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わたしの全ての原動力の源の話。


散々、日本はあーだこうだと言っておきながら、日本で生まれて日本で育って日本人として生きていて良かったと思う事はたくさんある。

今日はそんな話。

わたしは高校を卒業した後に製菓、パンの専門学校へ進学した。そのときに卒業したらパン屋で働きたいと思った。ケーキは繊細な作業すぎてわたしには向いていないと思ったから。あとは単純にパンのほうが楽しかった。インターンシップの時に、地元で有名なパン屋さんを希望した。

初日にそのパン屋へ行き、そこでわたしと同じ専門学校卒業の1つ上の先輩に出会った。それと、そこのパン屋の工場長に出会った。インターンシップ中にわたしは強烈に、絶対にこの2人と一緒に働きたい!!!!と思った。なぜかは未だに分からない。まさに運命の出会い、という感じ。その2人からめちゃくちゃ刺激を受けた。


それから卒業してなんとかそのパン屋で働けるようになった!そのパン屋は地元でも有名なだけあってめちゃくちゃ忙しかった。止まっている暇などない。ひたすらパンを作り続ける。みんなで一丸となって作る。どの人もパンに対する情熱みたいなものを持っている。フランスからパンの先生を呼んでみんなで教わったり、地域に貢献ということで店休日には子供向けのパン教室を開いたり。

そこでわたしはたくさんの尊敬する先輩たちに出会った。インターンシップの時に感銘を受けた先輩とは今でも仲良くさせてもらっている。その先輩が作るパンはきれいで、わたしはいつも先輩の背中を追った。先輩が目標だった。

インターンシップの時に工場長だったわたしの上司は、働き出してからもずーーっと面倒を見てくれた。わたしが疲れてふてくされている時も、頑張ることの意味を教え続けてくれた。常に味方でいてくれた。工場長なのに、誰よりも人一倍働いていた。そんな中でも常に応援してくれていた。わたしの一生の恩師である。この人には一生をかけて恩を返していきたいと思えるような人。

あとは、パートの主婦の人。この人はめちゃくちゃ働き者で仕事中ずっと動き続けていた。この人がいないと困るくらいにとっても働き者。それでいてとっても優しくて懐の深い素敵な人。まだ若くて何も知らないわたしにたくさんのことを教えてくれた。仕事について、人生について。その人が、恩送りということをわたしに教えてくれた。恩返しとは、恩をくれたその人に恩を返すということだけど、恩送りというのがあるよ、と。だれかから受けた恩を、その人ではなく違う人に恩を送る。そうやって回していけばいいよ、と。

その時からわたしはたくさん目をかけてくれた上司に対して、恩返しではなく恩送りをしよう、と心に決めた。


そして今。わたしはオーストラリアにいる。あんなに大好きだったパン屋の仕事も3年目には、もーいやだ!やってられるか!という気持ちになって転職した。笑

そしてその一年後にオーストラリアにきた。人生なにがあるか分からない。笑


それから、アジア系のレストランでウエイトレスをしたり、ビザのために農業をしたり、だけどずっとまたパン屋で働きたいと思っていた。オーストラリアでは、なにより経験が有利に働く。オーストラリアでパン屋の経験がなく、英語勉強中のわたしがローカルのパン屋の仕事をゲットするのは相当難しい。

だけど今は中国系のパン屋で働いている。フランチャイズのパン屋だから生地は工場から作られたやつが送られてくる。だから、仕事内容は生地を成形して、焼いて、トッピングする。その3セクションだけ。焼成は、専門学校時代に、オーブンのポジションは1番重要だから新人はなかなかできない。ある程度経験を積んだ人がやるポジションだ、と教わった。

だから今の仕事場の3セクションの内、焼成だけ未だにやった事がない。でも、ずっと習ってみたいと思っていた。パン屋の求人にも、求められるものは焼成ができるひと。オーストラリアではBakerというと焼成ができる人がBakerと呼ばれる。そのほかはBaker assistant という部類になる。わたしはいまだにassistantだ。やっぱりオーストラリアに来たからには、オーストラリアのパン屋で働きたいという目標がある。生地も作ってみたい。

ずっと焼成を習いたいと言っていたけど、なんだかんだとやらせてもらえなかった。だけどようやくやらせてもらえるかもしれない!!!!!

今の仕事場で焼成をしている人は同じ系列のパン屋で10年働いている。その人が言うには、今まで見てきた人たちはみんなお金のためにパン屋で働いている。だからパンに興味もなければ、どうすればより良いパンが焼けるかなんて気にもしていないのがほとんど、と。教えても、聞いちゃいない。だって興味がないから。

それを聞いて、なんだかがっかりした。わたしにとったら、パン屋の仕事以外におもしろいと思える仕事はない。常により良いパンを作りたいし、失敗したらその失敗を改善して前日より良いパンを作る。そうやって仕事してきた。やりにくいな、と思った事は聞いて自分なりに改良してきた。だけど、ただお金のために何の目標もなく働いている人がほとんどだと。日本では、みんなパンに情熱を持っていた。それが普通だったわたしには結構衝撃で、悲しかった。

焼成は簡単ではないと分かっている。でも、一度自分のスキルにしてしまえば、どこでだって使える。一度、嫌になって辞めたパンの仕事だけど今回思い出した事がある。


わたしは一生をかけて、あの頃たくさん力になってくれた先輩たちと上司に恩返しをしたい。恩送りをしたい。だから、不満ばっかり言っていないでスキルアップして、あの時たくさん教えてくれてありがとうございましたと言えるくらいにまで成長していたい。思えば、わたしの全ての原動力はここからきている。


目標もなくただお金のためだけに働いている人がほとんどの中、わたしはどんどん進んでいきたい。それがわたしができる精一杯の恩返しだと思うから。へこたれている暇はない!


がんばるぞ。という自分に喝をいれるための記事。

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