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【インタビュー】色と光の交錯が生む世界。アートプリント作家・ゆつさんが語るクリエイティブの原点

乾いた風が窓を叩く、寒い冬の夜。
BASEで、ひとつのブックカバーに一目惚れをしました。

お気に入りのエッセイを守ってもらっています

淡いイエローとピンクに重なるように、すっと伸びた青。ハッと目を引く鮮やかな画。
「熱帯魚」と名付けられた作品から感じるものは、冷えた指先をぽかぽかと包んでくれるような温かさ。

繊細に重ねられた色たちは、デジタル?アナログ?
一体、どんなふうに描いているんだろう……。

【yutu00(ゆつぜろぜろ)】
絵の具やマニキュア、クレヨン、折り紙などと照明器具でつくった創作写真という画。
その撮りためた作品で他にも何かしたいと雑貨制作を始めました。

照明器具を使うことで影ができたり、虹やオーロラのようなグラデーションになり、幻想的で普段とは違った色合いになります。

yutu00(ゆつぜろぜろ)noteより引用

初めて出会った、創作写真雑貨という存在。
不思議な色の秘密を知りたくてたまらなくなり、作り手のゆつさんに、今の作品を作ることになったきっかけを伺えないかとコンタクト。

快く受け入れてくれた彼女のエピソードから、ものづくりの原点が見えてきました。

きっかけは、折り紙を朝日に当ててみたら、見た目と違う色合いになると気づいたこと

ー創作写真を作り始めたきっかけは何だったのでしょうか?

(ゆつ)ある日の朝にふと思い立って、小学生時代に使っていた折り紙を日の光にかざしてみたことです。

高校を卒業後に福祉系の専門学校に進学したのですが、他の専門学校と悩んでいたこともあって、休学して2年くらいフリーターをしていた時期がありました。
バイトと、バンドでドラムをして過ごしていたんですけど。


ーバンドをやっていたんですか。ドラム、かっこいいです…!

(ゆつ)今はもう叩けないですね(笑)
毎日時間があったので、暇なんですよ。
それで、ある日の早朝に何となく複数の折り紙を使って千切り絵を作り、朝日にかざしてみたんです。光が当たることで生まれた影が綺麗で感動して、創作写真を作り始めました。


ー偶然から生まれたものだったんですね。作品の素材は、全部紙なんですか?

(ゆつ)クレヨンやネイル、ちぎった紙などを組み合わせています。
トレース台に置いて、電気スタンドや懐中電灯で下から光を当てて、スマホで撮影します。
影が出ることで、見た目と違う色合いになるのが面白いですね。

ーその後から、創作写真活動を?

(ゆつ)最初は、オンラインギャラリーサービスの「Creatty(クリエッティ)」というサイトに創作写真を投稿していました。サービス終了でサイトがなくなってしまってからは、SUZURIに活動場所を移しました。

今は新しく絵は描いていなくて、昔描いた絵に照明を当てて写真を撮り直しています。

ー昔から絵を描いたり、写真を撮ることが好きだったんですか?

(ゆつ)空などの風景写真を撮ることは好きでしたね。
学生時代は、写真でアートのイベントに出ていたこともありました。

休学を経て福祉系の専門学校を辞めて、音楽放送系の専門学校に転入したんです。
そこで、バンドやDJイベントの写真を撮っていました。


ー福祉系から音楽放送系は大きな転換ですね!学校ではどんな活動を?

(ゆつ)ラジオ局の社員の方と一緒に、番組の企画のプレゼンから番組制作に関わらせてもらっていました。
知人の紹介でミュージックビデオ制作を始めたのも、この頃です。

卒業後は別のラジオ局でADをやりながら、ネット配信特番のディレクターをやっていました。業務契約が請負しかなかったので、新卒フリーランスという形です。


ー激務なイメージがあります……!

(ゆつ)そうですね。とにかく忙しかったので、身体を壊してしまって。
その後はパートのお仕事をしながら、アートプリント雑貨制作を始めました。

蓄積されてきたアートたちが、今のクリエイティブの素なのかもしれない

ーゆつさんの作品のタイトルは、「疑問の壁」や「朝を歩く」「水花火」など、詩的なものが多いなあと感じました。タイトルはどのタイミングで決まることが多いのでしょうか。

(ゆつ)描いた画を創作写真にしてから作品タイトルをつけています。パッとみた見た目、雰囲気で決めています。


ーなんとなく、村上春樹さんのような文学的なタイトルだなあと思うものもありますが、小説もお好きだったりするのでしょうか。

(ゆつ)たまに聞かれることがありますが、じつは小説はあまり読まないんです。小さい頃に、絵本はよく読んでいたんですけど。


ーここまでお話を伺っていて、ゆつさんは映像や写真、絵など、視覚に訴えかけるものがお好きなのかなと思いました。

(ゆつ)視覚……そうですね。でも、昔からラジオや音楽を聴くのが好きだったり、結構いろいろ好きなんだなと思います。


ークリエイティブに溢れているというか、ずっと芸術に囲まれている感じが……。
視覚だけでなく、五感に蓄積されてきたアートたちが、ゆつさんの作品に生かされているんですね。

(ゆつ)確かに、そうかもしれません。

生活スタイルにフィットしたアイテムと、素材の違いで生まれる色合いの面白さも魅力

ーアートプリント雑貨制作のどんなところに魅力を感じますか?

(ゆつ)同じデザインでも、スマホケースやTシャツなどいろんな形に画をプリントできて、それぞれの楽しみ方に合わせられることです。
布やプラスチックなど、素材によって色の出方が変わるのも面白いところですね。


ーなるほど!今回私が購入させていただいたのはブックカバーですが、Tシャツなどの布物になると同じ画でも違う印象に見えて、また違った楽しみが広がりそうですね。

ー今後、こんなことをやってみたいなと考えていることはありますか。

(ゆつ)アートプリント雑貨活動が今月(取材当時は3月)で3周年なので、このタイミングで振り返ることができたのでよかったと思いました。
もっとたくさんの人に手にとってもらえるように、これからも活動していきたいです。


ーちょうど3周年ですか!おめでとうございます……!

(ゆつ)ありがとうございます。
自分のことを振り返る機会って今まであまりなかったので、今回お話ししていて気づいたこともありました。

あとは、また動画編集もやりたいなと思っています。今の職場で任せてもらえるものがあるかもしれないのですが、MV制作などをもう一度やりたいですね。


音楽やラジオ、映像、写真…常に身の回りがクリエイティブで溢れていた、ゆつさんの半生。感性を刺激する素地がたくさんあったからこそ、自由な発想で作品やタイトルが浮かぶのかもしれません。

アイテムのバリエーションも豊富なので、ぜひ皆さんの日常を彩ってくれる作品を見つけてみてくださいね。



【yutu00(ゆつぜろぜろ)】
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