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小瓶がカラになった。 琥珀色の液体が、数年という時間をかけて空中へ消えた。 柔らかく甘いあの香りはすでに私のものとなり、そして彼の香りだ。 手渡されたあの日には、こうなることなどまるで見えてはいなかったのに。 私の人生から手を離した彼が、香りの奥に漂う。