バルカン半島の旅②【モンテネグロ】コトル
前回のつづき
続いてモンテネグロのコトルという街に日帰りで行ってきた。
ドゥブロブニクからバスで約2時間半ほど。なんだけどハプニングあり・・・
この旅の思い出は現地というよりそのハプニングが色濃い。
コトル湾は”世界一美しい湾”とも称される、ヨーロッパ最南のフィヨルド。
※フィヨルド=氷河の浸食作用によって形成された複雑な地形の湾や入り江のこと
湾のすぐ横にある旧市街も魅力的で、建築物は12世紀のロマネスク様式をはじめ17世紀のバロック様式にまで至り、中世の時代そのままの雰囲気で散策したり、教会に入ってみるのも楽しい。
ドゥブロヴニクに比べると観光客も多すぎず、こじんまりとした雰囲気が素敵。
だけど1時間半ほど散策していると、
あ・・・・
飽きてきた・・・・ ←
人が創り出した建造物や土産物屋の風景に
お、お腹いっぱい感をかんじてきた・・・・!
ここで確信する。
私の関心は歴史的な遺産や人工物 < 移り変わる自然の風景
ということを。
(おまめさん(夫)は歴史も遺産も教会も建築も好き)
ということでお昼ご飯を食べたらさっさとひとけの少ない湾のほとりに移動。
途中の売店でアイスクリームとアイスカフェラテを買って
浜辺に座り、
そこに佇んでいるだけで絵になる仙人のようなおじいさんを横目に
フィヨルド地形のコトル湾を眺める。
透き通る美しい水辺に力強いグレーの山肌の稜線、
気温もそこそこ高い日中にも関わらず
山に触れた風が水面を撫でながらこちらに届くから
スーッとした空気に包まれて
とてつもなく気持ちがいい。
ひんやりとした水温、暑い日差しの中で入ると気持ちがいい!
日帰りで来たことが悔やまれるほど心地の良い時間でした。
きっと初めて行く場所だから!とネットの情報を頼りに
あれこれ予定を組んでいたら
こんな街はずれのローカルな風景に出会えてなかったし、
「この絶景に包まれてる感」にも出会えなかったな。
とまぁここまではいいのですが。
まず、このコトルまではクロアチアのドゥブロブニクから朝イチ朝8時台のバスに乗り込み来た。
シェンゲン協定に加盟していないモンテネグロへの国境越えは道中で出国&入国審査があり、いちいちバスから降りてパスポートを見せて…×2回とちょっぴり面倒。
※シェンゲン協定=加盟している国家間において出入国審査なしで国境を越えることを許可する協定
だけどバスでの国境越えは初体験で、不便さよりも人生経験増える楽しみワーイという気持ち。
この時までは。
ハイシーズン真っ只中のこの国境越えは予定よりも随分時間がかかると事前に情報を得て、覚悟していたので大体3時間超えのバス旅になったのだけど、まぁそれも予定通りでした。
だけど
帰りよ。
帰りは15時45分発のドゥブロブニク行きのバス。
およそ1時間遅れでバスが到着、
まぁこれも想定内(時間通りに来るなんて期待するほうが愚かよね)。
順調に国境まで辿り着くも、そこから先に動かない。
まぁ動かない。
1時間動かない。
2時間動かない。
・・・
結果的に
国境越えに4時間。
ここ大事。
国境越えだけに4時間よ。
笑
もう笑えてくるんだよね。
いくらハイシーズンで国境越えが大混雑といってもこの時間のかかり方はどこにも載ってない。
だけど何が原因でこんなに進まないのか、
事故なのか事件なのか。(ちなみに最後まで分からず)
そんな情報は1ミリもバスの中には届いてくるわけもなく
ただひたすらに待つのみ。
リクライニングができるわけでもなく
4列シートの普通の観光バス、トイレもついてない。
さすがに腰は痛くなってきて
く、苦行・・・とは思ったけど
リアルタイムで起きる人間ドラマが面白くて
退屈はしなかったのである。(つよ)
バスが進む気配がなくいつまでも待たされていると
次第に
飛行機の時間に間に合わない!と騒ぐ若者、
どうにか別の方法で空港に行けないか考えている親切なカップル(どっちみち国境を越えなければどんな交通手段にも辿りつけず困難なんだけども)
呑気にタバコをぷかぷかする運転手、
漏れると言ってバスを降りてトイレまで歩くお姉さん
(他の車からもぞろぞろ歩いてトイレに向かう人たちたくさん)
いろんな言語で漏れ出す愚痴にため息
4時間ノンストップおしゃべりなアメリカ人。
本当にね、
異文化が混ざり合うってこういうこと。
カオスってこういうこと。
この混沌こそがこの日一番のハイライト。
そこで無意識に感じる
自分の物差しでの"当たり前"はおろか、
今まで培ってきた"常識"なんて、
この国境においてはなんの意味もなさないのです。
海外を旅するってこうだよな。
本来、こうだよな。
これに良いも悪いもないよな。
ただ、ここに広がる状況すべてが
この地球のひとつの現実なんだよな。
と感じる。
そうは言ってもじわじわと疲労が押し寄せてくるが、
ただその状況を受け入れるしかないのである。
待てど暮らせど変わらない窓の外の景色、
仕方ないので夫のおまめさんとその間
人間観察の意見交換や ←
おまめさんのバックパッカー時代の
過酷な体験記とか←これ聞いてたら今の状況は全然マシだと思えてくる
若者の旅行と大人の旅行の違いについてとか
これからの旅の仕方についてとか
(今回の流れでお金で時間と楽さを買うべきだと再確認できたねと話した笑)
あれこれ話していました。
語り合う時間もいいよね。醍醐味だね。
いつもは乗り物に乗ると速攻眠くなる私でも、
なんだか見るもの(感じるもの?)が多すぎて眠れず。笑
そんなこんなで17時前に出発して、
ドゥブロブニクに着いたのは深夜0時前。
はあ。
つかれたー!!!!!!!!!!!!!!!(ちゃんと人間)
かろうじてバスターミナルの目の前のレストランが開いていて
ぺこぺこのお腹を満たすこともできて一安心。
側から見たら大変だったねえ、となるような時間ではあったけど
もちろん疲れたけど
まぁ、こういうハプニングがあったほうが
なんだかんだ思い出に残ったりするよね、なんて思ったり。
苦労して辿り着く秘境。(ちょっと意味違うけど)
いいじゃん。 笑
なんだかんだこの不便さで、旅行じゃなくて「旅」を感じた。
こういう予定外というか予想外のハプニングも
ひとつの経験として、なんならネタにもなって、美味しい(?)と思えちゃったりもして。
良い一日ではあった。
そんなこんなで今回改めて思ったのが、
自分にとっての良い旅先での過ごし方って、決してガイドブック通りの方法ではないということ。
ここに行くのはこのルート!とか
ここだけは見ておくべき!
というスポットや定番なんかはたしかにどこに行ってもあるけど
たとえそれを省いたとしても、独自のルートを築いてみたとしても、心からの充足を感じることができる。
自分が見たいものや、感じたい風景が一体どんなものかが分かっていれば
”自分だけの旅”に辿りつくことができるし、満足感も心いっぱい感じるよなと。
それがなんなのかを「知る」ことを諦めないこととは
幸せのための避けられない道なのだと思うなどした。
次は私的今回のベスト、ボスニア・ヘルツェゴビナ編です。
おたのしみに!(いつのまにかシリーズになっちゃったごめん)
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