溺れる

薄明かり 幽玄の響きが静かになる。
溺れそうなわたし。
月光虫の舞う世界に迷い込んでる。
沈みそうなわたし。
朧の夜に、心臓の鼓動が幽玄の夜に溶けたの。
詩情の灯火が、夜に映えて。
食べる音。響くのが、一割程度の雑音。
呆気ない生命力に唖然として、逃亡する透明の私情。
芸術的な感覚が、名もない花を毒と云った、機微の真似。
無謬性の愛が煩わしい。
世界の総てが煩わしい。
最後まで残った。
作品の私、心臓の鼓動(beat)と花の香りが響き合う。解けた花束散って、花弁。
揺ら揺らと流る命は、世界の警告。世界への警告。
終わらせてくれ、終わらせてくれた。
幽玄の響きが静かになる。
月光虫の舞う世界に迷い込んで、沈む私。
溶けた。溶けた。溶けた。

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