日記小説|初売り

もらったお年玉で福袋を買う。
それが小学生の頃からのお決まりだった。

仙台には仙台初売りという文化がある。
元旦の郵便受けには、輪ゴムで束ねられた年賀状と、もう一つ、新聞に挟まれた、分厚い初売りのチラシが詰め込まれる。

小学生の頃は、ヘアアイロンや、ウォークマン、文房具や、洋服などが掲載されいる、電気屋さんや、お洋服屋さんや、大型ショッピングモールのカラフルなチラシを穴が開くほど眺めて、全部買えたら幸せなのに、と思っては、もらえるお年玉の額を何度も数えていた。

そんな私にも変化があって、初売りという一大イベントに参加しなくなった。
仙台から離れたというのもあるが、それだけではないだろう。

必要なものは必要な時に必要な分だけ買うことができるようになったし、自分が本当に大切にしたい生活が分かってきたのだ。

そんな時の流れにちょっぴり寂しさを感じながらも、この変化を楽しもうと思える自分がいることが誇らしい。
きっと福はもう私の手の中にあるはずだ。


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