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023-chilled

 職場にかかってきた電話で、息子が亡くなったから講座のメール配信をとめてほしい、とその子の父親が言ったのを耳にしたときちゃんと悲しくなったから、誰かが死ぬことにまだ慣れてなんかいやしないと自覚した。担当者に代わりますのでと保留ボタンを押してなんと言えばいいか迷った末に、講座の受講生の親御さんからお電話なんですけど、なんか、もうメール送らんくていい、みたいな感じで、とたどたどしく取り次いで、お電話代わりましたといつもの調子で言った担当者の声がやがてこころを押し殺したものに変わっていったのを聞いて、亡くなったということをちゃんと伝えればよかったと後悔した。電話を終えた担当者が、○○くん亡くなったって、返信ないからおかしいとおもってた、ともうひとりの担当者に言い、それからしばらくふたりは押し黙っていた。

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シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。

ぶきような作品集。毎月15日・25日に更新します。 ※『nice meeting you』冊子版の購入特典と同内容です。冊子版をご購入さ…

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