一人娘をマーライオン呼ばわりすんな!

(大変汚い話のため、気分良い時に読んでください。そして、引かないでください。)

私はかれこれ、10年以上吐いていない。

旅行に興味がなさすぎるから乗り物酔いもしないし、お酒も強くないから吐くレベルまで飲まない。

しかしそんな私も、昔はよく吐いていた。

理由は2つあって、まず、乗り物に弱すぎるからだ。

小学校のころのお泊まり遠足で数時間バスに乗ろうものなら、毎回吐いていた。乗り物酔いに関しては現在進行中で、通学時20分間バスに乗っただけで軽く酔うなんてことも未だに。もちろんそんな短い間では吐くまでは全然至らないから良いんだけど。

そして2つ目の理由。今はそうでもないが、昔私は病弱だった。

インフルを筆頭に、流行りの病気には絶対にかかっていた。

これは、小学4年くらいにノロウイルスに罹ったときの話。

ノロウイルスは、本当にしんどい。

とにかく下痢と嘔吐にボコボコにされる。

特に吐き気がヤバくて、水さえ戻してしまうのだ。

お腹がいたくてトイレにうずくまって、トイレから出て手を洗おうとするとそこには水が。飲んだら吐いてしまうとわかっていながらも、耐え難い喉の渇きに負け水を飲んでしまう。そしてすぐ吐いて後悔するのだ。そしてまた喉が渇く。この八方塞がり地獄の繰り返しなのだ。

私は悶えながら、トイレと、父親が座っていたこたつを往復していた。

こたつで休んでいたとき、また酷い吐き気に襲われた。

トイレに行く前に戻してしまいそうだったため、近くにあった、母親が用意してくれた桶を咄嗟に口の下に置き、行為に至った。

そのとき、なんと父親が、口を両手で押さえて眉を潜めながら、私が吐いているその様子を正面からガン見してきたのだ。

朦朧とした意識の中私はこう思った。

(なんでただ見てくるんだよ.....。

ただ見てくるだけならまだマシだよ、なんで両手を口に当てて眉を潜め、引き気味で見てるんだよ.......。)

母親も私が吐いたのに気づき駆けつけてきて、引き気味の父親に怒った。

「いや、娘が吐いてるんだから、背中をさすったり、大丈夫?とか言ってくれない?

あんたが引き気味で見てる吐いてる人間は、他人じゃなくてたった1人の娘なんだよ!」

それに対して父親は、

「いや、まだ10歳くらいなのに自分で桶を咄嗟に用意して綺麗にマーライオンみたいに吐いてて偉いな、俺がその歳だったら絶対こぼしてたなと思って」

と言い訳をしていた。

そんなところで褒められても全く嬉しくなかった。

マーライオンに対する憧れが一切なかったし、感心するなら心配しろ!と思った。

本当にどんな父親だよ...

......

でも、そういえば父親は以前、若い頃通勤時に見かけた吐いてる人の話を、私にたくさんして、喜ばせてくれたな。

終電間際に駆け込もうとしたサラリーマンが誰かのゲロに滑って大転びして、服が汚れた上に終電を逃していた話。

満員電車で吐きそうなサラリーマンが、周りに迷惑をかけまいと床じゃなくて大事な資料が入ってそうな自分のビジネスバックの中に吐いていた話。

私はその話が大好きで、お父さんに何度もおねだりして、話してもらったっけ。

そうか、お父さんが吐いている人を引き気味で観察してくれていたから、私は好きなお話をたくさん聞けたんだね。

このnote書いてたら、なんかまた聞きたくなってきたな...

最近時間なくてちゃんと話せてないけど、吐いてる人の話はまた久しぶりに聞かせてほしいな!

あれ話すとお母さんが怒るから、こっそり2人きりのときに話してもらってたんだよな!

何回も話してるのに、毎回1回目みたいな感じで話してくれるし、私も1回目みたいなリアクションで笑ってさ...!

懐かしいな....!

ありがとな!

おわり

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