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ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャーキャピタルって何?

ベンチャーキャピタル(VC)はプライベートエクイティの一種で、早期リターンを期待できるパブリックアセットとは異なり、5年から10年後のリターンを期待できます。ベンチャーキャピタルでは、投資家はリスクと向き合い、リターンを期待してます。

ベンチャーキャピタルは、銀行融資やキャピタル・マーケットなどを通じた従来の方法で資金調達ができない「スタートアップ」と呼ばれる企業の株式を購入します。スタートアップは不確実性や失敗確率が高いですが、ベンチャーキャピタルはスタートアップの高い成長性を期待し、早期に投資すれば大きな利益を得られると考えています。

利 益 (1)

↑スタートアップの資金調達サイクル。写真提供:Blueprint Investor Track

ベンチャーキャピタルでの職種

ゼネラル・パートナー(以下、GP)
投資先の取締役を務めることができ、最終的な投資判断を行う最上位メンバー。

プリンシパル
投資の最終決定権はないが、採用、オペレーション、技術、営業などを支援するジュニアディールプロフェッショナル。

アソシエイト
案件の発掘、既存案件のデューデリジェンス、投資候補案件に関するメモ作成などを行う。ノンディールパートナーなので、1人または複数のディールパートナーと一緒に仕事する。

アナリスト
大卒者。アソシエイトと同様の役割を果たすが、序列の一番下に位置する。

ベンチャーパートナー / アントレプレナー・イン・レジデンス
投資案件の管理や新規案件の紹介などを行うパートタイムのメンバー。

ファンドの構成

GPを監督する管理会社は、VCの業界標準である2%の管理費から給与や経費を支払います。

GPは、ファンド総額の1~2%を法人に拠出し、ファンドからキャリーを受け取ります。キャリーとは、パートナーが一定のリターンを超えた場合に受け取る報酬です。

リミテッド・パートナー(有限責任組合員。以下、LP)は、ファンドの資本の98%をコミットし、GPよりも先に資金を回収します。残りの利益は、LPに80%、GPに20%分配されます。

ベンチャーキャピタルはどう利益を得るのか?

管理費2%:給料、賃借料、光熱費などを管理するための費用を請求します。コミットメント期間が終了(投資家から追加で出資を募ることができる通常3-5年前)ると手数料は減少します。

キャリードインタレスト20%:VCがLPに資本を還元した後に得られる利益。ベンチャーキャピタルは、GPが参加する前にLPに対して、プロジェクトの最低利率である7~8%のハードル・レートをクリアする必要がある。

ファンします

例:VCが期間10年の1億ドルファンドを設立した場合

管理費:2%×1億ドル=200万ドル/年
10年間で:200万ドル×10年=2,000万ドル
ファンドが調達する資金が多ければ多いほど、管理手数料は高くなります。

例:ファンドのリターンが21億ドル(ほとんどのファンドではありえない)

利益 = 21億ドル - (1億ドル - 当初のファンドサイズ) = 20億ドル
LPは1億ドルのファンドから最初のリターンを得ます
GPは残りの利益から20%のキャリーを得る→20%×20億ドル=2億ドル

メカニズム

コミットメント期間:通常5年間、新規企業の発掘と投資を行います。各投資先に「フォローオン」ラウンドのための準備金を配分します。VCは通常、3~5年ごとに新たな資金を調達します。

投資期間:ファンドが活動を続ける期間で、通常10年です。延長することも可能ですが、稀です。投資期間を超えて運用を続ける場合、ファンドは投資先の未公開株をLPに分配することができます。LPは、投資先のリターンが何倍にもなった場合、ファンドを存続させるために多めに支払うことができます。VCのマネージャーは、ファンドを流通市場に売却し、ファンド自体を閉鎖することもできます。

投資の過程

VCは年間1,000社のうち3-4社に投資しています。これは0.2%です。平均的な資金調達期間は6カ月です。

1.ソーシング - 企業を探す
2. 評価 - スクリーニング
3.初期交渉 - 投資メモと論文を持ってパートナーミーティング。起業家も参加。
4.デューデリジェンス - 徹底したデリジェンス。
5.最終交渉と決定 - 条件が整い、法的書類に署名。
6.モニタリング - 取締役会は、営業、マーケティング、採用、ネットワーキング、資金調達などを支援。

ベンチャーキャピタルの種類

・マイクロファンド
1,500万ドル未満のファンド。他のエンジェル投資家やVCと一緒にシードやアーリーステージの投資を行います。
・シード・ステージ・ファンド
最大1億5000万ドル。会社に初の非会社員の役員を提供します。企業への最初の機関投資。シリーズA以降の投資を行うことはほとんどありません。
・アーリーステージ・ファンド
1億ドルから3億ドル。シードからシリーズBまでの投資を行います。
・ミッドステージ・ファンド
2億ドルから10億ドルのファンドで、シリーズB以降のラウンドに投資します。「成長投資家」と呼ばれ、成長と規模拡大のための資本を提供します。
レイターステージ・ファンド
IPO前の最後の資金調達。成功したスタンドアローンビジネスに投資します。

投資ステージ

プレシード → シード → シードA、B、C、D、など。

アーリーステージでは、創業者やチーム、市場のリスクを重視し、より多くの株式を所有します。小さな投資で大きなリターンを得ようとします。

ミッドステージでは、チームとプロダクトを重視しますが、トラクションとスケールにも注目します。営業やマーケティングを分析し、成長のための資金を提供します。

レイターステージでは、イグジットのリスクに対処し、市場規模に注目します。買収やIPOの可能性もあります。VC、未公開株式投資会社、ミューチュアル・ファンドを通じた一般投資家が混在しています。

ベンチャーキャピタルは何に注目するのか

VCが求めるのは、やり遂げるチームです。優れた製品による大きな市場、強力なビジネスモデルと顧客がその製品を買いたいと思っていることの証明(トラクション)、さらに競合他社よりも長続きする戦略(差別化)です。一株あたりの価格(バリュエーション)が妥当であれば、VCは尚更嬉しいです。

起業家がVCに注目してもらうには

あなたのスタートアップがファンドに10倍以上のリターンをもたらすことができることを示しましょう。VCが行う、10、20、50回の投資のうち、成功するのはほんの一握りです。なので、その取引が他の損失を補うことができるかどうかを確認します。

エンジェル投資

スタートアップに個人のお金を投資する人々。彼らは企業の成長をサポートしたいという気持ちが大きく、大きなリターンを期待して企業に投資します(希薄化と呼ばれます)。エンジェル投資家は忍耐強く、親切で、リスクに寛容であり、金融やネットワークの達人として知られています。

エンジェルグループとシンジケート
エンジェル投資家は、より多くの資金をプールして大きな投資を行います。また、より多くの企業の案件を見ることができるため、スタートアップが成功する可能性が高くなります。エンジェルグループは、1人のエンジェル投資家がグループを運営していますが、異なる分野の経験を持った人たちが情報共有しています。

知っておきたいVC用語

インキュベーター
複数のスタートアップが、同じオフィススペースやサービスを利用します。創業者は、他の熱量のある人たちとと一緒にスタートアップのエコシステムに参加することができます。

アクセラレーター
スタートアップ・アクセラレーターは、教育、メンター制度、資金調達を通じて、初期段階の企業をサポートします。アクセラレータは通常、少額の株式(6%)と引き換えに2万ドルの少額投資を行います。追加投資(10万ドル)も可能です。スタートアップは、他のスタートアップと一緒に短期間(通常3ヶ月間)アクセラレータに参加します。

CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)
企業がスポンサーとなって支援するVC。上場企業の一部であることが多いが、必ずしもそうではありません。

クラウドファンディング
個人のグループが、株式の購入、負債の購入、製品の販売前の注文、寄付のような形で企業に資金を提供することを指します。


コンテンツのクレジット:Blueprint Investor Trackで使用された、Avidan Rudansky氏による「Introduction to Venture Capital」のパワーポイント。

※この記事は執筆者から許可を取って翻訳しているものです
元記事:Introduction to Venture Capital

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