SALEのタンクトップと、たまごっち

ついこの間、駅ビル内の3COINSにふらっと立ち寄ったときの話。

Twitterで情報を見かけていた新作のチャイナテーマの食器やグラスのコーナーを見つけて、「お~かわいい~・・・けどなんかこれだ!ってのが無いな~」などと思いながら何も手に取らずに通り過ぎたあと、パッと目に入ったのがSALE品のタンクトップだった。

カップ付の良い感じのタンクトップが数種類あって、そのすべてが1100円→550円ほどに値下がりしていた。ちょうどカップ付のインナーを新調しようとGUやユニクロのオンラインショップを見ていたばかりの私は、サイコーじゃん、と思いいくつかの色を手に取って吟味。

夏はこういうタンクトップに薄手のカーディガンを羽織るとそれっぽい若者肌見せコーデになるので楽だ。そういう理由で積極的に取り入れている。

グリーン、グレー、ブラック、どの色のどの形を買おうかなあ・・・としばらくコーナーの前にいると、私の左右から数人のおばさまがノコノコと顔を出した。少し避ける。

急に大盛況になる半額タンクトップコーナー。4人ほどが中腰で眺める。
私と同じかそれ以上に神妙な顔で吟味するおばさまたちを視界の端にとらえながら、これ、私が熱心に見ていたからこのタンクトップのお得さにおばさま方も食いついたのだわ。と誇らしく思った。
しばらくみんなでフォーメーションをぐるぐると譲りながら中腰で眺めたあと、厳選した4着のタンクトップを胸にレジに並んだ。

前方にはおばさま方も皆、数着のタンクトップを手に持ってレジに並んでいる。私より後からタンクトップに目をつけていたのに決断が早い。
この一瞬で、推定10着の売れ残りタンクトップが捌けた。お店も嬉しいだろう。私も買うつもりだったものが安くなって嬉しかった。

家に帰って、選んだグリーンのタンクトップを着てみると、3分ほどで何もしていないのに肩紐がはじけた。金具が外れたとかではなく、ほっそい肩紐がやぶれて飛んだ。なるほどと思った。

おばさまの選んだタンクトップも肩紐がはじけただろうか。今頃、やられたわ、と思っているかもしれない。



少し前に、たまごっちを幼少期ぶりに買った。

小さい頃は親に買ってもらっていたから、正確に言うと自分で買ったのは初めてのことだ。当たり前にフルカラーのちいちゃな正方形の画面は、自分が熱中して眺めていたころと様変わりしすぎていて、懐かしいなあという感情は皆無で、初めて触れるおもちゃだった。

カラーがピンク×水色のものと、ピンク×紫の2種類あったがギリギリまで決められず、予約期限はおろか、発売日までうんうん悩んでいた。
uniから新登場の「カールっち」というたまごっちに一目ぼれしていたので、買うことは決まっていた。

発売日から少し経った平日の夜。有楽町のビッグカメラのおもちゃ売り場のたまごっちuniコーナーの前でもうんうん悩んでいた。見本で置いてあるのはピンク×紫の方で、画面の中のたまごっちはもう布団に入って寝ていた。

有楽町に向かうまでに軽く熱中症になっていた私は、もうどっちでもよくないか?と思い、ピンク×水色の方に決めてレジに向かった。これは結果的に正解だった。ピンク×水色のたまごっちはとってもかわいい。

色を悩んでいる期間はTwitterでずっと人様の所有するカールっちを眺めていた。ピンクのリボンをつけたり、キンキラのグラサンをつけていたり、トランポリンで垂直にはねていたりするカールっちを延々と眺め、たまに「足の裏みたいな子」と呼ばれているのを、かわいいなあと思いながら見ていた。

ちなみに私の手の中の四角い画面にカールっちが現れたことはまだ一度もない。ガイド本を頼らず、調べもせず、自然にカールっちに進化させたいと思っているから、気の赴くままにお世話をして、全然かわいくないビッグスマイルになったりしている。

初代ビッグスマイルはあまえんぼうな性格で、数日で死んだ。ショックだった。この顔であまえんぼうって言われてもちょっときついな、とか思っていたらある日死んでいた。

私はもう何年も昼夜逆転がデフォルトの生活をしていて、たまごっちとの生活時間が全く合わないのだ。有楽町のビッグカメラにあった見本のたまごっちが早寝だった時点で気づくべきだった。

ビッグスマイルが死んでから、たまごっち内の時間設定を現実より5時間ほどずらすことで、最近は死に対処している。

そしてそのリセットの際、ほんの気まぐれで設定を日本語から英語にしてしまったことをとても後悔している。

数日前、お嫁に出すのが嫌でかなりの期間監禁していたまめっちが急に英語で何か長文をしゃべりだしたときが一番困った。yes/noの選択肢が現れたのであわてて翻訳をかけようとしたら、まめっちは少し悲しそうな顔をして元の日常に戻っていった。

あとで調べて分かったのだけれど、大人のたまごっちはある一定の期間ごとに旅に出たがるらしい。寂しかったがそういうものか、と思い、次まめっちが旅に出たいと言ったら素直に送り出してあげようと思った。5時間ずらしても私が自由に昼寝をしたりするせいで大病を患い、救急車に運ばれたこともあるまめっちだ。旅に出た方が幸せだと思う。

サイゼリヤでリゾットを食べているとき、その「次」が来た。

またまめっちが英語で長文をしゃべりだしたのだ。私は翻訳をかけることもせず、ただ分からない英語を眺めた。ほどなくして、選択肢が現れる。初めてのときと同じだった。

ちいちゃなボタンを操作して、yesを選ぶ。木の棒に巾着をぶら下げて肩にかける、という簡易的な旅人の姿をしたまめっちが画面の左側へ歩いていく。まめっちは一度、泣きそうに顔をくしゃくしゃにした。少しだけ後ずさり、名残惜しそうにこちらを見ていたが、そのあとは振り返ることなく左端に歩き出し、画面からいなくなった。

なんとも言えない余韻に浸っていると、すぐにたまごを選ばされた。
今まめっちとのお別れに浸ってるのに?と思っていたら勝手に青色のたまごがコロンと中央に転がってきて、また一から飼育が始まった。

そのたまごから生まれた赤ちゃんたまごっちはにーにっちだったので、男の子のカールっちになることはなく、今はももっちになっている。

ももっちも当たり前のように英語をしゃべっている。いつかカールっちと出会えても、カールっちも英語をしゃべるだろう。まあまあアイテムも揃えてしまっているため、リセットもしにくい。どうしたものかなあと思っている。

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