウィリアム・ホールデンだと気づいたのはベティと共同で脚本を書いてる場面あたりだ。笑顔に見覚えがあって、ようやく思い出したのだが、デヴィットのときの陽キャオーラはどうした!?と思うほど、孤独ですれていて、やさぐれた男になっていた。
それが俳優というもんですよ、と言われたら元も子もないんですが、作品によって全く違う人間に見える!と思った俳優は初めてだったのである。前回と違うタイプの役をやってるな~という感覚ではなく、系統の違う役がぴったり彼にハマっているのだ。見た目がほとんど変わってないにも関わらず。
『第十七捕虜収容所』のセフトンなんかは、ウィリアム・ホールデンの主演作だとわかってみているのに、初めてこの俳優を見た、と思ったくらい。
ややおバカなデヴィットとも、何か憑き物がついたようなジョーとも違う。頭の切れる、生きることに貪欲な軍曹であった。またこれも見た目がそんなに変わってないというのが重要。
ウィリアム・ホールデンはいつみてもウィリアム・ホールデンじゃない。
彼は、見た目が変化しないカメレオン俳優である。
(それが俳優というもんですよ。)
『サンセット大通り』(英語名:Sunset Boulevard) 1950年公開
監督:ビリー・ワイルダー
出演:グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン
<あらすじ>
売れない脚本家ジョーが借金取りに追われて飛び込んだのは、サイレント時代のかつての大女優であり、とうに世間から忘れ去られたノーマの豪邸であった。映画界に舞い戻るための脚本を自ら書いており、その修正をジョーにまかせることになってから共同生活を始める。自身が未だ大スターの地位にいると思いこんでいるノーマは、ジョーとの関係も思い込みからだんだん別の方向へエスカレートさせていく、、、
『第十七捕虜収容所』(英語名:Stalag 17) 1953年公開
監督:ビリー・ワイルダー
出演:ウィリアム・ホールデン、ドン・テイラー
<あらすじ>
第二次世界大戦末期、ドイツの第十七捕虜収容所第4庁舎にはアメリカの兵士ばかりが収容されていた。ある晩、第4庁舎から脱走を図ったアメリカ兵2名が待ち伏せされていたドイツ兵に射殺されてしまう。残りのアメリカ兵はなぜ計画が漏れたのか不信がり、その矛先は一匹狼のセフトンに向く。裏切っていないセフトンは、真犯人探しを行う。
ビリー・ワイルダー監督ばかりになってしまって、反省、、、
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