タトゥー

昨日、本のおまけの栞を作りにキンコーズへ行った。持ち込んでいった竹尾の見本帳店で買ったお気に入りの紙は分厚すぎて対応できないと言われてしまった。あわてて、なるべく白くて程よい艶の紙を選んで出力してもらった。ついでに、ポスターも作った。

自分の文章をこうして本にしたり、自分のグラフィックをポスターにしたり、私って私のこと大好きか。でもいいんです、何も嘘ついていないから。

自分のこと大好きなんて言うのずっと恥ずかしいと思っていたけど、いつかのカウンセリングで自分の好きなところはどこですかと訊かれてから、少しずつ考えが変わった。
好きになれないところは山ほど思いついたけれど、その時の私は自分の好きなところを胸を張って好きだと言えなかった。恥ずかしくて、おこがましくて、傲慢だとか誰かに陰口を言われそうで、自信がなかった。

私は文章を書くのが好きだ。グラフィックを作るのが好きだ。歌うのが好きだ。時たま誰かに褒めてもらえることもある。でも何よりも、私自身が、私の文章やグラフィックや歌が好きなんだ。
カウンセリングで自分のことを愛する気持ちが極端に少ないことを知ってから、私は変わろうと必死に努力をした。上手くいかなくて何回も泣いたけれど、少しずつ、好きなところを好きと言えるようになった。だからこうしてポスターまで作ったのだ。


家に着いて、ご飯を食べて、いそいそとマスキングテープでポスターを飾った。寄ってみたり引いてみたりしてしばらく眺めた。
額を買わなきゃなぁなんて思いながら、これはタトゥーだと思った。今の私が、こうして本を作った記録をこの壁に残しておく。よっぽどのことがなければずっと飾るつもりだ。

朝目が覚めたとき、ご飯を食べるとき、眠るとき、この部屋で過ごす毎にこのポスターを眺めて、私は私が本を作った時のことを思い出す。

今の闘病中の私のことを忘れるなよ、これまでのいろんな葛藤や、一日中泣いていた日のことも、未来の私は全部背負っていくんだからな。そう決意して、私はタトゥーを入れた。

おいしいご飯を食べるにはどうしたってお金が必要