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アルベル プッチ オルトネダという漢

『人生には出会いと別れはつきものです。

アリガトウ、ニッポン。サヨナラ、ニッポン』

こんな洒落た文章と共に、元FC東京監督・アルベルの退任が発表された。

本旨とは逸れるが、1文目については極めて同意の姿勢を見せたい。
寿命や感情を持つ人間である以上、始点があれば必ずどこかに終点を打つこととなる。
家族であろうが、友達であろうが、恋人であろうが。一方的に認知をしている芸能人も然り。
「出会った数だけ終焉を経験する」と考えると、人との関わりが多いことが本当に幸せなのか?とまで思えてしまう。

そんなことはさておき、
MIXI体制になり、歴史の変革へを舵を切ったFC東京の第一幕はあっけない形で終わりを告げた。

最近でいうとマッシモや長谷川健太等、ソリッドな守備をベースに縦に早いサッカーを展開してきた。そこから完全に異なるベクトルに舵を切り、"ボールを愛する"ポジショナルなサッカーを目指すことに。
記念すべき第一歩目の役者としてアルベルが選ばれたわけだ。彼は、バルセロナのアカデミーで相当な実績を残し、日本・新潟で監督キャリアをスタートした。
2シーズンを新潟で過ごし、退任が決まっていた中、東京が22シーズンからの監督として任命したわけである。

今までと志向するサッカーが大きく異なるうえに、クセがあるとされている組織文化。某得点王が移籍をしてきた際も、「うちのやり方じゃないっすよ」と新しい風を嫌う風潮のある組織らしい。本当にこんな組織であるならば、根本から丸っと変えるには相当なエネルギーと時間が必要。
ただでさえ、材料(選手)も作りたいものに適している訳ではないのにも関わらず。

とはいえ、フロントも積極的に補強を行い全力でサポート。
1年目は徐々に目指しているサッカーの片鱗が見えて、1年目にしては上々の6位フィニッシュ。
元から2.3年スパンの計画であるが故に初年度からの優勝は公言していなかったアルベル。ファンの期待も膨らんだ。

翌年、MVP受賞経験のある仲川を筆頭に、アルベルサッカーに適合するであろう選手を補強。
キャンプの雰囲気も良かったようで、槙野が優勝候補に挙げたほどだ。それほどに満を持して迎えた23シーズン。待っていたのは暗闇だった。

ある程度駒が揃ってきたのにも関わらず、昨シーズンから全く進化が見えないサッカー。
ボールを愛する片鱗すら見られない試合が続く。ゲーム内容も結果も伴わない事態に、ファンの疑問の声も徐々に高まる。ついには聞きたくなかった解任論もかなり沸いてくるように。
多摩川クラシコで勝利したことで盛り返しの兆しを見せたが、低調ガンバを含め三連敗を喫し、あえなく6月半ばに解任。辞任なのか解任なのかはわからないが、引責することとなった。

元から2.3年プランであったことは理解しているため、もう少し我慢したい気持ちがあった一方、道筋が見えずストレスが溜まる状況でもあったため、解任には反対する気もない。
強いて言えば文句を一切言えない状況(補強の遂行や、時間の経過、参謀役の用意など)にしてから判断をしたかったが、エンタメビジネスである以上結果は度外視できない。

一定理解は示しつつも、本当にリリースが出た時は涙が出そうになった。
結果は伴わなかったかもしれないが、東京というチームを変えようと奔走してくれたことは間違いない。監督経験2チーム目にしてはかなりチャレンジングな任務だったかもしれないが、勇気と意志を持って引き受けてくれたアルベルには感謝しかない。
東京を本気で変えようとしてくれてありがとう。
貴方のフィロソフィーや魂はきっと無駄にならない。そう信じています。

日本を離れられたとのことですが、これからの人生に明るい未来が来ることを祈っています。
ありがとう、アルベル。


SEMPRE JUNTS FENT EL VIATGE

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