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散文詩的な呟き

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日常の一コマを短い映像のように切り取っています。
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2022年4月の記事一覧

華麗舞踏会

どぼどぼ どぼどぼ 注いだ油は跪き 鍋の中で 想いを募らせ熱くなる 遅れてやってきた乱切り野菜は 油と共に底を蹴り 勢いよく舞い踊る しばらく熱気に包まれて 疲れた彼らに水を打つ 静まり返った鍋底で  ぐつぐつ ぐつぐつ 話し出す 退屈しのぎにやってきた  スパイスたちはお喋りに アクセントをちりばめる ぐるんぐるんとかき回される舞踏会 引き裂かれては手を取り 手を取っては引き裂かれ ことこと ことこと 彼らはついに 溶け合い 溶け合い ひとつになった。

春の朝

カーテンの隙間から漏れる陽の光が、思いの外強いことに寝ぼけ眼でも気づいた。7時半を回ったところだった。転がるように布団から抜け出して、重い体を支えて洗面所へ向かう。暖かい日が続いていたが、フローリングは素足から容赦無く熱を奪っていく。 顔を洗う水の冷たさが心地よい季節がやってきて、手早く洗顔を済ませた私は、そのまま化粧も始めた。目元は桜色のようなシャドウ、締めには深い空の色を。バーガンディを目の際に垂らす。 顔の準備だけ済ませて、パジャマを着ている時のちぐはぐ具合は、鏡を

ハッピーエバーアフター

物語ならばきっと、 君は彼の人を思い夜を明かす。 物語ならばきっと、 彼の人も君を思いひと目逢いにくる。 物語ならばきっと、 彼の人は宝石のようなチョコレートを差し出す。 物語ならばきっと、 君はその甘さを諄いとは感じない。 物語ならばきっと、 彼の人は片膝をついて君の手をとる日が来る。 物語ならばきっと、 君はその光景に思わず息をのみ、彼の人の言葉に首を縦にふる。 物語ならばきっと、 その幸せな光景は永遠に続いている。 現実はきっと、 描かれることもなく誰も知