猫が来た
長らく犬しか飼わないと思い込んでいた我が家に猫が来た。家族にちょっとした不幸な出来事が起きて立ち上がるすべを探すために向かった先はイオンのペットショップ。そこで見つけてしまったのである。スコティッシュフォールドのボンちゃんを。
一目惚れをし、店員さんがすぐさま抱かせてくれたわけだがお値段50万。しかし、抱いた瞬間にこの子を手放すという選択肢は無かった。そして大金をはたいて猫を買い、現実感のないまま家に連れて返ってきたのである。これまで犬を五匹飼ってきて、それが謎の自負となり、わたしは犬派。と犬好きを自称していたが、あっという間に今は猫。子供の頃猫になめられたとに舌がザラザラするから苦手だと感じていたけれど、いやもうこんなにも可愛いとは。
名前はその場で決めた。お盆の時期だったからぼんちゃん。この子が来てくれたおかげで家の空気が変わり、すこしずつ心の傷が癒やされている。たまに鼻を噛まれるがそれすらも愛おしい。毛が服にくっつくたびになんかうれしい。
ぐうぐう喉が鳴ることをはじめてしったので、何かの病気かと思ったけれど、心地いいと喉が鳴るらしい。いまも私の上に乗っかって喉をぐるぐる鳴らしてくれている。お腹があったかくて柔らかくて気持ちがいい。猫猫猫という人の気持ちを、猫を飼って初めて知った。犬と違って呼んでも近づいてこないのに、寝てる時に擦り寄ってくるところがたまらない。たいてい鼻を噛まれるけど、機嫌がいい時は顔を舐めてくれてうれしい。
とはいいつつ、ぼんちゃんは実家にいる。わたしは週一で実家に帰ってぼんちゃんに癒されているわけだけれど、もう一人暮らしをやめて実家に帰りたい。30過ぎて猫のために実家に帰る人生を選んだら諸々のことがもう終わりそうな気がしている。
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