堀口英利くんは2023年6月13日、ツイッターで潰瘍性大腸炎の患者である証拠として臨床調査個人票を公開した。この臨床調査個人票が証拠として適正なものなのかどうかを検証する。
※ 2024年2月24日に堀口くんから「地方公共団体から特定医療費助成制度の支給認定を受けてました。」との声明を受け、『過去に認定されたという特定医療費受給者証』を追記しました。
※ 2024年3月1日に『自己免疫性膵炎(IgG4関連疾患)を併発』を追記しました。
臨床調査個人票とは
難病法により、指定難病患者と診断され重症度分類が一定程度以上の場合、医療費助成の対象となる。申請者は難病指定医を受診し臨床調査個人票の交付を受け、都道府県・指定都市へ申請を行い、特定医療費受給者証の交付を受けることになる。
特定医療費受給者証は1年ごとに更新され、都度臨床調査個人票が必要となる。
潰瘍性大腸炎の調査票
公開された臨床調査個人票
臨床調査個人票を分析
堀口くんが公開した臨床調査個人票の疑問点・不審点を挙げる。
新規欄にチェック
新規欄にチェックがはいっている。これにより調査票記載日の2022年7月30日時点では特定医療費受給者証は交付されていないことがわかる。特定医療費受給者証は10月1日で切替になるので、2021年10月1日以降未交付であることが確定となる。
但し、失効しての再取得の場合も新規となるので、2021年9月以前に受給者証が交付されていなかったことにはならない。
性別欄のチェック
性別欄だけチェックが「✓」ではなく「レ」となっている。
これは調査個人票のバージョン 1803-0097-000-01 において確認されている誤記である。その後のバージョン 2309-0097-000-01 で修正されたもので、2022年の調査個人票記載当時はバージョン 1803-0097-000-01 が使用されていた。
その為、「レ」となっているのは正しい現象である。
月の記入欄のずれ
年月の記入を右詰めで行っていない。「_1」または「01」と記入するところを「1_」としている。
鑑別診断の個別病名に〇
除外する個別の疾病の番号に〇をつけている。鑑別診断では「全て除外可」か「除外不可」をチェックするので、個別の疾病をチェックする必要はない。
本来は「1.全て除外可」「2.除外不可」にチェックを入れるのみで、個々の病気に〇を入れないフォーマットになっている。〇は入力可能域外に手動で記入されたものである。
結果を別紙参照
血液検査の結果を記入していない。OCRで読み取る前提の調査票に「別紙参照」と記載するのはありえない。
この調査票は記入箇所を限定されたPDFで、指定箇所以外に文字を入力することはできない。この「別紙参照」は記入可能欄外にわざわざ書き足したものである。
喫煙の有無
喫煙に関して「4. 不明」にチェックがはいっている。
非喫煙者なら無条件で「なし」にチェックをいれる。
調査個人票は患者が問診票に記入し、受付で不備をチェックし、医師が問診診断して作成される。問診票記入時点で喫煙状況が記入されていなかった場合、受付か医師の問診で必ず確認される為、不明になることは通常はありえない。
身長
身長が166㎝と記載されている。
欄外への記載
調査個人票のフッター部分に氏名とその両脇に黒塗りが記載されている。OCRによる読み込みの場合、読み取りエラーとなるため記載は禁止されている。
厚生労働省の「改正臨床調査個人票記入にあたっての留意事項」においても明確に禁止事項としてあげられている。
記載年月日
2022年7月30日記載とある。
特定医療費受給者証の申請には臨床調査個人票の記載は三か月以内である必要がある。よって、この臨床調査個人票による申請は遅くても2022年11月には行われていなければならない。
「潰瘍性大腸炎の患者」と証明?
まず、申請書類である臨床調査個人票では、認定された潰瘍性大腸炎の患者との証明にはならない。証明とするならば、臨床調査個人票をもって申請することで交付される特定医療費受給者が妥当となる。特定医療費受給者証ならば氏名以外のプライバシー等を明かさずに、行政に認定された潰瘍性大腸炎の患者であると証明できる。にもかかわらず、臨床調査個人票を提示する時点で、現在は特定医療費受給者と認定されていないことが推測できる。現に、調査票提示時点で認定されていなかった。
注意が必要なのは、特定医療費受給者と認定されていないという状態であって、潰瘍性大腸炎の患者ではないということは示さない。中等症未満の認定されない状況(軽度や寛解状態など)や、そもそも申請していない場合もある。
特定医療費受給者証の交付状況
2023年6月14日の時点で、本人が証言するように特定医療費受給者証は交付されていない。
自ら提示した臨床調査個人票が基準に満たないと却下され、6月14日時点で提示した臨床調査個人票は認定された潰瘍性大腸炎の患者との証明には完全に使用できなくなった。
6月15日の投稿で申請は却下されたと発言している。不認定になった場合は、その理由を記載した通知書が送付されるが、内容は確認していないように見受けられる。
却下から2週間後、2023年7月31日に「早く解決して特定医療費支給認定の続報ほしいからカンパしたい」との投稿に対して、認定の連絡が届いたとの投稿。
「認定の連絡」が届いたが、「認定された」「受給者証が交付された」とは言っていない。「認定に関する連絡」の意味だろうか。通常でも一ヶ月程度はかかる手続きが、不認定からの再申請とはいえ1週間から10日程度の短期間で承認されることはありえない。後で相談するといっていた「不認定だった事に関する質問の回答」かもしれない。
2024年3月4日、堀口くんは潰瘍性大腸炎の証拠として外来診療費請求書や診療明細書を公開した。
2023年8月発行の外来診療費請求書によると、負担割合は30%となっている。特定医療費受給者として認定されているなら、負担割合は20%となる。よって請求時点で、特定医療費受給者として認定されていないことを示している。
但し、認定されていたが受給者証がその時点で手元に未送付な状態であったことは否定しない。
却下理由について
どうやら堀口くんは2022年7月30日記載の臨床調査個人票で申請をしていたと思われる。相談時には古い診断書で受け付けてくれたので、申請もそれでかまわないと早合点したのだろうか。
この時点では、彼は不認定の理由を把握していない。
臨床調査個人票に記載漏れ等の不備や内容についての疑義等があった際は、記載した難病指定医に照会等がおこなわれる。しかし、10か月前の個人票で申請された場合はそのまま書類不備等で却下されるのではないだろうか。規定では記載から三か月以内のものが必要とされてる。
相談した時期
1~2年前の診断書で相談したということは、確定診断の出た2020年4月の1~2年後、つまり2021年4月~2022年4月に相談をしたことになる。堀口くんは2021年10月17日に渡英し、2022年1月にコロナ禍のため帰国している。渡英し海外転出した状態で医療費助成を受けることはできないので、相談時期は2022年1月~4月となる。
以前にも申請したとの言が真であり、認定されたならば2020年10月~2021年9月が有効期間の受給者証が交付されたことになる。一度、申請し受給者証を交付された者が、改めて何を相談するのだろうか。申請の手続きや対象に含まれるかどうかも含めてすでに既知であり、仕様に従って申請するのみであるため相談する事項がないように思える。
また、医療費助成について相談したのならば、受給の条件や必要書類、継続時の手続きについて説明されているはずである。すくなくとも、特定医療費(指定難病)助成制度新規申請の手引に記載されている大まかな事項は説明されているだろう。にもかかわらず、その知識がないということは、相談をした内容は医療費助成以外の事柄だったと推察できる。
過去に認定されたという特定医療費受給者証
2024年2月26日に公開された記事『「暇空茜」こと水原清晃の主導するインターネットリンチとデマの数々で人生を滅茶苦茶に壊されました。暇空茜と支持者に厳罰が下りますように。』にて、「特定医療費助成制度の支給認定を受けてました」との記載があった。
過去に特定医療費受給者と認定されていたとするならば、2020年10月~2021年9月の期間となる。
掘口くんは2021年10月にビザを取得し、留学を再開している。つまり、2021年10月以降も特定医療費受給者の申請をしなかったのは「治療費が高額にならなかったから」という理由よりも、留学の為だったというべきだろう。
留学も問題なくできる程度なので、症状も中等症ではなく、軽度や寛解状態だったのだろう。
2022年6月13日実施の内視鏡検査時に「約2年ぶりの大腸内視鏡検査」とあるところから、2021年は内視鏡検査を行っていないことがわかる。
通常、潰瘍性大腸炎の患者は毎年検査を行うが、検査の必要性を感じないほどの症状であったと推察できる。その後も症状の波はあるようだが、特定医療費受給者の申請には至ってはいない。少なくとも、食生活において配慮を要するほどではなかったと思われる。
特定医療費受給者には継続申請のため、受給者証の期限が切れる数ヶ月前に継続手続きの案内が送付される。その案内には、指定医の診断を受け臨床調査個人票を添えて期日までに申請するように記載されている。彼は前述の理由で継続申請をしなかったのだろう。
潰瘍性大腸炎発症からの時系列
2020年1月 発症
2020年3月23日 慶応大学病院にて血液検査
2020年4月1日 慶応大学病院にて内視鏡検査
2020年4月13日 潰瘍性大腸炎の確定診断
2020年6月22日 潰瘍性大腸炎診断書(英文)発行日
2020年9月13日 出国前の最後の通院
2020年9月21日 コロナ禍のため渡英見合わせ
2020年10月~2021年9月 もし特定医療費受給者証が交付されているなら、この間となる
2021年1月 自己免疫性膵炎(IgG4関連疾患)を併発
2021年10月1日~2023年7月 受給者証は未申請(調査票より確定)
2022年6月13日 内視鏡検査実施日(調査票記載)(約2年ぶりの検査)
2022年7月25日 血液検査、重症度判定実施日(調査票記載)
2022年7月30日 調査票記載日
2023年6月13日 潰瘍性大腸炎の証拠として、調査票を公開
2023年6月14日 申請却下「基準に満たないといわれた」
2023年7月 「認定の連絡」が届く
2023年9月22日 渡英に伴う海外転出手続き実施。もし、受給者証が交付されていた場合は返納
自己免疫性膵炎(IgG4関連疾患)を併発
堀口くんは 2021年1月21日、大阪への二泊三日の旅行から帰宅した翌日に、腹痛と胃もたれ・胸やけに苛まれた、と投稿している。
体調不良の原因について「潰瘍性大腸炎と併発した自己免疫性膵炎」であったと投稿している。
自己免疫性膵炎はIgG4関連疾患として指定難病に指定されている難病である。
調査個人票には過去の合併症も含めすべて記載することになっている。しかし、堀口くんの公開した調査個人票の合併症欄は「2. なし」にチェックがあり、「6. IgG4 関連疾患」のチェックは無い。
2021年1月に発症した合併症が2022年7月記載の調査個人票に記載されないはずがない。
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