2018/10/20

酔いにまかせてみたり海を眺めてみたりと、シチュエーションはさまざまだろうが「愛ってなんだろう?」なんて小恥ずかしい問いを人が発するとき、たいてい答えはすでにでていて、本当に知りたいことといえばその愛をどう表現すべきか/あの人は愛をどう表現する人間なのか。そんなところだろう。

わたしだったら、そうだなあ。この季節、別れ際に「あったかくして寝てね」なんて言い出したらそれは愛情表現である。「気をつけて帰ってね」は社交辞令だけど、帰宅後どんなふうに寝てほしいかにまで注文をつけだしたら愛、あるいは支配欲。この境界のはなしは今は大事じゃない。

『メンタリスト』という海外ドラマをみていたら、主人公の男性が相棒の女性刑事に、"I want you to be careful."と言うシーンがあって、これもまた愛だなと思った。字幕では「ただ、気をつけてほしいだけ」。よいなあ。英語には日本語とは違った魅力がある気がする。"I love you."と「愛してる」では文化の違いもあっておそらくニュアンスが異なる。夏目漱石がなにやら言っていたのも頷ける。

異なる回で、やはり主人公がその刑事に対して「僕に不満を隠さないで」という台詞があったのもよかった。「怒らないで」なんて言うより何億倍誠実なんだろう。相手を人間扱いしていることがよくわかる。

現実では誰かに愛されるどころか一つの人格をもつ個人として尊重してもらうことすら難しい。世には好みのタイプをきかれて「ありがとうとごめんなさいがきちんと言える人」なんてわざわざ言う人がいるぐらいなのだ。他人への期待をそこまで下げないといけないなんて、ねぇ。

Newsweek日本版のことが好きで、たまに読むと、日ごろ我々はどれほど世界で起きている残虐な紛争に無関心で無知なのだろうと驚く。それと同時に、いくら関心を寄せ学んだところで世の中はなにも変わらないのだろうなとも思う。世界規模の大きなレベルでも、小さな身の回りのレベルでも。

『メンタリスト』もそうだけど、良いなと思う作品には大抵「このろくでもない世の中をいかに腐らず生きるか?」ということが描かれている気がする。愛。アイスクリーム。作中ではね。駄洒落じゃない。Newsweekも、読んでるとちょっと人間の理性への期待を捨てなくていいのかなと思えるところが好きだ。うまくいえないけれど。ちなみに高校生のころはこれが柴原智幸先生の『攻略!英語リスニング』だった。今はもうやっていない(これはかなり悲しいことだ)NHKのラジオ番組である。

愛なんてほんとうはどうでもいい。くだらぬ日記も書かないほうがましかもしれない。しかし、ていねいな暮らし、みたいなもので人生をごまかすのはまっぴらだ。反逆?うーん、寒い。健康?そう。人生に欠かせないのは健康。書を捨てよ、野菜を食べよう。あとヨガやろう、ヨガ。

問一. 上記の文章を読んで、夜、友人と遊んだ別れ際に相手にかける言葉を考えて答えよ。ただしあなたはこの友人のことを大切に思っており、できればまだ帰りたくないのだが、例によって事情があって帰路につかねばならないものとする。

#日記 #エッセイ

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