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不合格だった人へ向けて。

何より、お疲れさまでした。

疲れていることと思います。とにかくこういう時は、美味しいものを食べましょう。できれば温かいものがいいですね。

睡眠時間が足りてない人は沢山寝ましょう。寝たくても寝れそうになければ、それはそれで大丈夫。外を歩いたり音楽を聴いたり、映画を見たり、自分が好きなことをするといいです。今良くないのは、独りで体力や精神力を磨耗させてしまうことだと思うので。




これを読んでいるあなたが今どんな顔をしていたり、どんな感情の中で息をしているのか、僕には計り知れません。

もしかすれば、とてつもない絶望や挫折、惨めさやみっともなさの中などにいるでしょうか。友達みんな受かってるのに自分だけ落ちてしまったとか、家族にあんなにお金を出してもらったのに結果を出せなかったとか、様々な事情があるでしょう。

結果が出せなかったからこの一年は無駄だった。そんなふうに考えるかもしれません。特に一次試験で落ちた場合なんかは、今まで対策してきた二次試験自体を受けられなかったのだから、そのように思うのも仕方ないように思います。




だけど、大丈夫。無駄だったなんてことは決してないです。
浪人で身につけた技術、思考法、精神力。この先の制作の現場でそれらが発揮される瞬間が数え切れないほどあるはずです。

思い出してほしいです。今までの旅路を。制作の軌跡を。
辛いことや泣いたことが数え切れないほどあったでしょう。悔しかったことも惨めだったことも、そりゃもう沢山。ああなぜ、どうして美術なんか。


でもその度、終わってたまるかって自分を奮い立たせていましたよね。だって絵を描くのは苦しいけれど、決して苦しいだけじゃなかったから。先生や友達に褒められたことが、嬉しくて嬉しくてたまらなかったから。


今思い出すと辛いかもしれない。でもどうか思い出して。忘れないで。それらが無駄だったなんてこと、あるはずがない。乗り越えてきた苦悩の数々は一つ残らず今の自分を形作る強さです。



家族や周りに申し訳ない、なんて思わないでください。あなたを応援してくれている人はみんなあなたが大好きだから、決してあなたのことを責めたりなんかしない。
もし周りや家族にあなたのことを責めるような人がいたとしたら、それはその人が間違っています。

走り続けたここまできたその姿は、何よりも美しく輝いています。自分じゃわからないかもしれないけど、その姿に勇気をもらった人が、あなたの想像よりもずっと多くいます。









僕からたった一つだけ、お願いがあります。





どうか、死なないでください。お願いします。






人によっては、飛躍しすぎだろって思われるかもしれませんね。でも他人事じゃない人も多分いると思うのです。全部どうでもいい、消えてしまいたい、消えてしまいたい。僕もそう唱えていたから。

二浪で落ちた時はひどく精神が不安定になりました。毎晩泣いて、世界の全部が怖かった。夜の中にずっとこもっていられれば良かったのに、知らぬ顔で昇る太陽が恨めしくて仕方なかったです。



あんなに必死で追いかけて、それが叶わなかった時。一番辛いのは叶わなかったこと自体じゃなくて、その先も平然と人生が続いていくことなのだと思います。それはもうどうしようもなく残酷に、容赦無く進んでいく。
その仕組みに疲れたからもう終わらせたいって思う気持ちはある種自然なこととも思います。



今ある絶望がこの先永遠に続くことはない。そんなこと、わかっている。でもこの先じゃなくて、問題は今目の前にある絶望でしょう。

それを、どうにかこうにかやり過ごしてほしい。どんな手を使ってもいい。人を傷つけてもいい。どうしても耐え切れそうになかったら、一ヶ月、せめて一週間先にしてはくれないでしょうか。その間、友達に会ったり、好きな場所に行ったりしてほしいです。


なんかもう本当にどうしようもなくなったら、僕で良ければ飯とか奢ります。生活費がギリギリなんで、そんなに高いのは無理だけど、でもなんか食べましょう。会うのは無理でも、DMとか送ってくれたら必ず返信します。どうにかこうにか、今を生き抜いてほしいです。
















これからの話を、少ししましょう。




別の場所で頑張るあなたへ。

別の場所とは、多いケースは他の大学でしょう。人によっては就職先であったりするかもしれません。


大学に入って、つくづく大学なんてのは通過点でしかないのだなと日々実感させられています。入ってそれで何かを保証をされるわけでもないし、何者かになれるわけでもない。

結局のところ、受験生活も大学生活も本質的に仕組みは実は大差ないのかもしれません。受験生活は、行きたい大学に行くという自己実現のための期間でした。そして大学生活も、就活を視野に入れるにせよ入れないにせよ、なりたい自分に近づくために経験を積み、努力を重ねる過程です。

もしかしたら人生なんてずっとそうなのかもしれません。受験というステージが終わっただけで、自分を勝ち取るための戦いはこれからも続きます。

受験というのはぶっちゃけ大変です。浪人なら尚更。それを乗り越えた人間なら、この先の大抵のことは大丈夫じゃないでしょうか。
今まで受験を通して、数年前の自分の想像を遥かに超えて強くなってきた。この先も同じです。それぞれの場所で命を輝かせましょう。共に。







もう一年頑張るあなたへ。


あるいは、まだ迷っているあなたへ。

この文章の中でもすでに何回か使ってはいるのですが、僕は一浪、二浪といった言葉が嫌いです。その言葉には、あくまで現役(=0浪)が普通であり、基準であり、そこからはみ出すほどに異端であるかのようなニュアンスを抱くからです。(説明上便利な場面が多々あるので僕も使うのですが……)

本来大学なんて何歳から入ってもいい場所です。それなのに現役とか浪人とかそういう区分の仕方のせいで、遅れをとることを必要以上に恐れてしまう現状があるように思います。

特に藝大美大なんて、入学するのが数年変わろうがそんなの微々たる差でしょう。それでも文句や揶揄を送る外野は居るかもしれませんが、言いたい奴らには言わせておけばいい。そういう人たちの尺度とは、もう僕らは違うところにいます。それを誇りに持って戦えばいい。


僕も受かった年は三浪でしたし、藝大一本だったので、落ちたらどんな手を使ってでももう一浪してました。
浪人を強く推奨するわけではないけど、そんくらいはまあそんなに珍しいケースではない、ということです。




浪人するにあたって一番の現実的なハードルは金銭面かと思います。


とりあえず、各大手予備校の奨学金制度を調べ、奨学生試験を受けてみることをオススメします。受けるだけならタダですし。
たとえば僕の三浪の時は、御茶の水美術学院の藝大デザイン科は25~30%、すいどーばた美術学院の藝大デザイン科は最終的に75%オフになりました。

これは単純に実技の実力のみによる数字ではなく、浪人数やその人の経済状況を加味した上で算出されているのだと思います。なので経済状況が厳しい人は、その旨を伝えればより減額してもらえるかもしれません。


また僕は三浪の時は、予備校の学費、生活費のほとんどを自分のバイト代から出していました。やってみて思ったのは、やってやれないことはない、ということでした。もちろん過酷ではありましたし、学費がもっと高かったら一年通しては通えなかったかもしれません。その場合でも一年の前期をバイトにあて後期から通うことはできたはずですし、やりようはいくらでもありました。

東京で一人暮らししてましたが、家賃は32,000円でした。御茶ノ水や池袋まで約50分です。そういう家も、探せばあります。

もちろん全く家族の協力を得られず、本当にどうしようもない場合というのもあるでしょう。でも、大概の場合は意外とどうにかできたりすると思います。







最後に

今年はSNSで受験生向けの発信を数多くしてきましたが、来年度は恐らくほとんどしなくなるだろうと思います。僕はただ情報を残したくて、そしてそれはあらかた残し終えた実感があります。もしかしたら今月中にもう少し何か書くかも知れません。

けれど受験生を応援する気持ちはずっと持っているので、DMで相談や質問などくれたら必ず返信します。そのスタンスは今後も変わりません。
受験生じゃなくなっても、声を掛けてくれたら嬉しいです。僕は人と話すのが苦手ですが、人と話すのが好きです。関わりあって、繋がって強くなっていきましょう。





最後に、僕が浪人してる時に心底救われた、amazarashiの詩を引用しておきます。


絶望とは、暗闇ではなく
暗闇の中で、手を伸ばす事も出来ない事
希望とは、手を伸ばす事ではなく
暗闇の中でも、触れたい何かがあるという事

触れたいものなど無い、と言うのなら
そもそも君が、絶望する事も無かっただろう
絶望なんて、手を伸ばした人だけに訪れる
通り雨みたいなものだから

君の肩が濡れているのはむしろ誇っていい
どうしようもない今日も 笑えなかった昨日も
君が何かを掴もうと、手を伸ばした証拠なんだ

一度も旅に出ようとしない、傷一つない船に
誰が乗りたがるだろうか
この先起こる嵐を乗り越える為に
痛みを知っている君でなければいけない






人生は続きます。いつの日も終わりではなく始まりです。
これからも辛いことは数え切れぬほどやってくるはずですが、前を向いて生きていきましょう。きっと大丈夫。

互いの幸運を祈ります。





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