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姉の化粧ポーチが100均のコスメばかりになっていた話。

強くて逞しくて綺麗だと思った。
“着飾る”ことだけが、それらのモノサシではないのだと思った。

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姉は高校生から化粧していた。
弟の俺が言うのも恥ずかしいけど、顔は整っている方だと思う。
髪も化粧も服も、美容や女性用品にはアンテナがよく立っていた方だった。

23歳で高校から付き合っていた義兄と結婚し、妊娠。
24歳で1人目の子供が産まれた。
それから4年近く経った今では可愛くてわんぱくな3人の女の子の母になった。

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つい最近のこと。
帰省した時姉の家で家族みんなで子守をした。
姉が専門学生の頃の友人の、結婚式に参列するためだ。

姉が支度をしていて気づいた。
姉の化粧ポーチに入っている種類が減っていたこと。
ブランド物が無くて100均のものばかりだったこと。
手先が器用な姉が髪を巻くのにとても時間がかかっていたこと。

子供たちはそれぞれ4歳、2歳、0歳。
みんな目が離せない。
暴れ回ったり、泣きじゃくったり、おっぱいを飲ませたりしながら、支度をしていた。
時間がかかっていたのは目の前の置き鏡を見ていても、意識はずっと子供たちに向けていたことも1つの理由だと思うし、
友人のハレの日のためにいつもとは違うヘアアレンジに挑戦していたこともあると思う。
でも、一緒に暮らしていた時の記憶の中の手際の良さではなかった。

そして、
「ポーチの中、ぜーんぶ100均よ!」
という姉はとても明るくて、どこか誇らしげでもあった。

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見ていて思い出したことと、わかったことがある。
姉は子供が産まれてからおしゃれは最低限になっていたこと。
めんどくさがりなのに家計簿をつけるようになっていたこと。
お金と時間のほとんどを子供達や家族にかけていたこと。

強くて逞しくて、綺麗だと思った。
“着飾る”ことだけが、それらのモノサシではないのだと思った。

今日も姉から送られてくる家族LINEで送られてくる子供達は、満面の笑みを浮かべている。







おわり。

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