コロナ、ホテル、高貴な古着屋

家に帰る直前、自販機でそば茶を買いました。今パソコンの横にあります。
見かけるとよく買ってしまう。そば茶でしか味わえない独特な風味が好き。

しかもそば茶って、名前が結構かわいいかもしれない。そば茶。そばちゃ。そばちゃ。

「そばちゃ今日ね、満喫で14時間寝たよ。」

一人称にしてもかわいい。
コジコジの友だち感がある。 あるかな?


久しぶりに自宅に帰りつきました。
同居中の父がコロナになったので、15日(火)から姉と2人でホテルに避難していたのです。実家は狭くトイレも1つしかないので1人罹ったらほとんどの確率で共倒れ。我が家にコロナが訪れたのはこれが初めてのことで、うちは家族関係がほぼ崩壊しているので、こうなった際の話し合いとかも特に何もしてきていない。

ということなので「父がホテルで療養する?」または「出来るだけ隔離して看病する」という2つの案がとっさに出た有力候補だったのだけど還暦過ぎてるし、ホテルは無理ですな、まず動けません。とのこと。

それじゃあ隔離か? と備えたものの父は自室にこもってくれるわけでもなく、なぜかマスクすらせずシャワー浴びたり冷蔵庫開けたりふつうに生活していた。私たち家族はとてもびっくらこいて、話し合い、買い物に行き大量に食料を買い、栄養たっぷりの野菜スープをコトコト煮込み、冷まし、冷蔵庫に押し込んだあと逃げるようにホテルに向かった。

父、結構常識とかなかったね。
ビックリしたね、ふつうに暮らしてるね、とお互い自室にこもりながら姉とLINEで連絡を取り合いました。そのときはまあ、家族に移しちゃう~まで頭が回らないほどしんどかったのかもね・・・? という話で納得したけれど、それにしては洗濯とかまでしていて(※父は洗濯されたタオルのストックがないと機嫌がとても悪くなる)それはもう寝ていてくれという感じであった。

私はここ数日、でっかいベッドで眠りたい!清潔な真っ白のシーツ!綿100%を足の裏で撫でたい!と思っていてそして言っていたので、ホテルに泊まることに対してはマイケルジャクソンくらい前のめり。

ただ父がもし急変したら・・・と思うと1人で置いていくのはかなり心配だったが、既に父は配慮ゼロな感じのコロナ人だと判明している。背に腹はかえられない。
「あとで、あの時ああしていたら・・・と後悔することになる選択かも」と緊張しながらも結局置いていった。話し合いの際父の方からも、置いていってほしいと言われ、本人の意思を尊重した形でもある。結果、急変もなく今は元気。


そば茶を一旦飲む。




ホテルで暮らし始めてしばらくして、近くのセカストがSALE最終日だと判明しましたため、閉店30分前に飛び込んだ。

静かな店内、ひしめく古着。
引きこもりを極めすぎて、服が全然なかった私はこの機会に一気に手持ちの服を増やそう! と画策した。

直近で手持ちに加わった服は、部屋着のつもりで買って結局近所のコンビニとかまでは着て行っている、1000円くらいのかいけつゾロリのTシャツ2種、とかの引きこもり。

結果、セカストでは9着の服を買いました。
30分で、ちょうど1万円ぐらい。

・・・・・・・・・・はりきっちゃった。

ヒルナンデスかも・・・と思ったね。1万円渡されて、限られた時間でいくつコーディネートが作れるか、チャレンジしていたのかと思った。
中学時代数か月不登校だった間に、それは毎日ヒルナンデスを見ていた私には知らないうちにヒルナンデス力が身についていたのかもしれないし、閉店まで30分という時間制限が私をいつもより大胆にした。

1万円分も、買うつもりは流石にありませんでした。だってSALEの内容は、1000円以下の商品は半額!1000円以上の服は20%OFF!というもの。
私の狙いはもちろん50%値引きの元値も安価な服たちで、軽く計算しながら次々と左腕にひっかけていった服の合計は5000円もいっていなかった。

ただチャレンジ終盤、元原宿古着屋勤務の経歴を持つ姉が「これは買いだよ」と、買い付けの目をして渡してきた1着。淡い黄色のカーゴパンツ。
リボンが6つくらい付いていて、やさしい色合いなのも相まってカーゴパンツにしてはガーリーな雰囲気でかわいらしい。

「私だったら速攻仕入れるね。買いな!」

と言う3つ上の姉の目はいつになく真剣-マジ-で。
1万円コーデバトルの最中で大胆になっている私は従順に「はい!」とうなづき、5000円ほどの値札がついたラルフローレンのカーゴパンツを左腕のメンバーに加え、レジに向かう。

(本当は、ていうかSALEって本当に店内全品が対象なの? と突然不安になり、姉に先にレジに向かってもらった。本当に割り引かれたと聞き安心してレジに。)

-レジのメンバー紹介をします-
オシャレめな若い男性、オシャレめな若い女性、上司らしきちょいワル風オシャレ男性
ーーーレジーーー
私(閉店数分前にこの量ごめんなさいと思っている。)

3名の店員たち「・・・・・(黙々と服をたたんで袋に詰める)」
レジ「1万数百円」

私(1万・・・?やば なにがあって?)

パンパンの袋を持って出口に向かう。
先に買い終えていた姉と合流する。

自動ドアが開き、外に。
歩く。

右腕に確かな重みを感じながら歩く。

・・・

私「店員さん、なんか怖くなかった?」
姉「怖かったね。」

店員さんが怖かった。
店員さんが、え?下北沢の結構こだわりとかある感じの、一見さんにはあまり愛想よくしないタイプの?みたいな古着屋の店員そのものだったのである。実際私は高校生の頃友だちと下北沢に初めて行ったとき、一見さんはお断りの古着屋に知らずに入ってしまい店員にやわらかくそして冷たく追い出される、という洗礼を受けたことがある。そのときを思い出した。
下町のセカストだよ・・・? 

まず「いらっしゃいませ」もなかった。だってのっけから「静かな店内」だもん。私が大人なのに先月買ったばかりの新作たまごっちをつけた腕でレジに向かったから冷たい目で見られたの?とか思ったけど、ノーたまごっちの姉にも冷たかったなら、やっぱり店員トリオが下北沢一流古着屋意識が高かったせいなのだと思う。

1万円も買ったのに、ありがとうございました、の一つもなかったもんね。
カッコつけた下北の古着屋だって感謝くらいするよね。

それでホテルに帰ってその店舗の詳細を調べてみると、みんな店員の態度について言及したマイナスの口コミを書いており、なんだ!みんなそうだったんだ!と途端に溜飲が下がった。仲間だね♪と楽しくすらなった。

いろんな人がそういう対応をされていて、その中の特に憤り数値の高いエリートたちが冷静に接客についてけちょんけちょんに言ってくれていたので大層満足したのだった。

そのあとはホテルのベッドの上で、買った服たちを順番に着てファッションショーをし、楽しく過ごしました。ちなみに泊り先で初日にパンパンの量の服を買うのは普通に大間違っています。最終日の帰宅時、つまりさっき、荷物が多くて重すぎてキレていた。

「全部自分のせいだよ」と姉に言われても、「事の発端が自分のせいなのと、実際に荷物が重すぎて心からイライラするのは両立する!共存する!本当にイライラしている」と言いながら帰りました。

そば茶を飲み切ったのでこのあたりで終わります。楽しかった1日を思い出せて嬉しかった。久しぶりに自分の布団で眠ります。へこたれた薄いマットレス。ホテルのベッドが早くも恋しい。






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